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Philosophy of Language(言語哲学) cover

哲学

哲学

Philosophy of Language(言語哲学)

Alexander Miller

英語原題: Philosophy of Language

フレーゲから意味と真理をめぐる後年の論争までの分析哲学の伝統をたどる、手応えがありながら構成の明快な言語哲学入門。アレクサンダー・ミラーは中心的な論証を詳しく再構成し、各立場が先行する問題への応答としてどう生まれたかを説明し、自習を支える要約と演習問題を添えている。

前提知識: 哲学の入門授業を受けており、初歩的な形式論理に慣れていることが望ましい。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
philosophy of languagemeaning参考書rule-followinganalytic philosophy教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Miller, A. (2018). Philosophy of Language (3rd ed.). Routledge.

章の要約

本書は学生向けの序論と九つの章からなり、全体でおよそ466ページである。各章は番号付きの節に分かれ、末尾に章の要約、学習用の設問、文献案内が付く。巻末には参考文献表と索引がある。章の配列は話題の羅列ではなく一本の議論の流れをたどっており、各章は前の章が残した問題から出発する。

序論

第3版で加わった短い学生向けの序論が、言語哲学がなぜ重要か、本書が何を目指すかを述べる。出版社は本書全体を、言語哲学の歴史的展開と意味へのさまざまなアプローチの主題別概観とを組み合わせた、20世紀以降の意味の理論の概説として紹介している。

第1章:フレーゲ――意味論的値と指示

冒頭の章では、フレーゲの論理言語を扱う。その統語論と意味論、関数と対象の区別、述語・結合子・量化子の扱い、そして単純な言語のための意味論が順に示される。本書の以後の部分で使われる形式的な語彙がここで用意される。

第2章:フレーゲとラッセル――意義と確定記述

14の節をもち、節の数が最も多い章である(付録を含む)。フレーゲの「意義」の導入とその客観性、意義をめぐる四つの問題、クリプキの命名と必然性の議論、ラッセルの名前と記述の理論、スコープの区別、意義への批判、ストローソンとドネランによる確定記述の議論、クリプキの因果的・歴史的な指示の理論を取り上げる。付録はフレーゲの意義と意味論的値に関するテーゼをまとめている。

第3章:意義と検証主義――論理実証主義

『論理哲学論考』から検証原理へ、その定式化、フォスターによる検証原理の性格の検討をたどる。続いて、ア・プリオリなものと必然性の言語説、カルナップの内的問いと外的問い、論理実証主義と倫理的言語、穏健な全体論を論じる。

第4章:意義への懐疑(I)――クワインの分析性と翻訳論

クワインの「経験主義の二つのドグマ」による分析的・総合的の区別への攻撃が二部に分けて示され、それぞれに批判の検討が続く。そのうえで翻訳の不確定性に進み、「下からの議論」、これに対するエヴァンズとフックウェイの検討、「上からの議論」を扱う。

第5章:意義への懐疑(II)――クリプキのウィトゲンシュタインと懐疑的パラドックス

クリプキによる意味についての懐疑的パラドックスと、その懐疑的解決および私的言語批判を扱う。次にボゴシアン、ライト、サラバルドによる批判が続き、意味の規範性の問題と、クリプキのウィトゲンシュタイン解釈に対する「事実主義的」な読みが論じられる。

第6章:意義を救う――懐疑的パラドックスへの応答

パラドックスに対する応答を概観する。洗練された傾向性説、ルイス流の還元主義、フォーダーの「非対称的依存」説、規範性と理解の能力説に関するマッギン、ライトの判断依存的な意味概念、そしてウィトゲンシュタイン自身による解消の可能性である。第3版で加わった二つの新しい節、ペティットの「エトスセントリック」な説明とギンズボーグの「部分的還元主義」もこの章にある。

第7章:意義・意図・言語行為――グライスの企て

意味への二つのアプローチを示したあと、話し手の意味と文の意味に関するグライスの説、イロキューション的意図とパーロキューション的意図に関するサールの修正、グライス流の分析への反論、ブラックバーンへの応答、そしてストローソンの指示論の再検討を取り上げる。

第8章:意義と真理――タルスキとデイヴィドソン

意味の理論に対するデイヴィドソンの適合条件、内包的理論と外延的理論、タルスキの規約T、タルスキ流の真理論、真理と翻訳をめぐる二つの問題、根源的解釈と寛容の原理、全体論、そしてこうした理論が自然言語に適用できるかどうかを論じる。

第9章:意義・世界・形而上学

最終章は意味と実在論を結びつける。非認知主義とフレーゲ=ギーチ問題、検証を超えた真理と、それに対する習得・顕示・規則に従うことからの議論、双子地球、ライトによる客観性の段階、そして静寂主義の二つの脅威が取り上げられる。

主要概念

第1〜2章:フレーゲ、ラッセルと指示

  • 意味論的値:ある表現が、それを含む文の真理条件に寄与するもの。
  • 意義:フレーゲの概念。この章で導入され、その性格、客観性、直面する四つの問題が検討される。
  • 確定記述とスコープ:「これこれのもの」という句に関するラッセルの分析と、それが必要とするスコープの区別。
  • 因果的・歴史的指示理論:名前がどのように指示するかについて、記述に基づく説明に代わるクリプキの説。

第3〜4章:検証と意義への懐疑

  • 検証原理:意味を検証可能性に結びつける実証主義のテーゼ。
  • 分析的・総合的の区別:クワインが「二つのドグマ」で攻撃した区別。
  • 翻訳の不確定性:翻訳についてのクワインのテーゼ。「下からの議論」と「上からの議論」を通じて論じられる。

第5〜6章:規則に従うこと

  • 懐疑的パラドックス:クリプキによるウィトゲンシュタイン解釈。何を意味しているかを決める事実はないように見える。
  • 意味の規範性:ある語に特定の意味をもたせることが、その語の正しい使用についての義務を伴うかどうか。
  • 傾向性説とその対抗説:傾向性、非対称的依存、能力、判断依存性のうちに当の事実を見いだそうとする試み。

第7〜9章:意図、真理、形而上学

  • 話し手の意味と文の意味:グライスの企てが依拠する区別。
  • 規約Tと根源的解釈:タルスキによる真理論の適合条件と、寛容の原理を伴うデイヴィドソンによる解釈への応用。
  • 検証を超えた真理:検証できる範囲を超える真理。第9章の実在論論争の中心にある。

批判的分析

長所

  • つながった議論。 章題(「意義への懐疑」「意義を救う」)が示すように、各段階は直前の段階によって動機づけられている。そのため、なぜクワインの後にクリプキのウィトゲンシュタインが来るのか、なぜグライスの後にデイヴィドソンが来るのかが見えやすい。出版社は、歴史的展開と主題別概観の組み合わせを強調している。
  • 節に組み込まれた論争。 多くの節が批判や応答として立てられている。「『二つのドグマ』への批判」「懐疑的解決に対するボゴシアンの議論」「グライス流の分析への反論」などである。読者は各立場とその反論を並べて学べる。
  • 第3版の学習支援。 全章の末尾に章の要約、設問、更新された文献案内が付く。第1章はフレーゲの論理言語と単純な言語の意味論を示し、後の章がその語彙に依拠する前に準備を整える。
  • 明確な組織原理。 アナンディ・ハッティアンガディは、出版社が引用するコメントの中で、「何が意味を構成するのか」というメタ意味論的問いに重点が置かれていることを評価している。

短所

  • 伝統と主題が限られる。 目次はフレーゲからデイヴィドソンに至る分析哲学の系譜と実在論論争をたどっている。文脈依存性、グライスとサール以外の語用論、比喩的言語を扱う章はなく、後二者はライカンの本が主題に挙げている。
  • 規則に従うことに比重が偏る。 第5・6章と第9章の一部は一群の問題に充てられ、第3版でさらに加筆された。別の重点をもつ授業では、これらを省くか圧縮する必要がある。
  • 形式的内容と分量。 本書はフレーゲの論理言語で始まり、第8章はタルスキ流の真理論に充てられている。466ページの本書は、短い一つの授業で消化できる量を超える。第2章だけでも14の節に分かれている。

コースにおける位置づけ

ミラーの本は、このコースで最も長く続く議論である。マイケル・モリス(Michael Morris)の An Introduction to the Philosophy of Language は、各章を一、二の古典的テクストを中心に組み立てており、コリン・マッギン(Colin McGinn)の Philosophy of Language: The Classics Explained は、よくアンソロジーに収められる十篇を一つずつ取り上げる。どちらも、ミラーが詳細に再構成するのと同種の議論への、より穏やかな入口になる。ウィリアム・ライカン(William Lycan)の Philosophy of Language: A Contemporary Introduction は、指示、意味の理論、語用論、比喩的言語という主題別に組まれたより簡潔な概説で、ミラーが扱わない領域を含むため、両者を組み合わせると相補的である。

マルティニッチとソサの編による The Philosophy of Language は原典論文を集めており、ミラーの説明を原典と照合する際の自然な相棒となる。ドナルド・デイヴィドソンの Inquiries into Truth and Interpretation は、第8章の主題である意味・真理・解釈に関する論文を収めており、ミラーを読み終えて原典に当たりたい読者に向く。

本書の使い方

出版社によれば、本書は学部生と大学院生を対象とする。特定の前提は示されていない。冒頭の章でフレーゲの論理言語が説明されるため、論理学の入門を修めていると役立つが、あらかじめ身につけておくことを本書が求めているわけではない。

実践的な進め方は次のとおり。

  • 中核: 第1、2、4章と第7〜9章を順に読む。第2章は、意義、記述、因果的・歴史的指示という、後の章が前提とする語彙を導入する。
  • 分量があるが切り離せる部分: 第5・6章は規則に従うことについてのまとまりをなす。第5章でクリプキのパラドックスとその解決への反論を読み、第6章は関心のある応答だけを拾い読みするのがよい。
  • 初読では省いてもよい部分: 論理実証主義を扱う第3章(第4章と第9章の背景として有用)と、第2章の付録。

各章を読み終えたら章の要約を読み、先に進む前に設問に答えること。各章の末尾の文献案内を利用して、章ごとに原典論文を一篇選ぶとよい。たとえば第4章ならクワインの「二つのドグマ」を、ミラーの二部構成の扱いと並べて読む。