01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Theodoulou, S. Z., & Roy, R. K. (2016). Public Administration: A Very Short Introduction. Oxford University Press.
章の要約
オックスフォード大学出版局の Very Short Introductions シリーズの小さな一冊で、全8章、参考文献と読書案内、索引からなり、目録により約120〜144ページ(議会図書館系の記録ではxviii+122ページ)とされる。出版社は単純な観察から始める。行政は、公共の安全や社会福祉から交通や教育に至るまで、現代文明を支える不可欠な公共サービスの整備と提供を担っているが、近年の義務的な予算削減によって、行政官は統治のしかたを根本から考え直すことを迫られている。著者たちは、グローバル化の時代に公共部門が直面する主要な課題について実際的な洞察を示し、公共サービスの民営化や政府による監視といった論争的な問題も取り上げながら、歴史を通じた世界的な旅へと読者を導いて、この分野の起源、発展、そして継続的な進化を検討する。章の並びは年代順の叙述とその先の展望として読める。以下の記述は章題と出版社の紹介にとどめる。
第1章:A contemporary overview(現代の概観)
行政の現状から始める。政府が提供するサービスと、行政官が置かれている圧力である。
第2〜3章:The journey from Westphalia to Philadelphia(ウェストファリアからフィラデルフィアへの旅);Progressive reform across the globe(世界に広がる革新主義的改革)
歴史的な中核。第2章の題は、近代国家システムの始まりの代名詞であるウェストファリアから、アメリカ建国の舞台フィラデルフィアへと向かう。第3章は世界各地の革新主義的改革に目を向け、歴史を通じた世界的な旅という出版社の約束に沿っている。
第4〜5章:The rise of the modern welfare state(近代福祉国家の台頭);The New Public Management goes global(ニュー・パブリック・マネジメントの世界的拡大)
20世紀とその終盤の変化を扱う二つの章。第4章は福祉国家の成長を、第5章は題が示すとおり世界に広がったニュー・パブリック・マネジメントを扱う。
第6〜7章:The new administrative age(新しい行政の時代);Globalization and the rise of network governance(グローバル化とネットワーク・ガバナンスの台頭)
現代を扱う章。第6章は題のとおり新しい行政の時代を描き、第7章はグローバル化とネットワーク・ガバナンスの台頭を結びつける。
第8章:The future of public administration(行政の未来)
結びの展望。予算削減、民営化、監視に関する出版社の言及が、この章が取り上げる圧力を示している。
主要概念
第1〜3章:起源
- 行政:政府が不可欠な公共サービスを提供するための組織、人、過程。
- ウェストファリアからフィラデルフィアへ:本書がこの分野を最初に論じる際の歴史的な幅。
- 革新主義的改革:第3章で世界規模で扱われる改革。
第4〜7章:近代の展開
- 福祉国家:第4章の主題。
- ニュー・パブリック・マネジメント:その世界的拡大が第5章の主題。
- ネットワーク・ガバナンス:第7章がグローバル化と結びつける考え方。
第8章:未来
- 民営化と監視:出版社が現在と将来の話題として挙げる論争的な問題。
批判的分析
長所
- 現在を説明する歴史。 章の並びは近世の国家から改革運動、福祉国家、ニュー・パブリック・マネジメントを経てネットワーク・ガバナンスへと進み、制度がなぜ今の姿なのかが見える。
- 世界的な枠組み。 出版社が引くユタ大学公共・国際問題研究所のスティーブ・オット教授は、本書を行政に関する世界的な歴史的・発展的概観として、鮮やかで驚くほど徹底し、非常に読みやすいと評し、世界各国の傾向と事例を含めている点がこの分野の文献への独自の貢献だと述べている。
- 短くて読みやすい。 シリーズは主題への手早く魅力的な入口を提供するよう設計されており、本書も一、二度の読書で通読できる小ささである。
- 同時代の論争。 出版社は民営化と政府による監視に言及しており、構造の歴史で終わらない。
短所
- 技法の余地は小さい。 この分量では、目次には予算編成、人事管理、政策実施を技能として扱う章は見えない。それらを求める学生は教科書が必要になる。
- 事例ごとの議論ではなく概観。 出版社は世界と歴史を横断する概説と説明しており、個々の国の制度に割ける紙幅は限られる。
- 章の内容をこれ以上は述べられない。 試し読みの章がなく、章題と出版社の紹介しか手がかりがないので、各章の力点は読者自身で確かめる必要がある。
コースにおける位置づけ
公共政策・行政のリストの中で、本書は政策を作ることではなく、政策を実行する行政に軸足を置く唯一の本である。トマス・ダイの Understanding Public Policy とマイケル・クラフトとスコット・ファーロングの Public Policy: Politics, Analysis, and Alternatives は、主にアメリカを扱う政策の教科書であり、トマス・バークランドの An Introduction to the Policy Process は、課題がアジェンダ設定から実施へ進む過程とその背後の理論を説明する。テオドゥルーとロイは、これらの本が扱う分野について歴史的で世界的な説明を加える。
さらに上のレベルでは、ジョン・キングダンの Agendas, Alternatives, and Public Policies が、なぜ特定の主題が政府のアジェンダに載るのかを研究し、ウェイブル編の Theories of the Policy Process は主要な分析枠組みを大学院向けのテキストとして示す。どちらも政府の仕組みを所与として扱うが、この非常に短い入門書は、その仕組みがどのようにして成立したかを描く。
本書の使い方
政治学、公共政策、経営学の予備知識は不要。一年次の学生、政府や非営利部門でのキャリアに関心のある読者、政策や行政の講義の前に手早く見取り図を得たい人に向く。
- 中核: 全体を順に読む。八つの章は近世国家から未来まで一本の物語をなす。
- 選択的な使い方: 現在の改革論争だけに関心がある学生は第5〜8章から始め、背景のために歴史へ戻ればよい。
- 本文とあわせて: 交通や教育など自国の公共サービスを一つ選び、章題に挙がる各段階、すなわち改革、福祉国家、ニュー・パブリック・マネジメント、ネットワークによって、それがどう形づくられたかをたどる。
- 読了後: 政策過程についてはダイまたはクラフトとファーロングと組み合わせ、読書案内を使って、いずれかの段階についてより深い著作を選ぶ。
