01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Bahn, P. (2012). Archaeology: A Very Short Introduction (2nd ed.). Oxford University Press. Very Short Introductions 10. Illustrations by Bill Tidy.
章の要約
背景と論旨
ポール・バーンは考古学を専門とするフリーランスの著述家・翻訳者・放送人で、2003年にイギリスで唯一知られる氷河時代の洞窟壁画を発見したプロジェクトを主導した。本書は、考古学者が何を研究するのか、証拠をどのように年代決定し分析するのか、過去の生活・社会・精神について何が言えるのか、そして今日、過去がどのように提示され、保護され、脅かされているのかという、学問全体を扱うポケット判の入門書である。第2版(2012年、本文約120ページ、ビル・タイディの漫画を含む図版22点)は初版を更新し、新しい発見や、歯のDNA分析・安定同位体分析といった進展の影響を加えている。出版社は、考古学者が気候変動、海面上昇、地球温暖化をめぐる議論にどう貢献しているかも本書が示すとしている。語り口はくだけていてしばしばユーモラスであり、バーンは考古学理論などについて自分の意見を隠さない。番号のない序論の後に、それぞれ7〜14ページほどの10章が続き、文献案内と索引が付く。
序論
序論は考古学を、趣味としても職業としても学問としても人を惹きつける分野として紹介し、語学から動物の行動の研究まで、きわめて幅広い技能を必要とすることを示す。テレビでの人気や観光にとっての重要性にも触れる。
第1章:考古学の起源と発展
バーンは「考古学の考古学」がどこから始まるのかを問い、古物への関心から19世紀の墳丘の発掘、近代的技術の登場までをたどる。本章は、土器片のような一つの遺物から今ではどれほど多くのことが分かるかを強調し、未刊行の発掘報告や博物館の未整理資料が大量に滞留していることに警鐘を鳴らし、気候変動、海面上昇、地震や津波といった問題に考古学が新たな意味を持つようになったことを指摘する。
第2章:年代を決める
年代測定法の簡潔な概観である。型式学と層位による相対年代から、年輪と年縞、放射性炭素(較正曲線と加速器質量分析を含む)、熱ルミネッセンスといった絶対年代測定法へと進む。バーンは、その背後の物理学よりも、どのような方法があり、どの物質と年代幅に適しているかを考古学者が知っておくことの重要性を強調する。
第3章:技術
人々が残した道具から出発し、石器とその分類の変化、「石器時代」における木材の重要性、使用痕分析、実験考古学、そして織物・土器・ガラス・金属など他の素材の技術を論じる。イースター島の森林破壊のような、過去の環境破壊にも触れる。
第4章:人々はどのように暮らしたか
この章は「死者と埋葬者のライフスタイル」、すなわち人々の外見、健康状態、食べていたもの、死因を扱う。食物残滓分析、コラーゲンと同位体の研究(酸素とストロンチウムから人が育った場所がわかる)、トーロン人、リンドウ・マン、アルプスの「アイスマン」のような保存状態のよい遺体が取り上げられる。バーンは、道具や住居は論じても人々そのものについてはほとんど語らない入門書を批判している。
第5章:人々はどのように考えたか
バーンは、過去の精神に入り込むことは技術や生業を復元するよりはるかに難しいと述べる。本章は認知考古学、宗教、「芸術」を定義する難しさ、氷河時代の芸術と岩絵(ラスコー、アルタミラ、そして岩絵が美術史の大半を占めるという主張)、巨石記念物と天文学的解釈を論じる。岩絵の多くはトランス状態のイメージだとする見方のような、流行の解釈には懐疑的である。
第6章:集落と社会
本章は「糞の山から宮殿まで」の集落の類型と、考古学者が社会組織をどのように推測するかを考察し、分節社会(部族)から首長制社会、国家へという系列を用いる。遺跡の階層、中心地、工芸生産、そしてストーンヘンジとその周囲の墳墓のような記念物が例として挙げられる。
第7章:物事はどのように、なぜ変化したか
本書で説明と理論を扱う章である。初期の進化論者や、V・ゴードン・チャイルド、グレアム・クラークといった人物、アメリカの「ニュー・アーケオロジー」すなわちプロセス考古学、そしてそれを批判したポストプロセス考古学を概観する。バーンは理論の多様性を歓迎する一方で、理論的な気取りやニュー・アーケオロジーの「模擬戦」にはあからさまに懐疑的である。
第8章:マイノリティと女性たち
ここでは考古学の伝統的な実践に対する二つの挑戦が扱われる。一つは、先住民、特にアメリカ先住民による祖先の遺骨の返還と再埋葬の要求と、協議を義務づける倫理綱領の採択である。もう一つは、考古学的記録においても専門職においても女性が軽視されてきたことと、フェミニスト考古学・ジェンダー考古学の興隆である。
第9章:過去を一般の人々に示す
バーンは、考古学者自身の出自や背景が解釈をどう形づくってきたか(19世紀フランスの先史学者ガブリエル・ド・モルティエがアルタミラを否定した例)、いまだ19世紀的な見方を反映する博物館展示、博物館学の成長、そしてヨークのヨーヴィック・ヴァイキング・センターのような大衆向けの展示を論じる。観光と、特にエジプトにおける遺跡への負担も取り上げられる。
第10章:過去の未来
最終章は先を見通す。研究目的の発掘は減り、緊急発掘と既存の収蔵資料の研究が中心になるだろうという見通し、有名な遺跡や岩絵への脅威、保存の取り組み、そして盗掘、とりわけイラク博物館やカイロでの被害を論じ、バーンはそれを古美術品市場と結びつける。
主要概念
序論と第1–3章:学問とその道具
- 相対年代と絶対年代:出土品を順序づけることと、年輪、放射性炭素、熱ルミネッセンスなどの方法で年数として年代を与えることの区別。
- 較正:暦年代を得るために、放射性炭素年代を年輪年代と照合して補正すること。
- 使用痕分析と実験考古学:道具に残る摩耗の痕跡を調べ、古代の技術を再現して、遺物がどのように作られ使われたかを知ること。
第4–6章:生活・精神・社会
- 残滓分析と同位体分析:食物の残り、骨、歯を化学的に調べて、食生活と出身地を復元すること。
- 認知考古学:芸術や記念物といった物質的証拠から過去の信仰や考え方を推測する試み。
- 分節社会・首長制社会・国家:集落や埋葬を解釈するために用いられる、しだいに階層化していく社会組織の系列。
第7–10章:理論・倫理・未来
- プロセス考古学とポストプロセス考古学:科学的で過程を重視するニュー・アーケオロジーと、それを批判した解釈的アプローチ。
- 再埋葬:人骨を子孫の共同体に返還することと、その後に定められた倫理綱領。
- ジェンダー考古学:過去における女性の役割を明らかにし、解釈における男性中心の偏りを問う研究。
- 緊急発掘と盗掘:破壊に先立って行う救済調査と、遺跡の略奪を引き起こす違法取引。
批判的分析
長所
- 約120ページで分野全体を扱う。 10の短い章が、歴史、年代測定、技術、日常生活、信仰、社会、理論、倫理、一般への提示、未来を扱い、初学者は一度に全体の輪郭をつかめる。
- 具体的で幅広い事例。 本文と索引は、ラスコーやストーンヘンジからイースター島、トーロン人、兵馬俑、ヨーヴィック・センターまでの事例を挙げており、方法が常に遺跡と結びつけられている。
- 倫理と現在に十分な紙幅。 10章のうち3章が、再埋葬、ジェンダー、博物館、観光、保存、盗掘を扱う。いずれも学生が実践の場ですぐに出会う問題である。
- 生き生きとした、意見のはっきりした語り口。 ビル・タイディの漫画とバーンの皮肉な余談によって読みやすい。いくつかの理論に対する彼の懐疑は、学生が解釈に向けるべき批判的な態度の手本にもなる。
短所
- 方法の説明はごく短い。 年代測定は約7ページで、踏査と発掘の技術には独立した章がない。方法を深く学ぶ必要のある学生は教科書に進まなければならない。
- 理論の扱いは懐疑的で短い。 第7章はプロセス考古学とポストプロセス考古学を数ページで、明らかないら立ちとともに要約しており、考古学理論への公平で十分な入門とは言えない。
- ところどころ古い。 本文は2011年頃までの研究を反映しており、その後の古代DNAや同位体研究の多くの進展は含まれない。
コースにおける位置づけ
本書は考古学のコースへの最も短い入り口である。自然な組み合わせは、同じ著者が共著者として加わったレンフルーとバーンの大部の教科書 Archaeology: Theories, Methods and Practice で、本書の文献案内でも「レンガのような」教科書として推薦されている。同じ範囲(年代測定、技術、食生活、認知、社会、説明、一般の人々)をはるかに詳しく、多くの事例研究とともに扱う。デュラーニとフェイガンの In the Beginning も、地球規模の視点を持つ長年の入門教科書である。まずバーンで全体像をつかみ、次にこの二冊のどちらかで深めるとよい。
理論については、バーンの章は出発点にすぎない。マシュー・ジョンソンの Archaeological Theory: An Introduction はニュー・アーケオロジー以降の学派を平易な言葉で説明し、はるかに均衡のとれた見取り図を与える。ブルース・トリッガーの A History of Archaeological Thought とホダーとハトソンの Reading the Past は、後の段階で学ぶためのより難度の高い著作である。
本書の使い方
本書は考古学や歴史を学んだ経験を前提としておらず、最初の授業を始める学生、進学を考えている人、他分野の読者に適している。
- 早い段階で全体を読む。 授業が始まる前に一晩か二晩で読める。
- 入門授業の中核: 第1–6章で、年代測定、技術、生業、認知、社会組織の基本的な語彙が身につく。
- 倫理と遺産のテーマのために: 第8–10章は再埋葬、ジェンダー、博物館、観光、盗掘への短い入門で、これらのテーマのゼミの前に役立つ。
- 第7章は注意して読む: 一人の著者の見解として読み、理論のより十分な説明にはジョンソンを使うこと。
文献案内を使って各テーマの次の一冊を見つけ、章の中で遺跡や方法が出てきたら、レンフルーとバーンで詳しい事例研究を確認するとよい。
