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Cognitive Neuroscience: The Biology of the Mind(認知神経科学:心の生物学) cover

心理学

心理学

Cognitive Neuroscience: The Biology of the Mind(認知神経科学:心の生物学)

Michael S. Gazzaniga; Richard B. Ivry; George R. Mangun; Dani S. Bassett; Elizabeth A. Phelps

英語原題: Cognitive Neuroscience: The Biology of the Mind

認知が脳でどのように実現されているかを扱う、この分野で研究を続ける研究者チームによる教科書。神経系、研究方法、大脳半球の機能分化を扱ったのち、感覚と知覚、注意、行為、記憶、情動、言語、認知制御、社会的認知を順に取り上げ、意識で締めくくる。

前提知識: 中級レベルの認知心理学と、ニューロンと脳解剖に関する基礎的な入門を学んでいること。

難易度レベル
上級
学術レベル
学部
cognitive neuroscienceattentionmemorylanguageconsciousness教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Gazzaniga, M. S., Ivry, R. B., Mangun, G. R., Bassett, D. S., & Phelps, E. A. (2025). Cognitive Neuroscience: The Biology of the Mind (6th ed.). W. W. Norton & Company.

章の要約

第6版は14章からなる。全体の流れは章題からよく分かる。歴史的な導入、脳とその研究方法についての二つの章、左右の大脳半球についての一章、続いて認知心理学の科目の順序に沿った一連のテーマ別の章(知覚、認識、注意、行為、記憶、情動、言語、制御、社会的認知)があり、最後に意識で終わる。Gazzaniga、Ivry、Mangunが元の著者で、Dani BassettとElizabeth Phelpsが今版から加わった。出版社によれば、Bassettの専門はネットワーク科学、Phelpsの専門は記憶と社会的認知である。

第1章:A Brief History of Cognitive Neuroscience--and a Look Beyond(認知神経科学小史——そしてその先へ)

冒頭の章は、この分野を歴史の中に位置づけ、今後を展望して、本書の以後の章が取り上げる問いを示す。

第2章:Structure and Function of the Nervous System(神経系の構造と機能)

解剖学的・生理学的な基礎であり、以後の章が前提とする神経系の知識である。

第3章:Methods of Cognitive Neuroscience(認知神経科学の方法)

この分野が結論を導く際の手段。テーマ別の章に先立ってこの章を読むと、後の証拠を評価しやすくなる。

第4章:Hemispheric Specialization(半球特殊化)

二つの大脳半球の間の機能分担を扱う、この分野の古典的なテーマの章。

第5–6章:Sensation and Perception(感覚と知覚);Object Recognition(物体認識)

脳が感覚入力を知覚経験や認識された物体に変える仕組みを扱う二つの章。

第7–8章:Attention(注意);Action(行為)

選択的注意と、運動・行為の制御。出版社の著者紹介によれば、Mangunの研究は注意、Ivryの研究は認知と行為の関係に関するものである。

第9章:Memory(記憶)

Phelpsの専門を出版社は記憶と社会的認知と説明しており、彼女は今版の著者の一人である。この章は脳における記憶を扱う。

第10章:Emotion(情動)

情動の神経基盤。出版社はPhelpsを、情動と学習・記憶の関係の専門家として紹介している。

第11章:Language(言語)

言語の生物学的基盤。

第12–13章:Cognitive Control(認知制御);Social Cognition(社会的認知)

思考と行動の実行的制御と、他者について考える際の脳の仕組み。社会的認知は、出版社がPhelpsの専門として挙げるもう一つの領域である。

第14章:The Consciousness Problem(意識の問題)

最終章は、意識的経験の問題を認知神経科学の問いとして取り上げる。

主要概念

第1–4章:基礎

  • 神経系の構造と機能:以後の章の解剖学的土台。
  • 認知神経科学の方法:脳の測定を認知についての主張に結びつける技術。
  • 半球特殊化:脳の左右がそれぞれ何を担うかの違い。

第5–11章:認知の諸領域

  • 感覚と知覚、物体認識:感覚入力から認識された物体まで。
  • 注意と行為:情報を選び、それに基づいて行動すること。
  • 記憶と情動:学習の中で相互作用する二つの系。
  • 言語:その神経基盤。

第12–14章:制御、社会的認知、意識

  • 認知制御:思考と行動の調整。
  • 社会的認知:脳がどのように他者の理解を支えるか。
  • 意識の問題:意識的経験と脳活動の関係。

批判的分析

長所

  • 一貫した教育設計。 出版社のサイトは、引用している教員(ライト州立大学のAssaf Harel)の言葉として、「強い全体的な物語」と「繰り返される組織構造」、および明快な文章を挙げている。
  • マルチメディアの学習環境。 出版社は、患者の動画、操作できる3D脳、低負荷の確認テストを組み込んだNorton Illumine電子書籍と、現役の神経科学者が出演する「Behind the Citation」動画を紹介している。空間的な解剖と臨床例が中心となる分野では、こうした資源は役に立つ。
  • 現役の研究者による執筆。 著者陣は記憶、情動、注意、行為、ネットワーク科学の研究者で構成され、出版社は新しい二人の著者がネットワーク科学と、記憶・社会的認知の最新の研究と技術をもたらすと述べている。
  • 見慣れたテーマの順序。 テーマ別の章が認知心理学の科目の標準的な区分に沿っているため、認知心理学の教科書と章ごとに対照しながら読める。

短所

  • 前提知識が必要。 章の順序は神経系から方法へと速く進む。ニューロンや脳の基本的な解剖に触れたことのない読者は、第2章を丁寧に読み、復習のために別の資料も探す必要がある。
  • 認知と生物学に重点。 章立てには、発達、個人差、臨床的な障害、計算モデリングを扱う独立した章がない。本書は認知機能とそれを支える脳の系を軸に構成されており、それ以外の話題には他の書籍が必要である。
  • 専門家には広く浅い。 全14章で約600〜700ページ(目録により612ページと720ページの記載がある)のため、テーマによっては膨大な文献の主な流れしか扱えない。専門にしたい読者は、そのテーマの総説論文が必要になる。

コースにおける位置づけ

認知心理学コースの書籍リストの中で、生物学寄りの一冊である。より入門的な教科書を先に読むのがよい。TaylorとWorkmanの Cognitive Psychology: The Basics とEysenckとBrysbaertの Fundamentals of Cognition は、この分野に初めて触れる読者向けで、Reisbergの Cognition は読みやすい中程度の分量の学部向け教科書である。EysenckとKeaneの Cognitive Psychology: A Student's Handbook は、実験研究、認知神経科学、神経心理学、計算モデリングを統合した総合的な教科書であり、Gazzanigaの本と最も重なる。

Gazzanigaらは、同じテーマについて脳の側からより深い説明を与える。Griffiths、Chater、Tenenbaumの Bayesian Models of Cognition は、計算問題の水準で認知を説明するより専門的な本で、両者は補い合う。一方は脳がある機能をどこでどう実現するかを問い、もう一方はその機能がどんな問題を解くのかを問う。

本書の使い方

認知心理学の科目を履修し、ニューロンや脳の解剖について入門的な知識がある学部生を対象とする。認知の神経基盤を幅広く把握したい他分野の大学院生にも向いている。

実際的な読み方は次のとおり。

  • 中核: まず第2章と第3章。残りの章に必要な解剖学と方法の語彙が得られる。第1章は背景として読む。
  • その後はテーマ別: 認知心理学の科目の順序に従い、第5–6章を知覚、第7章を注意、第9章を記憶、第11章を言語、第12章を思考と実行機能と組み合わせる。
  • 選択: 第4章(半球特殊化)、第10章(情動)、第13章(社会的認知)、第14章(意識)は、授業に応じて個別に指定できる。
  • 併用: 出版社の電子書籍の機能、特に3D脳を解剖の学習に使う。第5–6章と第9章を、認知心理学の教科書の対応する章と並べて読み、行動の証拠と神経の証拠を合わせて見る。