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Linguistic Anthropology(言語人類学) cover

人類学

人類学

Linguistic Anthropology(言語人類学)

Alessandro Duranti

英語原題: Linguistic Anthropology

言語人類学を、文化的資源としての言語と文化的実践としての話すことの研究として提示する教科書。全10章で、文化の理論、言語の多様性、民族誌的方法と書き起こし、言語形式の意味、行為としての発話、会話のやりとり、参与の単位を扱う。

前提知識: 言語人類学または言語学の入門科目を修了し、音声学と文法の基礎を身につけていることを前提とする。

難易度レベル
上級
学術レベル
大学院
linguistic anthropologylanguage and cultureethnographic methodsconversation analysis教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Duranti, A. (1997). Linguistic Anthropology. Cambridge University Press.

章の要約

本書は、序文、十の章、相互行為の録音についての実用的助言の付録、参考文献、二つの索引からなり、約 400 ページである。デュランティは序文で、意図的に選択的な書き方をし、言語人類学者は記述的で理論志向のない技術者だという固定観念を強めるような話題を避けたと述べ、本書は包括的な概論ではなく、「言語と文化についての現代の研究を、ある特定の観点から述べたもの」だとしている。以下の要約は、Cambridge Core で公開されている各章の導入部と出版社の紹介文に基づく。

第1章:言語人類学の範囲

第 1 章は言語人類学を、言語学と人類学から学ぶ独立した学際的な分野として示し、それが独自の知的アイデンティティをどう形づくってきたかを示し始める。本書の第一の目的は、この分野が言語を思考の様式としてだけでなく、何よりも文化的実践、すなわち行為の一形態として理解することにどう寄与するかを説明することだとされる。

第2章:文化の理論

この分野の前提は言語が文化的実践であるということなので、デュランティは文化の概念を論じる。この概念は厳しい検討にさらされ、複雑さを単純な性格づけに還元するものであり、「われわれ」と「彼ら」、「文明」と「未開」のような二分法に依拠する植民地主義的な企図に結びついているとして批判されている、と彼は指摘する。出版社は一章全体が文化の概念にあてられていると述べている。この章は文化の諸理論とこの概念への批判を検討する。

第3章:言語の多様性

この章は、言語間の差異への取り組み方を対比する。生成文法学者は少数の一般原理、すなわち普遍文法を求め、言語共同体の内部を均質と仮定する傾向がある。社会言語学者は、どの共同体にもかなりの変異があるという観察から出発する。この二つの立場が、本書自身の多様性の扱い方の枠組みになる。

第4章:民族誌的方法

この章と次の章は、よく使われるデータ収集の技法と分析手続きを批判的に概観する。第 4 章は技術的解決策よりも研究習慣の論理を重視し、参与観察、母語話者と共に行う現地の解釈的注釈づけ、類型論的言語学者が用いるものに似た誘出法、そして都市社会言語学、談話分析、会話分析で開発された記録法との統合を扱う。

第5章:転記――書記からデジタル化された映像まで

転記の章は、報告者の語りを書きとめるしかなかったボアズやマリノフスキーから、会話を録音して繰り返し再生できる可能性までを語り、転記の実践を詳しく検討する。出版社は、民族誌と転記についての方法論の章を非常に有益だと述べている。

第6章:言語形式における意味

この章は、音素や形態素のような形式文法で使われる分析単位と、構造主義言語学の原理を紹介する。出来事と参与者の役割が名詞や動詞の形態によってどう標示されるかを示し、文法的選択を有生性、人称、情報の前景化といった要因に結びつけ、メタ言語的意識を導入し、言語とジェンダーの関係を通して指標性を説明する。

第7章:社会的行為としての発話

この章はゲーテの『ファウスト』からの題辞(「はじめに行為があった」)で始まり、言語形式から行為へと移る。第 8 章はこの章の言語ゲームの概念を振り返っており、この章がウィトゲンシュタインを含む伝統のなかで行為としての発話を扱っていることがわかる。

第8章:会話のやりとり

この章は、個々の発話行為から、話が「交換される」という事実に目を向ける。挨拶のような発話はペアや連鎖として組織されており、それぞれの部分は連鎖のなかでの位置から意味を得る。日常の言葉は、主として異なる話し手が互いに合わせる短い発話からなっている。

第9章:参加の単位

デュランティは、前の章が談話をより小さな単位に分解してきたと述べ、話し手が小さな単位を、それらが加わるより大きな実体にどうつなげているのかを問う。彼は「参加」を、相互行為の次元であり分析の視点でもあるものとして探究し、言語学、人類学、社会学、心理学に依拠する。

第10章:結論

短い最終章は、前に提起された、あるいは含意された問いを前面に出すことで、全体性の問題に向き合う。前の章を要約せず、この分野の未来を展望する。

付録:相互行為を録音するための実用的助言

準備、マイク、音声・映像の録音についての簡潔な実用的助言で、詳しくは Jackson (1987) と Goodwin (1993) を参照するよう案内している。

主要概念

第1~3章

  • 文化的実践としての言語:発話を、文化を作り出し反映する行為の一形態として理解すること。
  • 普遍文法と社会言語学的変異:言語の多様性を扱う二つの対照的な方法。

第4~6章

  • 参与観察、誘出、現地の注釈:本書が検討する方法。
  • 転記:話し言葉の表現。初期の記録から録音とデジタル化データまで。
  • 指標性:記号が文脈の特徴を指し示す性質。本書ではジェンダーを例に説明される。

第7~10章

  • 言語ゲームと発話行為:発話を行為として捉えること。
  • 隣接ペアと連鎖:会話のやりとりの組織化。
  • 参加:分析の単位であり、相互行為の次元。

批判的分析

長所

  • 明確な立場。 序文は本書が選択的で意図的に理論に重きを置くと宣言しており、読者は本書が何を提供し何を提供しないかがわかる。
  • 方法の真剣な扱い。 民族誌的方法と転記の専用の章、さらに相互行為の録音に関する付録は、データを集めようとする人に実用的な指針を与える。出版社は方法論の章を非常に有益だとしている。
  • 文化を前提とせず検討する。 一章全体が文化の理論とこの概念への批判を検討する。
  • 明快で読みやすい。 出版社は本書を、独創的でありながら極めて明快で読みやすいと述べており、各章の導入は、その章が何をするかを説明している。

短所

  • 選択的で包括的ではない。 デュランティは包括的な概論を目指さなかったと述べており、扱われない話題もある。
  • やや古い。 初版が 1997 年なので、言語イデオロギー、メディア、デジタル・コミュニケーションなどについての後の研究は含まれない。より新しい入門書と併せて読むとよい。
  • 中間の章が技術的。 「言語形式における意味」の章は文法用語(音素、形態素、名詞・動詞の形態)を導入しており、言語学の素養がない読者には骨が折れる。

コースにおける位置づけ

言語人類学のコースでは、デュランティの本は、広い視野と方法への関心をもつ大学院レベルの教科書である。クラムシュの『Language and Culture』は短い入門書、アハーンの『Living Language』は言語を社会的行為として扱う入門書、スタンローとアダチの『Language, Culture, and Society』は包括的な教科書で、アハーンとスタンロー=アダチの本はより新しい。アガの『Language and Social Relations』は、レジスターと再帰性の統合的説明を展開する理論的モノグラフ、アハーンの『Invitations to Love』はネパールのラブレターについての民族誌である。

順序としては、まず入門書、次に分野の方法と概念的背景を知るためにデュランティ、それから歯ごたえのある理論としてアガか、展開された事例としてアハーンの民族誌を読むとよい。

本書の使い方

本書は、上級の学部生と大学院生向けである。出版社はこの二つの読者層を想定しており、基礎的な言語学(音声学と文法)の知識があると役に立つ。第 1・2 章で枠組みをつかみ、フィールドワークや録音を行う前に第 4・5 章と付録を読む。第 6 章は最も技術的で、言語学の背景があれば選んで読んでもよい。第 7~9 章は行為から交換、参加へと進むので、順に読むのがよい。第 10 章は短く、全体の見取り図を得るのに役立つ。練習として、録音した会話を数分間転記し、第 5 章が提起する問題に照らして自分の転記を検討してみるとよい。