01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Lijphart, A. (2012). Patterns of Democracy: Government Forms and Performance in Thirty-Six Countries (2nd ed.). Yale University Press.
章の要約
第2版は368ページで、番号付きの17章に、両版の序文、変数の値を示す付録、参考文献、索引が付く。データは1945年から2010年までを対象とし、初版の刊行は1999年である。
第1章:序論
本書の主題を示す章。民主主義諸国の制度と、出版社の紹介文にいう「どのタイプの民主主義が最もよく機能するか」という問いである。
第2–3章:民主主義のウェストミンスター型モデル/民主主義のコンセンサス型モデル
全体を整理する2つの理想型。ウェストミンスター型、すなわち多数決型モデルは権力を集中させ、コンセンサス型モデルは権力を分散させる。この2章は、どの国も測定する前に、両者の対比を抽象的な水準で示す。
第4章:36の民主主義国
2つのモデルを当てはめる事例、すなわち書名にある36の民主主義国を紹介する。観察期間は1945年以降である。
第5–9章:政党システム/内閣/行政府と立法府の関係/選挙制度/利益集団
各章が制度上の対比を1つずつ取り上げ、36か国に当てはめる。二大政党制と多党制、執行権の集中と共有、行政府と立法府の間の優位と均衡、多数代表制・相対多数制と比例代表制、利益集団における多元主義とコーポラティズムである。
第10–13章:権力の分割/議会と議会制度/憲法/中央銀行
第2の対比群。連邦制と単一制、中央集権と地方分権、立法権の集中と分割、改正手続きと違憲審査、独立した中央銀行と従属的な中央銀行である。
第14章:民主主義の二次元の概念地図
各種の測定を統合する章。次元と10の基本変数に関する付録が示すとおり、本書は制度の指標を2つの次元に集約しており、この章はそこから得られる36か国の地図を示す。
第15–16章:有効な統治と政策形成/民主主義の質と「より親切で穏やかな」民主主義
統治の成果を扱う2章。前者は、コンセンサス型民主主義が有効な統治と政策形成に違いをもたらすかを問い、後者は、民主主義の質と、題名にいう「より親切で穏やかな」民主主義について同じ問いを立てる。
第17章:結論と提言
議論をまとめ、提言に移る。巻末には1945–2010年と1981–2010年の変数の値を示す付録、参考文献、索引が置かれている。
主要概念
第1–4章:モデルと事例
- ウェストミンスター型(多数決型)モデル:権力が多数派の手に集中する民主主義。
- コンセンサス型モデル:権力を共有し、分散させ、制限する民主主義。
- 36の民主主義国:1945年以降の期間にわたって比較される国々の集合。
第5–13章:制度上の対比
- 執行権の共有:内閣が権力をどの程度集中させ、あるいは共有するか。政党システム、行政府と立法府の関係とあわせて論じられる。
- 比例代表制と多数代表制・相対多数制:第8章の選挙制度の対比。
- 多元主義とコーポラティズム:利益集団の組織化の2つの型。
- 連邦制と単一制、集権と分権の対比:政府の諸段階の間の権力分割。
- 違憲審査と中央銀行の独立性:モデルの測定可能な特徴として扱われる憲法上・通貨上の制度。
第14–17章:地図と成果
- 二次元の概念地図:10の基本変数に基づき、各国を2つの次元の上に配置したもの。
- 有効な統治:第15章が検証する成果についての主張。
- 民主主義の質:第16章が検証する主張。
批判的分析
長所
- 全体の構成を貫く1つの論証。 本書は2つのモデルから出発し、事例、9つの制度上の対比、統合した地図を経て、成果の問題に至る。章の順に読めば、各指標がどのように作られ、どう使われるかが見える。
- 対比を明示する章題。 第5章から第13章の題は、各制度次元の2つの選択肢を示しており、参考書として使いやすい。選挙制度や中央銀行の章は単独でも読める。
- 2010年に及ぶデータ。 第2版のデータは2010年までで、付録には1945–2010年と1981–2010年の2つの期間の変数の値が示されるため、長期と近年を比較できる。
- 制度がなぜ重要かを明確に検証する。 最後の数章は分類にとどまらず、コンセンサス型が有効な統治や民主主義のより高い質と結びつくかを問う。
- 評価。 前の版について、出版社は、Lijphart の文献の把握と比類のないデータについての Robert Dahl の評と、本書が大学院と学部の比較政治の授業で標準的な文献であり続けるだろうとする Choice の書評を引用している。
短所
- 固定された事例の集合。 結論は36の民主主義国についてのものである。より新しい国、小さな国、不安定な民主主義国に関心のある読者は、これらのパターンがどこまで当てはまるかを判断するために別の資料が必要である。
- 2010年で終わる。 最新のデータは2010年のもので、その後の政党システム、憲法、選挙規則の変化は扱われていない。
- 成果についての主張は検証すべき部分である。 第15章と第16章は、コンセンサス型の制度とより良い成果との関連を論じる。章題はこれを、コンセンサス型民主主義が違いをもたらすかという問いとして立てている。学生は、後の批判や自分の知る事例と照らし合わせるべきである。
- 最初の授業には難しい。 本書は量的指標を用いて多くの国の制度を比較するので、入門書で民主的統治の主要な制度をすでに知っている読者にもっとも役立つ。
コースにおける位置づけ
Patterns of Democracy は専門書であり、このコースの入門教科書の上に位置する。Comparative Government and Politics と Essentials of Comparative Politics は、それぞれテーマと中核概念によって比較政治を教え、複数の著者による Comparative Politics はより広い国際的な概観を与える。いずれも、Lijphart が前提とする政党、選挙制度、憲法といった語彙を提供してくれる。Principles of Comparative Politics は明確な理論と証拠を軸に組み立てられた教科書で、選挙と制度選択の扱いは第5–13章と並べて読める。
George Tsebelis の Veto Players は、別の種類の一般的な制度理論を示す。Tsebelis は、政策を変えるのに同意が必要な主体を中心に空間モデルを組み立てるのに対し、Lijphart は制度のパターンを分類・測定し、その効果を検証する。2冊を併せて読むと、体制を比較する2つの方法、すなわちパターンによる比較とメカニズムによる比較が見えてくる。
本書の使い方
本書は、比較政治の入門課程を終えた上級の学部生や大学院生、制度設計の参照点を求める研究者に向いている。指標の表を読むことに抵抗がないと役に立つ。
実践的な計画は次のとおりである。
- 中核: 2つのモデルのために第1–3章、地図のために第14章、成果をめぐる論証のために第15–17章の要約部分。
- テーマ別: 第5–13章は、授業で扱っている制度に合わせて選んで読む。たとえば選挙制度の単元には第8章、中央銀行の単元には第13章を合わせる。
- 参照: 変数の値の付録は、特定の国がどこに位置するかを確かめるのに便利である。
- 能動的な読み方: 各制度の章では、まず自分の知る国をその対比の上に置いてみてから、本書の位置づけと照らし合わせる。第15章と第16章は最後に読み、その主張を後の研究と比べる。
