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In the Beginning: An Introduction to Archaeology(はじまりへ:考古学入門) cover

人類学

人類学

In the Beginning: An Introduction to Archaeology(はじまりへ:考古学入門)

Nadia Durrani; Brian M. Fagan

英語原題: In the Beginning: An Introduction to Archaeology

Nadia Durrani と Brian M. Fagan による長く版を重ねてきた入門教科書で、考古学の基本的な方法と理論的アプローチをグローバルな視点から説明する。専門用語を抑えた文章で、考古学者が過去の物質的遺物をどのように発見し、年代を決め、解釈するのかを、多くの地域と時代の事例研究を用いて示す。

前提知識: 考古学や人類学の予備知識は不要である。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
archaeologyarchaeological methodsdatingexcavationcultural resource management教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Durrani, N., & Fagan, B. M. (2025). In the Beginning: An Introduction to Archaeology (15th ed.). Routledge.

章の要約

第15版は全20章を7部に分け、巻頭に序文と「What Happened When and Where: A Brief Journey Through Ancient Times」(いつ、どこで何が起きたか:古代を巡る短い旅)と題した短い年表を置き、巻末に用語集、参考文献、索引が付く。Routledgeは494ページ、カラー図版268点と記載し、多数のコラムやサイドバーに世界各地の事例が盛り込まれていると説明している。各部は考古学の作業の順序に沿っており、背景、基礎、資料の回収、分析、解釈、遺産の管理、そして職業と続く。

第I部 考古学の背景(第1–3章):Introducing Archaeology(考古学入門);The Beginnings of Scientific Archaeology(科学的考古学の始まり);The Many-Voiced Past(多くの声をもつ過去)

出版社は、冒頭をこの分野の幅広い紹介と、考古学史の主な出来事の概観と説明している。第3章の題名は、過去をめぐる複数の声や視点を指しており、多様性と倫理は出版社が本版で新規または拡充した話題として挙げているものに含まれる。

第II部 基礎(第4–7章):Matrix and Preservation(母材と保存);Doing Archaeological Research(考古学研究の進め方);Culture, Data, and Context(文化、データ、コンテクスト);Dating the Past(過去の年代決定)

出版社の要約が挙げている土台、すなわち保存、発見物のコンテクスト、過去の年代を決める方法を扱う。本版では考古学的記録の保存に関する記述が新たに加わった。

第III部 データの回収(第8–9章):They Sought It Here, They Sought It There(彼らはここを探し、あそこを探した);Excavation(発掘)

野外踏査と発掘。出版社によれば、踏査の部分には最新のリモートセンシングの方法が含まれる。

第IV部 過去の分析(第10–11章):Classifying Artifacts(遺物の分類);Technologies of the Ancients(古代人の技術)

回収された資料から分析へと進む。遺物の分類を扱う章と、古代の技術を扱う章がある。

第V部 環境と人々の研究(第12–17章):Ancient Environments(古代の環境);Studying Subsistence(生業の研究);The Living Past(生きている過去);Landscape and Settlement(景観と集落);Interactions(相互作用);Archaeology and the Intangible(考古学と無形のもの)

最も長い部で、視点が遺物からそれを作った人々へ移る。出版社の説明は、これらの章を古代の環境、景観と集落のパターン、過去の人々という括りで示している。題名には生業、相互作用、無形のものが挙がっている。

第VI部 過去の管理(第18–19章):Cultural Resource Management (CRM) and Public Archaeology(文化資源管理と公共考古学);Archaeology and Contemporary Society(考古学と現代社会)

出版社が本版で大幅に更新されたと述べる2章で、文化資源管理、公共考古学、そして社会における考古学の役割を扱う。

第VII部 職業と資料(第20章):So You Want to Become an Archaeologist?(考古学者になりたいですか)

考古学を職業の選択肢として扱う最終章。

主要概念

第I・II部(第1–7章)

  • 考古学的コンテクストと母材:発見物が見つかる状況のことで、第4章と第6章の題名の中心にある。
  • 保存:考古学的記録に何が、なぜ残るのかという問題で、第4章の主題であり、本版の新規記述の対象でもある。
  • 年代決定:発見物を時間のなかに位置づける方法で、1章を割いて論じられる(第7章)。

第III・IV部(第8–11章)

  • 踏査と発掘:データを回収する二つの主要な方法。踏査の部分にはリモートセンシングが含まれる。
  • 遺物の分類:回収した遺物を整理すること。分析の部の最初の段階にあたる。

第V–VII部(第12–20章)

  • 生業、景観、集落:過去の人々がどのように食料を得て、空間を使い、組織したか。第13章と第15章の題名に表れている。
  • 文化資源管理と公共考古学:職業としての、また公共的な活動としての考古学で、本版で大幅に更新された。

批判的分析

長所

  • わかりやすい作業の順序。 7つの部は、考古学とは何かから始まり、発見と年代決定、分析、環境と社会の復元を経て、その結果生まれる遺産の管理へと進む。学習者は、各話題が調査全体のどこに位置するのかを把握できる。
  • 初学者向けで、視野は世界規模。 出版社は、明快で魅力的な文章、専門用語を最小限に抑えた書き方、世界的な視点を強調している。図版は豊富で、コラムやサイドバーも多い。
  • 現在の実践に対応。 第15版は新しい事例を加え、考古科学、学際的研究、倫理、多様性、水中考古学、考古学的記録の保存に関する記述を更新した。CRMと公共考古学の章は大幅に改訂されている。
  • 職業と社会への目配り。 遺産の管理に1つの部がまるごと充てられ、考古学者になる道についての章もあるので、遺産や専門職に関心のある読者に向く。
  • 長く使われてきた。 第15版まで版を重ねており、教科書として長く使われてきたことがわかる。Nadia Durraniは第13版から共著者に加わった。

短所

  • 分量。 20章、約494ページあり、短期の授業では使い切れない。多くの授業は第V–VII部から取捨選択することになる。
  • 理論を掘り下げる余地は少ない。 目次に考古学理論の名を冠した章はなく、学派間の論争は、理論専門の教科書ほど深くは扱われないと思われる。
  • 世界先史は概略のみ。 古代の概観は冒頭の短い年表にとどまるため、地域や時代を扱う授業では、文化史について別の本が必要になる。

コースにおける位置づけ

Durrani and Faganは、方法を中心に据えた最初の一冊である。最も重なるのはColin RenfrewとPaul BahnのArchaeology: Theories, Methods and Practiceで、こちらも理論的アプローチと実践を組み合わせた広い入門書であり、授業では両者のうち一冊を主教材に選ぶのが妥当だろう。Paul BahnのArchaeology: A Very Short Introductionはより短く、本格的な教科書に取り組む前に全体像をつかみたい読者に向く。

この概説のあとは、Matthew JohnsonのArchaeological Theory: An Introductionが解釈の歴史と論争を詳しく取り上げ、本書の主な欠落を補う。Bruce TriggerのA History of Archaeological ThoughtとIan HodderとScott HutsonのReading the Pastは、思想史や解釈をめぐる議論へ進みたい読者のためのものである。

本書の使い方

考古学、人類学、古代史を学び始める学生のほか、考古学の知識がどのように作られるかを知る必要がある遺産・博物館学の学生に向く。事前の履修は不要である。

実際的な進め方は次のとおり。

  • 中心: 第I・II部(第1–7章)が、この学問の基本語彙を与える。学問がどう発展したか、発見物がどう保存されコンテクストに置かれ、どう年代づけられるか。
  • 野外と分析: 第8–11章。発掘報告書や実習と合わせて読むのがよい。
  • 授業に合わせて選ぶ: 第V部(第12–17章)は授業の主題に応じて、第VI部(第18–19章)は遺産、CRM、市民参加の授業向けに。職業を目指すなら、第20章は早めに読む価値がある。
  • 付属要素を活用する: 序文の年表は世界先史の枠組みを与え、コラムやサイドバーは短い事例を提供するので、授業で読むものと比べるとよい。