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Clinical Psychology: A Very Short Introduction(臨床心理学:ごく短い入門) cover

心理学

心理学

Clinical Psychology: A Very Short Introduction(臨床心理学:ごく短い入門)

Susan Llewelyn; Katie Aafjes-van Doorn

英語原題: Clinical Psychology: A Very Short Introduction

専門職であり研究分野でもある臨床心理学への簡潔な入門書である。臨床心理士が何をしているのか、どのような心理的困難を扱うのか、どのようなモデルや療法に依拠しているのか、そして国によって異なる専門職のあり方を形づくる論争を説明する。

前提知識: 心理学の予備知識は必要ない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
clinical psychologymental healthpsychological therapypsychopathologyvery short introduction

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Llewelyn, S., & Aafjes-van Doorn, K. (2017). Clinical Psychology: A Very Short Introduction. Oxford University Press.

章の要約

オックスフォード大学出版局の「Very Short Introduction」の一冊で、7つの章に序文と図版一覧が付き、本文は約125ページ。個々の障害よりも臨床心理学という職業を扱う本であり、臨床心理士とは誰か、どんな人と関わるか、どんな技能と枠組みを使うか、この分野が何を論争しているかが語られる。以下の要約は出版社の章ごとの要旨に基づく。

第1章:働く臨床心理士(Clinical psychologists at work)

臨床心理士が目指すこと、すなわち、不幸せな人、困難を抱える人、病気の人、とりわけ精神的健康に影響が出ている人に心理的援助を提供することを紹介する。訓練が情緒的・認知的な健康の理解に基づくことを説明し、職業の簡単な歴史、臨床心理士の役割と職場、生じる倫理的問題の概要を示す。

第2章:ゆりかごから墓場まで(From the cradle to the grave)

生涯のさまざまな時期にいる来談者の例を示す。子どもと若者については、行動の問題、情緒の問題、摂食の問題、精神病、身体的・発達的障害という五つの主要な困難を取り上げる。続いて来談者の大半を占める就労年齢の成人、さらに高齢者、知的障害のある人、身体的・神経学的な健康問題を抱える人を扱う。

第3章:職業の道具(Tools of the trade)

臨床心理士が訓練で身につけ、その後も発展させる一連の能力を述べる。アセスメント、フォーミュレーション、介入、研究と評価、コンサルテーション、スーパービジョン、教育、リーダーシップ/管理である。これらのどれも臨床心理学に固有ではなく、全体を体系的かつ深く用いることが臨床心理学を特徴づける、と章は述べる。

第4章:臨床心理士が用いる枠組み(Frameworks used by clinical psychologists)

これらの能力の使い方を導く理論的な考え方を見る。取り上げられるのは、行動的、認知的、精神力動的、システム論的、統合的な枠組みである。どの枠組みを使うかは、サービスの状況、来談者の希望、研究上のエビデンス、臨床ガイドライン、心理士自身の判断によって決まる。

第5章:内省的な科学者-実践家としてのアイデンティティを育てる(Developing our identity as reflective scientist-practitioners)

この職業の利点と難点を考える。認可された課程、スーパーバイズ付きの臨床経験、試験という通常の訓練の道筋、科学を実践に統合することについての正式な振り返り、そしてセルフケアの必要性が述べられ、共感疲労とバーンアウトが危険として挙げられる。

第6章:現在の合意と論争(Current agreements and debates)

多くの臨床心理士が受け入れていること、すなわち、心の問題の原因、心の働き方、人が変わるのを助けるもの、心理的介入がどう役立つかを示し、そのうえで意見が分かれる三つの領域を取り上げる。心理士はどこまで内省的であるべきか(自身が個人療法を受けるべきかを含む)、科学者を名乗れるのか、実践で何に力を注ぐべきか、である。

第7章:臨床心理学の射程を広げる(Extending the reach of clinical psychology)

将来を見通す章。役割は発展し、分野は国境を越えて広がり、技能は医学、コミュニケーション、技術、科学の進歩とともに変化している。臨床心理学は、個人の経験に目を向けつつ、広く社会に関わる課題の解決にも貢献できると論じる。

主要概念

第1~3章

  • 科学者-実践家:臨床の仕事が研究と評価に支えられるというモデルで、第5章の題名に現れる。
  • フォーミュレーション:アセスメント、介入、研究と評価、コンサルテーション、スーパービジョン、教育、リーダーシップと並ぶ中核的な能力の一つ。
  • 生涯にわたる来談者層:子どもと若者、就労年齢の成人、高齢者、知的障害のある人、身体的・神経学的疾患のある人。

第4~7章

  • 枠組み:理解と行動を方向づける、行動的、認知的、精神力動的、システム論的、統合的なアプローチ。
  • 共感疲労とバーンアウト:セルフケアとともに論じられる、仕事に伴う危険。
  • 論争点:心理士自身の個人療法、科学者であるという主張、実践の重点。
  • 世界的な広がり:職業が国境を越えて広がること。

批判的分析

長所

  • 療法だけでなく職業全体を扱う。 仕事と来談者から、技能と枠組み、訓練、論争、将来へと進む構成なので、この進路を考える学生に現実的な全体像を与える。
  • 意見の不一致を率直に示す。 一章をまるごと、分野が合意していることと争っていることに充てている。出版社の説明も、臨床心理学は精神医学と競うべきか協力すべきか、科学と呼べるのか、といった問いを挙げている。
  • 来談者と現場の幅が広い。 第2章は幼少期から老年期までの来談者を意識的に取り上げ、本書は世界各地での違いにも触れている。

短所

  • 非常に短い。 7章で約125ページのため、各枠組みは一章の一節ほどしか扱われない。技法、個々の療法のエビデンス、障害ごとの網羅的な解説を求める読者は他の本が必要である。
  • 職業中心の見方。 本書は障害ではなく臨床心理士の仕事を軸に組み立てられているので、異常心理学の教科書の代わりにはならない。

コースにおける位置づけ

異常心理学・臨床心理学の書籍の中で最も短い入門であり、この分野に進むか迷っている学生が最初に読むのに適している。Pomerantz の Clinical Psychology: Science, Practice, and Diversity は同じ職業(訓練、アセスメント、心理療法)を扱う学部向け教科書で、はるかに詳しく、このテーマの授業での次の一歩になる。

障害そのものについては、Comer 父子の Psychopathology: Science and Practice が主要な障害区分と治療を概観し、Maddux と Winstead 編の Psychopathology は専門家による章を集めた大学院向け教科書である。Barlow の Clinical Handbook of Psychological Disorders は実践家や上級生向けの治療マニュアルだ。Tom Burns の Psychiatry: A Very Short Introduction は、隣接する医学的職業とそれへの批判の歴史を語るので、よい併読書になる。出版社の説明も、臨床心理学と精神医学の関係を本書の主要な問いの一つに挙げている。

本書の使い方

心理学の予備知識は不要。大学1年生、臨床心理の養成課程を考えている人、保健・福祉・教育の現場で心理士と協働する人、この肩書きが実際に何を意味するのか知りたい一般読者に向く。

実践的な進め方としては、第1~3章で仕事の全体像を掴み、第4章を主な治療的枠組みの地図として読み、詳しくは長めのテキストで追う。進路を考える人には第5章と第6章が最も役立ち、分野の行方は第7章でわかる。一度に通読しやすい長さである。精神病理学を学ぶのが目的なら、障害別の教科書と併せて読むとよい。