01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Eriksen, T. H., & Nielsen, F. S. (2013). A History of Anthropology (2nd ed.). Pluto Press. Anthropology, Culture and Society series.
章の要約
背景と論旨
オスロ大学の社会人類学教授でヨーロッパ社会人類学会の元会長でもあるトーマス・ヒュランド・エリクセンと、トロムソ大学とコペンハーゲン大学の人類学科で教えたフィン・シーヴェット・ニールセンによる、社会人類学・文化人類学のコンパクトな歴史書である(全9章、約250ページ)。初版は2001年に刊行され、プルート社は2013年の第2版を全面的に改訂・更新した版と説明している。出版社によれば、本書は「啓蒙」「ロマン主義」「ヴィクトリア朝」の人類学を、しばしば見過ごされるドイツの貢献を含めて概観し、人類学と国民文化とのあいまいな関係を検討し、1920年代から現在までの理論的展開をたどる。主要な人類学者の短い伝記や、トーテミズム、親族、グローバリゼーションといった論争の解説も含まれる。章構成は、アメリカの視点と同じくらいヨーロッパ、とりわけイギリス・フランス・ドイツの視点を反映している。
第1章:原人類学
冒頭の章は、人類学が成立する以前の人類学を探る。ヘロドトスとその他のギリシア人、古代以後の時代、ヨーロッパの征服とその影響、啓蒙思想、ロマン主義が扱われる。「なぜこれらはまだ人類学とは言えないのか」という節は、他民族への好奇心はまだ学問分野ではない、という著者たちの論点を示している。
第2章:ヴィクトリア朝の人々、ドイツ人、そして一人のフランス人
19世紀の進化論と文化史が、ルイス・ヘンリー・モーガン、カール・マルクス、アドルフ・バスティアンとドイツの伝統、エドワード・タイラーとその他のヴィクトリア朝の人々、『金枝篇』とトレス海峡調査隊、ドイツ伝播論を通じて扱われる。章の最後はエミール・デュルケムとマックス・ヴェーバーによる「新しい社会学」である。
第3章:四人の創始者
ブロニスワフ・マリノフスキ(トロブリアンド諸島民のフィールドワーク)、A・R・ラドクリフ=ブラウン(「社会の自然科学」)、フランツ・ボアズ(歴史的個別主義)、マルセル・モース(全体的社会的給付)の構想を示し、1930年時点の学問の状況を比較して、四人の間の類似点と相違点を確認して終わる。
第4章:拡大と制度化
人類学が大学に定着していく過程を、オックスフォードとLSE、コロンビアとシカゴ、フランスのダカール=ジブチ調査団、文化とパーソナリティ、文化史、民族言語学、シカゴ学派、著者たちが「親族学(キンシッポロジー)」と呼ぶ親族研究、「機能主義の最後の抵抗」、そして何人かのイギリスのアウトサイダーを通じてたどる。人類学はまだ周縁的な学問だったのか、と問う節もある。
第5章:変化の諸形態
戦後の変化と経済へのアプローチがここにまとめられている。新進化論と文化生態学、経済人類学における形式主義と実体主義の論争、ケンブリッジの方法論的個人主義者たち、役割分析とシステム理論である。
第6章:象徴の力
「機能から意味へ」の移行が、エスノサイエンスと象徴人類学、クリフォード・ギアツとデヴィッド・シュナイダー、クロード・レヴィ=ストロースと構造主義およびその初期の影響を通じてたどられる。章の最後では1968年時点の学問の到達点が概観される。
第7章:権威への問い
既成の学派への挑戦が、マルクスの復活、構造マルクス主義、「マルクス主義者とは言い切れない人々」、政治経済学と資本主義世界システム、フェミニズムと再帰的フィールドワークの誕生、エスニシティ、実践理論、社会生物学論争とサモアといった節で扱われる。
第8章:モダニズムの終焉か?
この章は20世紀後半を検討する。ポストモダンの批判、ポストコロニアルの世界、新しい方向は本当の出発なのか、それとも「ボアズへの回帰」なのかという問い、そしてその他の立場である。
第9章:グローバルなネットワーク
最終章は、国際的な人類学が生まれつつあるのかを問い、将来の傾向、生物学と文化の関係、グローバリゼーションとローカリティの生産を論じる。
主要概念
第1–2章:原人類学からヴィクトリア朝まで
- 原人類学:人類学が学問として成立する以前の、ヘロドトスからロマン主義者までの他民族についての記述と理論。
- 進化論と伝播論:文化の違いを発展段階によって、あるいは文化要素の伝播によって説明する19世紀の議論で、後者にはドイツの強い伝統がある。
第3–4章:創始者と制度
- 歴史的個別主義:各文化はそれ自身の歴史を通じて理解されるべきだとするボアズの主張。
- 全体的社会的給付:交換は社会生活の全体を一度に巻き込むというモースの考え。
- 親族研究:著者たちが「親族学」と呼ぶ、20世紀半ばの親族体系への集中。
第5–6章:変化と象徴
- 形式主義と実体主義:市場を前提とする経済理論が非市場社会にも当てはまるかをめぐる論争。
- 機能から意味へ:制度をその社会的機能で説明することから、その象徴を解釈することへの転換で、ギアツ、シュナイダー、レヴィ=ストロースに代表される。
第7–9章:批判とグローバリゼーション
- 政治経済学と世界システム:地域社会をグローバルな資本主義の中に位置づけるアプローチ。
- 実践理論:社会構造と個人の行為を結びつけるアプローチ。
- 再帰的フィールドワークとモダニズムの終焉:フェミニズムやポストモダンの立場からの、民族誌の権威への問い直し。
- ローカリティの生産:グローバルなネットワークの中で場所とローカルなアイデンティティがいかに作られるか。
批判的分析
長所
- 短く、連続している。 約250ページ・9章で、ギリシア人からグローバリゼーションまでを一つのつながった叙述として扱う。細部に入る前に学問全体の形をつかみたい読者に適している。
- ヨーロッパへの広い目配り。 バスティアンとドイツの伝統、ドイツ伝播論、ダカール=ジブチ調査団、ケンブリッジの個人主義者たち、「イギリスのアウトサイダー」に名前の付いた節があり、よく知られたイギリスとアメリカの物語以外のヨーロッパの伝統にも紙幅を割いている。出版社も、ドイツの学者への注目と、人類学と国民文化との関係を強調している。
- 思想をその場に置く。 制度(オックスフォード、LSE、コロンビア、シカゴ)についての節や、定期的な総括(「1930年の人類学」「1968年の到達点」)によって、理論が孤立した学派の一覧としてではなく、学科・調査団・世代を通じて発展したことを示している。
- 学派だけでなく論争を示す。 目次には具体的な論争(形式主義と実体主義、社会生物学論争、ポストモダンの転回は「ボアズへの回帰」なのか)が挙げられており、何が争点だったのかを学生が理解する助けになる。
短所
- 社会人類学・文化人類学のみ。 考古学、生物人類学、言語学は、社会理論に関わる場面(民族言語学や社会生物学論争など)でしか登場しない。四分野制のプログラムで学ぶ学生には、これらの分野について別の資料が必要である。
- 各人物の扱いが短い。 9章に数十の人物と学派が登場するため、本書は見取り図であり、一次文献の代わりにはならない。
- 最終改訂は2013年。 グローバリゼーションと将来の傾向についての最終章の議論はその時点の状況を反映しており、それ以降の論争は扱われていない。
コースにおける位置づけ
本書は、このコースの導入となる二冊の歴史書の一つである。エリクソンとマーフィーの A History of Anthropological Theory は、キーワードと学習課題の付いた短い節で構成されたより長い教科書で、社会・文化理論に加えて考古学、生物人類学、言語人類学も扱い、一次文献を集めた姉妹編がある。エリクセンとニールセンは、ヨーロッパに重心を置いた、より短く連続した叙述を提供する。学問がどのように成長したかを理解したい学生はここから始めるとよい。復習用の参照書が必要な学生や、四分野制のプログラムで学ぶ学生には、エリクソンとマーフィーの方が役に立つ。両方を使えば、同じ出来事を二つの視点から見ることができる。
マーク・モバーグの Engaging Anthropological Theory は、理論をそれを取り巻く社会的・政治的論争と結びつけるもう一つの歴史的概説で、本書の後に読むのに適している。コースの一次文献はエリクセンとニールセンの章の中に位置づけられる。ギアツの The Interpretation of Cultures は第6章に、ブルデューの Outline of a Theory of Practice は第7章の実践理論に、実験的な民族誌記述を呼びかけたマーカスとフィッシャーの Anthropology as Cultural Critique は第8章の論争に並べて読める。
本書の使い方
出版社は本書をあらゆるレベルの学生に適したものとして紹介しており、人類学を学んだ経験は前提としていない。ただし、社会人類学または文化人類学の入門授業を受けていれば、人名や論争を見分けやすい。
実践的な計画:
- 早い段階で通読する。 この分量なら理論の授業の最初の数週間で全体を読み通せ、その後に読む一次文献の枠組みが得られる。
- 多くの理論の授業での中核: 第3章と第6–8章。創始者たち、象徴論的・構造主義的転回、マルクス主義・フェミニズム・実践理論からの挑戦、ポストモダンの批判を扱う。
- 背景: 第1–2章は学問の問いがどこから来たかを説明する。第4–5章は経済人類学、親族、イギリスとアメリカの伝統に関する授業に役立つ。
- 最近の論争: 第9章はグローバリゼーションと、生物学と文化の関係を紹介する。より新しい研究で補うこと。
授業で一次文献が課されたら、まず該当する節を読み直し、著者たちがそれを前後の展開とどう関係づけているかを確認するとよい。レポートで立場を比較する際には本書の説明を活用しつつ、要約ではなく原著者を引用すること。
