01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Kalat, J. W. (2024). Biological Psychology (14th ed.). Cengage Learning.
章の要約
本書は14章と2つの付録からなる。出版社は、本書を心理学の学生に加え、生物学や医学部進学課程の学生にも向けて書かれたテキストと説明しており、各章はモジュールに分かれ、各モジュールには学習目標とキーワードの一覧が付いている。以前の導入部は、現在は第1章の最初のモジュールになっている。章の順序は、細胞とシナプスから出発し、解剖、発達、感覚を経て、運動、動機づけられた行動、認知へと進み、最後に精神病理で終わる。
第1–3章:The Cellular Foundations of Behavior(行動の細胞的基盤)/Synapses(シナプス)/Anatomy and Research Methods(解剖学と研究法)
最初の3章は構成要素を扱う。神経細胞、その間のシナプス、そして神経系の解剖とそれを研究する方法である。後続のすべての章が頼る語彙がここで与えられ、第1章にはこの分野自体を紹介する導入モジュールも含まれる。
第4章:Genetics, Development, and Plasticity(遺伝、発達、可塑性)
章題は、遺伝学を発達と可塑性と組み合わせており、神経系がどのように形成され、経験によってどのように変化するかを扱うことを示している。
第5–7章:Vision(視覚)/Hearing, the Mechanical Senses, and the Chemical Senses(聴覚、機械感覚、化学感覚)/Movement(運動)
視覚には独立した章がある。聴覚、機械感覚、化学感覚は第2の章を共有し、運動が感覚系と運動系の並びを締めくくる。出版社が挙げる更新内容には、加齢に伴う聴覚の変化、女性と男性における痛みの仕組み、COVID-19の嗅覚への影響、眼球運動を制御する皮質細胞が含まれるが、どの章に属するかは示されていない。
第8–11章:Wakefulness and Sleep(覚醒と睡眠)/Internal Regulation(内部調節)/Reproductive Behaviors(生殖行動)/Emotional Behaviors(情動行動)
内的な状態に駆動される行動を扱う4章で、睡眠と覚醒、身体の内部環境の調節、生殖行動、情動である。出版社の更新リストには、薬物依存に対する脳の反応や、誤解を招く減量・精神機能向上サプリメントも含まれる。
第12–13章:Learning, Memory, and Intelligence(学習、記憶、知能)/Cognitive Functions(認知機能)
この2章は学習、記憶、知能を扱い、続いて認知機能を扱う。出版社の更新内容には、海馬が記憶を皮質に引き渡すのではなく、海馬と皮質が並行して記憶を保存することを示す新しい研究や、心と脳という哲学的問題についての拡充された議論がある。
第14章:Psychopathology(精神病理)
最終章の題は「精神病理」である。出版社の更新内容には、抗うつ薬がシナプスのセロトニンを速やかに増やすのに行動上の効果が出るまで数週間かかる理由についての2つの説明と、自閉症および発熱の影響についての新しい内容が含まれる。
付録A・B:Brief, Basic Chemistry(簡潔な基礎化学)/Society for Neuroscience Policies on the Use of Animals and Human Subjects in Research(動物およびヒトを対象とする研究に関する神経科学会の方針)
付録Aは基礎化学の簡単な手引きで、付録Bは動物およびヒトを対象とする研究についての北米神経科学会(Society for Neuroscience)の方針を扱う。
主要概念
第1–4章:細胞、シナプス、解剖、遺伝子
- 細胞的基盤:行動の単位としての神経細胞。
- シナプス:ニューロン同士が情報をやり取りする場所。
- 研究法:神経系を調べる手段で、解剖と合わせて学ぶ。
- 可塑性:発達と経験を通じて神経系が変化する能力。
第5–7章:感覚と運動
- 視覚:独立した章をもつ視覚系。
- 機械感覚と化学感覚:聴覚、触覚に関わる感覚、味覚と嗅覚。
- 運動:行為の制御。
第8–14章:行動、認知、障害
- 覚醒と睡眠、内部調節、生殖行動、情動行動:動機づけと情動に関する章。
- 学習、記憶、知能:およびそれに続く認知機能。
- 精神病理:障害を扱う最終章。
批判的分析
長所
- 各モジュールに組み込まれた学習支援。 出版社によれば、各モジュールは学習目標で始まり、ページ参照付きのキーワード、考察を促す問い、多肢選択式の復習問題で終わる。各モジュール内の Stop and Check の小テストは、問いの直後に答え(上下逆さに印刷)を示して即座にフィードバックを与える。
- 体験型の活動。 30を超える Try It Yourself の演習が、盲点、運動盲、両眼視野闘争などの現象を例示する。
- 意図的に絞り込まれた本文。 出版社によれば、著者は一度に多くを学ぼうとすると学生は忘れてしまうと考え、本文をできるだけ簡潔に保っており、簡素な引用形式によって参考文献のページも削減した。再現が難しかった結果は削除したとも述べている。
- 最新の研究基盤。 第14版では500を超える新しい文献が加わり、その大半は2019年から2022年のものである。カハール、シェリントン、ヘッブなど歴史上の人物に加え、現代の研究者9人も紹介されている。
短所
- 分量。 インターナショナル版は624ページとされており、1学期の授業では、どの章を指定するか選択が必要になる。
- 圧縮された扱い。 聴覚、機械感覚、化学感覚は1つの章を共有しており(視覚は独立した章をもつ)、精神病理は最後の1章にとどまる。このため、他の感覚や障害についての深さは構成上限られる。
- 引用形式。 第14版はAPAではなく、学術誌 Neuron の形式(ハーバード方式の一種)を用いるため、APA形式でレポートを書く学生は参考文献を書き直す必要がある。
コースにおける位置づけ
Kalat は標準的な分量の学部向けテキストで、コンパクトな入門書より長く、リファレンスよりはるかに短い。Winn と Grealy の Biopsychology: The Basics は初学者向けに書かれた簡潔な入門書で、Kalat の前に最初の一巡として読むのに適している。Pinel と Barnes の Biopsychology は目的と範囲の点で最も近い代替であり、神経解剖と研究法から感覚系・運動系を経て、睡眠、摂食、性、記憶、情動、精神疾患へと進む学部向けテキストである。どちらを主教材にしてもよく、難しい話題には他方を2つ目の説明として使える。
Passingham の Cognitive Neuroscience: A Very Short Introduction は、心的機能と脳活動をどう結びつけるかを簡潔に述べており、Kalat の後半の章を補う。Nelson と Kriegsfeld の An Introduction to Behavioral Endocrinology は、Kalat の内部調節や生殖行動の扱いよりも深くホルモンを論じる。Kandel らの Principles of Neural Science は、学部向けのどのテキストよりも詳細な内容を調べるための総合的な参考書である。
本書の使い方
必修の生物心理学や行動神経科学の授業を取る心理学専攻生に向く。また、心理学の観点からの説明を求める生物学・医学系の学生にも合う。付録Aは化学の復習を要する読者のために用意されており、本文が化学の予備知識を多くは前提としていないことをうかがわせる。
まず第1–3章を丁寧に読むこと。細胞、シナプス、解剖の語彙が全体を通じて繰り返されるからである。第4–7章は次のまとまりで、順に読める。その後の睡眠、内部調節、生殖、情動の章は、シラバスに合わせてどの順でもよく、学習と認知の第12–13章、精神病理の第14章を最後に置く。
学習にはモジュール構造を使う。まず学習目標を読み、Stop and Check の小テストを進めながら解き、キーワード一覧で復習する。Try It Yourself の活動は、特に感覚の章で、出てくるたびに試すとよい。出版社は、それが概念の理解と記憶を助けるものだと説明している。
