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Economic Anthropology: History, Ethnography, Critique(経済人類学:歴史、民族誌、批判) cover

人類学

人類学

Economic Anthropology: History, Ethnography, Critique(経済人類学:歴史、民族誌、批判)

Chris Hann; Keith Hart

英語原題: Economic Anthropology: History, Ethnography, Critique

人類学者が生産、交換、消費をどのように研究してきたか、そしてその知見が今日の経済の理解にとって何を意味するかをたどる、経済人類学の簡潔な入門書。学説史と民族誌の事例を組み合わせ、この分野が主流の経済学に対する批判的・比較的な代案を提供すると論じる。

前提知識: 前提知識は不要。人類学にも経済学にも訓練を受けていない読者を想定している。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
economic anthropologyexchangecapitalismdevelopment入門

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Hann, C., & Hart, K. (2011). Economic Anthropology: History, Ethnography, Critique. Polity Press.

章の要約

本書は約208ページの短い入門書で、序文、9つの章、文献案内、参考文献から成る。著者のChris Hann(マックス・プランク社会人類学研究所)とKeith Hart(ロンドン大学ゴールドスミス校)は、本書を、近代経済史の三つの大きな問い、すなわち開発、社会主義、「単一世界の資本主義(one-world capitalism)」に人類学者が何を寄与してきたかを軸に組み立てた、この下位分野の歴史として示している。出版社の要約はその歴史の輪郭を次のように示す。第二次世界大戦までは、人類学者は自分たちの発見に経済学者の関心を引こうとして失敗した。その後、経済学に由来するアプローチが非産業経済の研究にふさわしいかどうかをめぐって論争を起こした。そして1970年代以降は、資本主義を国外だけでなく自国でも研究することで、資本主義批判を築いてきた。本書は Choice により2013年のOutstanding Academic Titleに選ばれている。

第1章:Introduction: Economic Anthropology(序論:経済人類学)

冒頭の章は著者の立場を示す。James Cuffeによる LSE Review of Books の書評(2012年)は、ここで示される二つの姿勢を強調している。第一に、本書は判断を差し控えたり、研究対象の人々のために単に代弁したりするのではなく、判断を行使して現代文明の基盤を検討する批判的人類学の立場から書かれていること。第二に、経済人類学を独立した学問分野として確立する、少なくともその地ならしをすることを目指していることである。

第2章:Economy from the Ancient World to the Age of the Internet(古代世界からインターネット時代までの経済)

「経済」が何を意味してきたかを長い時間幅で見渡す章である。Cuffeによれば、著者たちはこの語を、古代ギリシアにおける大きな家産の管理(oikonomia)から、市場の家計からの分離、企業による市場の支配と企業と国民国家の政府との関係へとたどり、現代の用法においてこの語がいかに曖昧で、混乱さえしているかを指摘している。

第3章:The Rise of Modern Economics and Anthropology(近代経済学と人類学の興隆)

二つの学問の並行した成立を扱う。章題と出版社の概要は、第二次世界大戦までの時期、すなわち出版社の言葉によれば人類学者が自分たちの「エキゾチックな」発見に経済学者の関心を引こうとして失敗した時期を指している。本書はここで、この下位分野を西洋哲学と社会理論という根に結びつける。

第4章:The Golden Age of Economic Anthropology(経済人類学の黄金時代)

出版社の概要では、第二次世界大戦後は、経済学に由来するアプローチが非産業経済にふさわしいかどうかをめぐって人類学者が活発な論争を起こした時期とされる。次の章の題名はこの論争を形式主義・実体主義論争と名指しており、それがこの章の「黄金時代」に位置づけられることを示している。

第5章:After the Formalist–Substantivist Debate(形式主義・実体主義論争の後)

章題は、論争が一段落した後にこの下位分野がたどった方向を示している。Cuffeによれば、著者たちは本書全体を通じて、マルクス主義やフェミニズムといった思潮と照らし合わせながら経済人類学をたどっている。

第6–8章:Unequal Development(不均等な開発);Socialism, Postsocialism and Reform Socialism(社会主義、ポスト社会主義、改革社会主義);One-world Capitalism(単一世界の資本主義)

この3つの主題別の章は、紹介文が挙げる三つの大きな問いに対応している。開発の章は世界の豊かな地域と貧しい地域の不平等を扱う。Cuffeは、「開発」が人々の都市生活への移動を意味するようになり、その変化を公平に進める方法を探る試みを指すようになった経緯についての議論に触れている。社会主義の章は社会主義経済、ポスト社会主義経済、改革を進める社会主義経済を扱い、Stephen Gudemanの推薦文は社会主義・ポスト社会主義時代についての記述を特に評価している。最後の主題別の章は、1970年代以降、国外だけでなく自国でも研究されてきた単一の世界システムとしての資本主義に向かう。

第9章:Where Do We Go From Here?(ここからどこへ向かうのか)

結論の章は、Cuffeが引用する一節において、経済人類学は独自の対象・理論・方法をもつ真の学問分野となり、政治人類学、開発人類学、経済社会学と肩を並べうると論じ、同時に人間諸科学のあいだの壁を取り払うべきだと主張する。出版社はその狙いを、マルセル・モースとカール・ポランニーに引き続き依拠しつつ、経済人類学を人文主義的なプロジェクトとして再生させることだと説明している。Don Robothamの推薦文は、これを道徳的必要と物質的必要の双方に応える「人間の経済学(human economics)」の提唱と呼んでいる。

主要概念

第1–3章:立場と長い歴史

  • 批判的人類学:記述や代弁にとどまらず、現代文明の基盤を判断する人類学。
  • オイコノミア(oikonomia):古代ギリシアにおける家産の管理。本書が描く経済という観念の歴史の出発点。
  • 兄弟分野としての経済学と人類学:本書がその成立からたどる、二つの近代的学問の関係。

第4–5章:論争とその後

  • 形式主義と実体主義:経済学の方法が非産業経済に当てはまるかどうかをめぐって対立した立場。
  • マルクス主義とフェミニズムの思潮:Cuffeによれば、本書がこの下位分野をたどる際に照らし合わせる理論的潮流。

第6–9章:大きな問い

  • 不均等な開発:世界の地域間の経済格差と、その理解への人類学の寄与。
  • 社会主義とポスト社会主義:中央計画経済、その改革、そしてその後。
  • 単一世界の資本主義:西洋でもそれ以外の地域でも研究される、グローバルなシステムとしての資本主義。
  • 人間の経済:モースとポランニーに依拠して、物質的必要だけでなく道徳的必要にも応える経済人類学を目指す、著者たちの人文主義的プログラム。

批判的分析

長所

  • テーマの羅列ではなく歴史。 本書はこの下位分野を古代世界から世界金融危機に至る物語として扱うので、学生はその論争がなぜ生じたのかを理解できる。Gudemanはこれを自分が見たなかで最も洗練された経済人類学史と呼び、Journal of the Royal Anthropological Institute は、一見平易な文章で大きな問いに取り組む本だと評した。
  • 経済学との対話。 著者たちは人類学を経済学と対立させて定義するのではなく、経済学、経済社会学、歴史学と結びつけており、経済社会学の側の書評(European Economic Sociology Newsletter と Revue Française de Socio-Économie)も自分たちの分野にとって有益だと評価した。
  • 明確な主張。 冒頭の立場表明と、独立した学問分野を求める結論が本全体の枠組みとなっている。学生は中立的な概観ではなく、検証すべき根拠ある立場を手にすることができる。
  • 先へ進むための道筋。 Cuffeは巻末の文献案内をさらなる読書への有益な手引きと評価しており、これほど短い本ではそれが重要になる。

短所

  • 意図的に簡潔。 Cuffeは、その分量と範囲ゆえに本書はこの分野の決定的な批判を提示することも、議論を十分に展開することもできないと結論づけている。歴史の扱いは駆け足であり、特定の側面について詳しく知りたい読者は本書を手引きとしてのみ使うべきだという。
  • 書名に「エスノグラフィー」を掲げる本としてはエスノグラフィーが少ない。 Cuffeは、著者自身のフィールドワークに基づく部分は豊かだが短すぎると感じ、講師の助けを借りるか一次文献と並行して読むことを勧めている。
  • 立場が明確に偏っている。 本書はこの下位分野の特定の将来像と、市場経済についての特定の判断を主張している。それが本書の目的ではあるが、学生はそれを一つの立場として認識する必要がある。
  • 2008年の金融危機の時期に書かれた本。 出版社は本書の意義を世界金融危機との関連で位置づけており、2011年以降の動向は扱われていない。

コースにおける位置づけ

経済人類学・政治人類学のリストの中で、Hann and Hartはコンパクトな歴史的概観である。最も近い副読本はRichard WilkとLisa Cliggettの Economies and Cultures で、時系列の歴史ではなく、人間の本性についての競合する前提(利己的、社会的、道徳的)を軸に構成された入門教科書である。両方を読めば同じ分野の異なる二枚の地図が手に入る。理論的立場への体系的な入門としてはWilkとCliggettのほうが優れ、この下位分野がどこから来てどこへ向かうべきかについての鋭い議論としてはHann and Hartが優れている。

リストにある古典的モノグラフは、この概観が言及する一次文献である。著者たちが今なお重要だとするマルセル・モースの The Gift と、交換と長期フィールドワークを描いたトロブリアンド諸島のエスノグラフィーであるブロニスワフ・マリノフスキの Argonauts of the Western Pacific は、第3章で扱われる初期の歴史に属する。中央集権的国家なしの生計と政治秩序を描いたE. E. エヴァンズ=プリチャードの The Nuer は、経済人類学をコースの政治的側面へとつなぐ。David GraeberとDavid Wengrowの The Dawn of Everything は、人類史と階層・国家の起源を幅広く読み直す近年の著作で、人類学を大きな問いに向けるもう一つの試みとして、Hann and Hartの最終章の後に読むとよい。

本書の使い方

本書は人類学にも経済学にも予備知識を前提としておらず、あらゆるレベルの社会科学の学生と一般読者を対象としている。短いので、コースの早い段階で通読できる。

  • 中核: 立場を知るために第1章を読み、次にこの下位分野の中心的な論争の歴史として第3–5章を読む。これらの章はコース全体で使われる語彙を与えてくれる。
  • 背景: 第2章は経済という観念を長い時間幅で見渡す章で、有益な文脈を与えるが、時間のない学生は手早く読んでもよい。
  • コースのテーマに合わせて: 第6–8章は、開発、社会主義とポスト社会主義、グローバル資本主義を扱う授業の単元に対応させられる。
  • 第9章で締めくくり、 経済人類学が独立した学問分野であるべきかどうかを論じるゼミの題材にする。

書評者が勧めるように、一次文献を手元に置いて読むとよい。歴史の章をモース、マリノフスキ、ポランニーからの抜粋と組み合わせ、レポートのための追加文献は文献案内から選ぶ。記述が簡潔なので、どのレポートの主題についても本書以外の文献が必要になる。