01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Dolan, P. (2014). Happiness by Design: Finding Pleasure and Purpose in Everyday Life. Allen Lane.
章の要約
本文は約235ページで、それぞれ4章から成る二部に分かれ、前にダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)による序文、読者へのメモ、短い「ウォームアップ」の課題、導入があり、後ろに結論、注、索引がある。第1部(「Developing Happiness」幸福を育てる)は、幸福とは何か、幸福について何が分かっているか、なぜ人はもっと幸福でないのかを述べる。第2部(「Delivering Happiness」幸福を届ける)は、決める、設計する、行うという3つの実践的ステップと、それらを組み合わせる最終章を示す。米国版は2014年に Hudson Street Press から、ペンギンのペーパーバックは2015年に刊行された。
前付:序文、読者へのメモ、ちょっとしたウォームアップ、導入
カーネマンの序文は、幸福研究の二つの中心的な問題を挙げる。快楽の人生と、よく生きられた意味のある人生との区別、そして幸福をどう測るかである。彼は、ドーラン(Dolan)が「意味がある」「意味がない」を判断ではなく経験として扱い、目的と快楽をともに幸福の構成要素とした点を評価している。読者へのメモでは、ドーランが医療経済学から幸福研究へ移った経緯、カーネマンとの出会い、幸福と行動の両方を研究する仕事、自身の生い立ちを述べる。ウォームアップでは、より多くのお金、短い通勤、友人と過ごす時間の増加など20項目のリストから、最も幸福にしてくれる4つを選び、それぞれの実現の難しさを評価するよう求める。導入「Stuttering into Happiness」は、ドーラン自身の吃音の話から始まり、それを使って、問題がどれほど注意を奪うかを示す。
第1部:Developing Happiness(幸福を育てる)
第1章:What Is Happiness?(幸福とは何か)
幸福を評価として、また感情として考察し、そのうえで快楽・目的原則(pleasure-purpose principle)、つまり時間を通じた快楽と目的の両方の経験として幸福を定義する本書の立場を導入し、「The PPP for Life」の見出しのもとで人生全体に適用する。
第2章:What Do We Know about Happiness?(幸福について何が分かっているか)
経験サンプリングと、「German days」「American episodes」という二つの節から始めて証拠を概観し、そのほかの証拠と、幸福の測り方がなぜ重要かを検討する。
第3章:What Causes Happiness?(何が幸福をもたらすか)
「ウィジェットから幸福へ」と進み、「表面の上と下」にあるもの、行動のスピルオーバー、「移ろう注意の砂」を見たうえで、幸福に注意を向けることで終わる。
第4章:Why Aren't We Happier?(なぜもっと幸福ではないのか)
誤った欲求、誤った予測、誤った信念を検討し、注意の再配分で終わる。
第2部:Delivering Happiness(幸福を届ける)
第5章:Deciding Happiness(幸福を決める)
自分自身のフィードバックと他者のフィードバックに注意を払うよう勧め、頑張りすぎないよう戒め、「Happier by Deciding」で終わる。
第6章:Designing Happiness(幸福を設計する)
プライミング、デフォルト、コミットメント、社会規範、習慣の設計を取り上げ、「Happier by Designing」で終わる。
第7章:Doing Happiness(幸福を行う)
行動における注意の章。自分が何をしているか、誰とそれをしているかに注意を払い、気を散らされないようにする。
第8章:Decide, Design, and Do(決める、設計する、行う)
三つのステップを「Dither Less」(迷いを減らす)、「Distribute More」(もっと配分する)、「Efficient Production」(効率的な生産)の見出しのもとで組み合わせる。
結論
謝辞と注の前に置かれた締めくくりの章。
主要概念
第1部
- 快楽・目的原則(PPP):ドーランによる、時間を通じた快楽と目的の両方の経験としての幸福の説明。判断ではなく経験として扱われる。
- 経験サンプリング:第2章が証拠を概観する際の最初の話題。
- 注意:第3、4章を貫く糸で、「移ろう注意の砂」や「注意の再配分」を含む。
- 誤った欲求、予測、信念:第4章が、なぜ人はもっと幸福でないのかを説明するために用いる三種類の誤り。
第2部
- 決める、設計する、行う:出版社の紹介と第5〜7章に示された3つの実践的ステップ。
- プライミング、デフォルト、コミットメント、社会規範:「設計」で論じられる行動のツール。
- 迷いを減らし、もっと配分する:最終章で三つのステップを組み合わせるための指針。
批判的分析
長所
- 明快な中心的着想。 快楽・目的原則は、ある活動が快楽をもたらすのか、目的をもたらすのか、両方なのかという、繰り返し当てはめられる一つの問いを本書に与えており、カーネマンの序文はこの定義を大胆で独創的な一歩と評している。
- 証拠と実践が一つの枠組みにある。 第1部は経験サンプリングのデータを含む研究を概観してから、第2部で行動のツールに移るので、提案は証拠のあとに来る。Daisy Yuhas は Scientific American の書評で、本書を幸福の科学の包括的な概観であり、有用なヒントを与えるものと評した。
- 個人的な切り口。 読者へのメモと吃音についての導入は、研究をドーラン自身の経験と結びつけ、それを注意の説明に用いることで、抽象的な着想を具体的なものにする。
- 見通しがよい。 見出しは短く説明的で、ウォームアップの課題は読者に自分自身の出発点を与える。
短所
- 技術的ではなく一般向け。 本書は一般の読者のために書かれ、各章の背後に約30ページの注があるが、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスが挙げる Daily Telegraph の書評は「時に専門用語が多い」という見出しである。研究を学ぶ学生は、注をたどって原典の研究に当たるべきである。
- よく知られた助言。 Scientific American の書評は、ドーランの提案の多くは聞き覚えがあるかもしれないと述べており、本書の強みは助言の新しさではなく、研究の裏づけにある。
- 行動と注意に焦点。 本書は、人々が何をするか、どこに注意を向けるかを変えることを軸に組み立てられている。より広いウェルビーイング、強み、健康の理論を求める読者は、コースの教科書に頼る必要がある。
コースにおける位置づけ
ポジティブ心理学・健康心理学の書籍リストの中で、Happiness by Design は、行動に焦点を当てた読みやすいウェルビーイングの本である。Jonathan Haidt の The Happiness Hypothesis は、古代の哲学的な知恵と現代の心理科学を総合し、幸福、徳、意味をより広く論じる。ドーランがほとんど扱わない哲学的背景を求める読者に向く。Elissa Epel の The Stress Prescription は、ストレスとの関係を変えるための、科学にもとづく7日間のプログラムで、ドーランと同様に実践的な変化を重視する。
より詳しい扱いとしては、Positive Psychology: The Scientific and Practical Explorations of Human Strengths がウェルビーイング、強み、最適機能についての研究にもとづく教科書であり、Stanton と Taylor の Health Psychology や、Marks、Murray、Estacio の Health Psychology: Theory, Research and Practice は、心理的・行動的要因が健康に及ぼす影響の教科書である。まずドーランで枠組みを知り、Haidt か Epel を併読し、そのあとでこれらの教科書で研究を学ぶとよい。
本書の使い方
本書は、一般の読者と、心理学、健康、行動科学の1年生に向く。行動とウェルビーイングの関係への好奇心以外に、前提条件はない。
実用的な計画は次のとおり。
- 中核: 快楽・目的原則のために第1章、実践的ステップのために第5〜8章。
- 証拠のために: 助言の背後にある研究を見たい読者は、第2〜4章を注とともに読む。
- 併用: 読む前にウォームアップを行い、第4章のあとで自分の4つの選択に戻る。普通の一週間が快楽と目的の間でどう配分されているか簡単に記録し、第6章か第7章から一つの変更を試す。
- コースで: 幸福のより広い見方のために Haidt と、この分野の方法のためにポジティブ心理学の教科書と組み合わせる。
