01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Martinich, A. P., & Sosa, D. (Eds.). (2012). The Philosophy of Language (6th ed.). Oxford University Press.
章の要約
48の読み物を8つの節に分けたアンソロジーで、2012年11月にペーパーバックとして刊行された。約700〜750ページである。第6版ではDavid SosaがA. P. Martinichとともに共編者となり、18本の論文が新たに加えられた。総序と各節の序が読み物を位置づけ、各節の終わりには推薦する参考文献の一覧が付く。読み物は問題別に配列され、原論文の発表年は1699年から2000年に及ぶ。
I. 名前(読み物1–7)
この節は、ミルの「名前について」(1881)とフレーゲの「意義と意味について」(1892)で始まり、サールの「固有名」(1958)、クリプキ『名指しと必然性』の抜粋(1972)、パットナムの「意味と指示」(1973)、エヴァンズの「名前の因果説」(1973)、サモン『フレーゲのパズル』の抜粋(1986)が続く。名前についての古典的な説明から、因果説とその後の研究へと進む。
II. 記述(読み物8–13)
ラッセルの「指示について」(On Denoting、1905)と「記述」(1919)に、ストローソンの「指示について」(On Referring、1950)とラッセルの応答「ストローソン氏の指示論について」(1957)が続き、さらにドネランの「指示と確定記述」(1966)とクリプキの「話者の指示と意味論的指示」(1977)が置かれる。題名から、後の論文が先の論文に応答するやりとりであることが分かる。
III. 帰属(読み物14–20)
クワインの「量化子と命題的態度」(1956)、カプランの「量化して入る」(1968)、デイヴィドソンの「言うことについて」(1968)、メイツの「同義性」(1952)、クリプキの「信念についてのパズル」(1979)、ソーサの「信念についてのパズルの意味」(1996)、シファーの「信念の帰属」(1992)が、態度報告とそこから生じるパズルを扱う。
IV. コミュニケーション(読み物21–26)
この節は、話し手が言語で行うことに向かう。グライスの「意味」(1957)、オースティンの「遂行的発話」(1961)、サールの「発語内行為の構造」(1969)、グライスの「論理と会話」(1975)、デイヴィドソンの「墓碑銘の見事な混乱」(1985)、バックの「会話的含み(インプリシチュア)」(1994)である。
V. 真理(読み物27–31)
フレーゲの「思想:論理学的研究」(1918)、タルスキの「真理の意味論的概念と意味論の基礎」(1944)、フィールドの「タルスキの真理論」(1972)、デイヴィドソンの「真理と意味」(1967)、ダメットの「意味の理論とは何か」(1975)が、真理を、意味の理論とは何かという問いと結びつける。
VI. 分析性(読み物32–34)
クワインの「経験主義の二つのドグマ」(1951)が、グライスとストローソンの「ドグマの擁護」(1956)、パットナムの「『二つのドグマ』再訪」(1976)と組になっている。
VII. 不確定性(読み物35–42)
この節は三つのまとまりから成る。文脈については、スタルネイカーの「断定」(1978)、カプランの「指示詞」(1977)、ペリーの「本質的指標詞の問題」(1979)。規則に従うことについては、クリプキ『規則と私的言語について』の抜粋(1982)とボゴシアンの「規則に従うことについての考察」(1989)。曖昧性については、ソレンセン『盲点』の抜粋(1988)、ラフマンの「パラドックスなき曖昧性」(1994)、ファラの「移ろう砂」(2000)。
VIII. 言語(読み物43–48)
最後の節は言語そのものを問う。ロックの「言葉について」(1699)、ウィトゲンシュタイン『哲学探究』の抜粋(1953)、ヘンペルの「認知的意義の経験主義的基準:問題と変化」(1950)、ルイスの「言語と諸言語」(1975)、スタンプの「言語的表象の因果説に向けて」(1977)、チョムスキーの「言語と知識の問題」(1988)である。
主要概念
第I〜IV節
- 意義と意味(指示):フレーゲの区別で、名前や記述についての後の理論の出発点。
- 名前の因果説:エヴァンズの読み物の主題で、クリプキとパットナムの選篇と並べられている。
- 確定記述:ラッセル、ストローソン、ドネランの読み物の主題。
- 命題的態度と信念の帰属:人が何を信じているかの報告と、それをめぐるパズル。
- 発話行為と発語内行為:オースティンとサールにおける、話し手が何かを言うことで行うこと。
- 会話と意味:話者の意味と会話についてのグライスの研究。
第V〜VIII節
- 意味の理論:タルスキ流の真理論が意味の理論として役立つかどうか。
- 分析性:クワインが開き、グライス、ストローソン、パットナムが応じた論争。
- 指標詞と指示詞:カプランとペリーにおける、文脈に依存する表現。
- 規則に従うことと曖昧性:文脈とともに「不確定性」にまとめられた他の主題。
- 言語とは何か:最後の節の主題。ロックからウィトゲンシュタイン、ルイスを経てチョムスキーまで。
批判的分析
長所
- 一次論文が一か所に集まっている。 このアンソロジーは、名前、記述、発話行為、真理、分析性についての基礎的な論文を集めており、学生は議論をそれを作った人々自身の言葉で読める。
- 互いに応答する読み物。 多くの節が、論文とその応答を組にしている(ラッセルとストローソン、クワインとグライス=ストローソンおよびパットナム、クリプキとドネラン、タルスキとフィールド)。学生は論争を段階を追って読める。
- 編集上の支え。 総序、各節の序、各節の終わりの参考文献が、読み物のつながりについての背景を与える。
- 教員の推薦。 出版社は、この分野の最初の授業に向いている、学部上級または大学院レベルの入門として優れているという教員の評を引用している。
短所
- 抜粋の選篇がある。 「〜より」と記されたものが5つある。クリプキの『名指しと必然性』、サモンの『フレーゲのパズル』、クリプキの『規則と私的言語について』、ソレンセンの『盲点』、ウィトゲンシュタインの『哲学探究』である。周囲の議論は完全な著作から補う必要がある。
- 2000年以降がない。 年代が記された最新の選篇は2000年であり、この版が出る前の12年間の研究は収録されていない。
- 形式的な語彙と分量。 量化、タルスキ流の真理論、必然性が複数の節の題名に現れる。また、48の読み物があるため、一学期で通読することはできない。
- 連続した叙述がない。 序は読者の方向づけを助けるが、事前の授業を受けていない学生には補助的な教科書が必要になる。
コースにおける位置づけ
本書はこのコースの一次文献の読本である。Michael Morrisの入門書は古典的テクストを軸に構成され、Colin McGinnの本はよくアンソロジーに収められる10の文章を段階的に解説しているので、どちらも対応する節と並行して読める。William Lycanの教科書は指示、意味の理論、語用論、比喩的言語を軸に組織され、Alexander Millerのフレーゲ以来の分析の伝統を扱う骨のある概説は、アンソロジーに欠けている連続した叙述を与える。
Donald Davidsonの『真理と解釈についての探究』(Inquiries into Truth and Interpretation)は、自然な発展的読書である。デイヴィドソンの3本の論文「言うことについて」「真理と意味」「墓碑銘の見事な混乱」がこのアンソロジーに収められており、その論集は、真理論の形をとった意味の理論という彼の構想を詳しく展開する。
本書の使い方
読者は、言語哲学または論理学の入門科目を受けているか、教科書と併用するべきである。本書は、一つの授業の中で選択的に使う読本であり、通読する本ではない。
実際的な進め方としては、総序から始め、「名前」と「記述」(13の読み物)を、アンソロジーが最初に置く指示の問題をめぐる中核のまとまりとして扱う。次に「コミュニケーション」と「真理」を加える。「帰属」「分析性」「不確定性」「言語」は、授業の内容に応じてどの順序でもよい。「不確定性」の中の各まとまり(文脈、規則に従うこと、曖昧性)は、単独でも読める。
各読み物について、まず節の序を読み、次に問題、主張、主要な論証を述べる段落を一つ書く。節に応答が含まれている場合は、その組を比較する。抜粋については、論証が不完全に見えたら全巻にあたる。毎週の読み物は、補助教科書の対応する章と組み合わせ、参考文献の一覧をエッセイの主題選びに使う。
