01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Wright, E. O. (2015). Understanding Class. Verso.
章の要約
本書は約270ページである。第1部の題は「階級分析の枠組み」(Frameworks of Class Analysis)、第2部は「21世紀の階級」(Class in the Twenty-First Century)で、111ページから始まる。ほとんどの章は、ある著者や論争が階級をどう扱っているかを対象とし、最後の章は階級闘争と階級妥協を論じる。21ページの最初の題付きの章の前に、導入の章がある。出版社は、全体を「より統合された階級分析の枠組み」を築く試みと説明している。出版社の紹介は道筋を示している。まずマルクスとウェーバー、続いてチャールズ・ティリー、トマ・ピケティ、ガイ・スタンディングらを経て、最後に階級闘争と階級妥協が現代社会でどう展開するかを検討する。
導入の章(1–20ページ)
ライトは2009年に『ニュー・レフト・レビュー』に同題の論文を発表しており、そこで階級に関わる三つの因果過程の束を挙げている。個人の属性と物質的生活条件としての階級(階層研究の立場)、資源の統制と他者の排除、すなわち「機会の囲い込み」としての階級(ウェーバー的立場)、支配と搾取の構造としての階級(マルクス主義の立場)である。本書が約束する枠組みとは、この三つを一緒に考えるための方法である。
ウェーバーの階級分析における搾取の影(The Shadow of Exploitation in Weber's Class Analysis、21ページ)
最初の題付きの章はマックス・ウェーバーを扱う。彼の階級分析はふつうマルクスと対比される。題名からは、この章がウェーバーの議論の背後に、マルクス主義の中心概念である搾取の影響を探っていることがわかる。
チャールズ・ティリー『持続する不平等』のメタ理論的基礎(Metatheoretical Foundations of Charles Tilly's Durable Inequality、57ページ)
ティリーの持続的不平等に関する著作のメタ理論を論じる章である。「カテゴリー的不平等」と「機会の囲い込み」は、本書の索引語の中で目立つ項目である。
階級、搾取、経済的レント:ソレンセン「階級分析のより確かな基礎に向けて」についての考察(Class, Exploitation, and Economic Rents: Reflections on Sørensen's "Toward a Sounder Basis for Class Analysis"、79ページ)
オーゲ・ソレンセンの論文「階級分析のより確かな基礎に向けて」についてのライトの考察で、搾取と経済的レントが議論の鍵語になっている。
マイケル・マンの二つの階級分析の枠組み(Michael Mann's Two Frameworks of Class Analysis、93ページ)
マイケル・マンの著作にある階級分析の二つの枠組みを論じる章で、第1部の最後の章である。
デイヴィッド・グルスキーと……(David Grusky and …、113ページ)
第2部の最初の章はデイヴィッド・グルスキーの研究を扱っている。「ミクロ階級」は本書の頻出語であり、この章が職業に基づいて階級をより細かく分ける、グルスキーのアプローチを論じていることを示唆する。
ピケティの『……』における階級の曖昧さ(The Ambiguities of Class in Thomas Piketty's …、127ページ)
題名は、トマ・ピケティの資本と不平等についての議論が階級をどう扱うかに曖昧さがあることを指している。
階級の死をめぐる論争(The Death of Class Debate、139ページ)
出版社の紹介は、階級はもはや意味を失ったと宣言する人々がいる一方、階級は現代資本主義の中心であり続けると主張する人々もいる、と述べている。この章はその論争を扱う。
プレカリアートは階級か(Is the Precariat a Class?、157ページ)
ガイ・スタンディングの、プレカリアートは新しい階級だという主張を、ライトの概念を使って検討する。
誰にとって有益か(Beneficial for Whom?、177ページ)
約8ページの短い章で、題名は問いの形をしている。
労働者階級の力、資本家階級の利益、階級妥協(Working Class Power, Capitalist Class Interests, and Class Compromise、185ページ)
約46ページあり、目次に載る章の中で最も長い。題名は労働者階級の力、資本家階級の利益、階級妥協を結びつけている。「積極的な階級妥協」と「階級の結社的力」は、本書全体で繰り返し現れる用語である。
階級闘争と階級妥協……の時代(Class Struggle and Class Compromise in the Era …、231ページ)
最終章。出版社はこれを、階級闘争と階級妥協が現代社会でどう展開するかの検討と要約している。
主要概念
全体
- 複数の因果メカニズムとしての階級:個人の属性と生活条件、機会の囲い込み、支配と搾取。それぞれ階層研究、ウェーバー的伝統、マルクス主義的伝統に対応する。
- 搾取:一部の人々が他者の労働を支配することで利益を得るという、マルクス主義の中心的な考え方。最初の題付きの章は、それがウェーバーの分析の背後にどう影を落としているかを問う。
- 持続する不平等:世代を超えて続く不平等を指すティリーの用語で、第2の章で検討される。
- 経済的レント:ソレンセンの章の中心にある概念。
- プレカリアート:スタンディングの議論が組み立てられる集団で、「階級か」を問う章で検証される。
- 階級妥協:労働者の集団的組織と資本の利益との間の取り決めで、最後の章群が検討する。
批判的分析
長所
- 複数の論争を貫く一本の議論。 出版社は、本書がマルクスとウェーバー、ティリー、ピケティ、スタンディングらを経つつ、一つの統合的な枠組みへ向かうと紹介している。そのため読者は、対立する立場を調停せずに並べた概説ではなく、主要な競合立場の案内を得られる。
- 名指しされた現代の立場との対話。 各章は識別できる著者と著作(ウェーバー、ティリー、ソレンセン、マン、グルスキー、ピケティ、スタンディング)を軸に組まれており、論争をたどりやすく、ゼミの論文で引用しやすい。
- 評価。 出版社のページは、ヨーラン・テルボーンが急進的思考への基準となる貢献と評し、マイケル・ブラウォイが政治的想像力と分析の明晰さの両立を称賛した言葉を引いている。
短所
- 他の著者のテクストを軸にした構成。 多くの章は特定の著者や著作を対象とする。ウェーバー、マルクス、ティリーを読んだことのない読者は、原典と併読する必要がある。
- 概説書でもデータ集でもない。 移動、所得、富に関する経験的知見を扱う章がなく、階層研究の教科書の代わりにはならない。
- 構造は論集に近い。 章の一覧は、異なる著者についての論文の連なりに見え、段階的に積み上げる議論ではない。したがって順序は目安であり、必須ではない。
コースにおける位置づけ
階級と不平等の読書リストの中で、本書は階級そのものをどう考えるかを論じる一冊である。『Social Stratification』と『Inequality and Society』は、複数の学問分野の古典と最近の文章を集めた大型のリーダーである。ライトの本はそれらに添えて読むことができ、対立する視点が互いにどう関係するかについての一人の著者の試みを与えてくれる。『The American Class Structure in an Age of Growing Inequality』は、仕事、賃金、富に関する最新のデータからアメリカの階級構造のモデルを組み立てる教科書で、ライトの各章がほぼ扱わない経験的な面を補う。『Social Class in the 21st Century』は、Great British Class Surveyに基づいて現代イギリスの階級を平易に語り、『Unequal Childhoods』は階級が家族生活をどう形づくるかを描いた民族誌である。この二冊は生きられた階級を示すが、ライトが関心を向けるのは概念である。
本書の使い方
本書は、マルクスとウェーバーの階級論の基本をすでに知っており、研究計画のためにどの枠組みを使うかを決めたい学部上級生や大学院生に向いている。まず導入の章とウェーバーの章を読み、必要な論争に合わせて章を選ぶとよい。搾取とレントにはティリーとソレンセン、競合する枠組みにはマンとグルスキー、現在の議論にはピケティと階級の死の章、現代の検証例としてはプレカリアートの章である。最後に末尾の二章で、階級妥協という政治的な問いを読む。なじみのない著者については、その章を彼らが論じる原著と並べて読み、本書が前提とする経験的な資料は階層研究のリーダーで補うとよい。
