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Theatre Histories: An Introduction(演劇の歴史:入門) cover

文学

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Theatre Histories: An Introduction(演劇の歴史:入門)

Tobin Nellhaus; Daphne P. Lei; Tamara Underiner; Patricia Ybarra

英語原題: Theatre Histories: An Introduction

儀礼や口承の上演から現代までの、世界の諸文化にわたる演劇、戯曲、パフォーマンスの歴史を複数の著者が共同で書いた教科書。単一の西洋中心の物語をたどるのではなく、各時代の主要なコミュニケーション様式によって素材を整理し、年代順の章と、歴史記述上の問いの立て方を示すケーススタディとを組み合わせている。

前提知識: 演劇史を学んだ経験は想定されていないが、戯曲を読んだ経験があると理解しやすい。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
theatre historydramaperformanceworld theatrehistoriography教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Nellhaus, T., Lei, D. P., Underiner, T., & Ybarra, P. (2024). Theatre Histories: An Introduction (4th ed.). Routledge.

章の要約

第4版は4部15章からなり、およそ730〜760ページに及ぶ(ラウトレッジは764ページ、カラー図版216点と記載し、Google ブックスは728ページと記載している)。ラウトレッジは本書を、世界各地の演劇・戯曲・パフォーマンスの批判的な概観と説明し、世界の文化と時代を年代順または主題別に統合して、それらがどう交わったかを示すとしている。演劇をより大きな歴史的文脈に置き、演劇の形成におけるコミュニケーションの役割に注目する。事例研究は選ばれた話題を掘り下げ、「Thinking Through Theatre Histories」のコラムは本書で使う概念や取り組みを解説する。この版では、史学についての序論と年表も加わった。

第1部:第1〜3章

第1部は「口承から文字へのパフォーマンス」「楽しみ、権力、伝達:台本のある演劇とない演劇」「記念の演劇とカーニバル」で始まる。題名からは、本書が口承と文字によるパフォーマンスの移行を出発点とし、台本のある演劇とない演劇をあわせて扱い、記念の演劇とカーニバルに独立した章を与えていることが分かる。これは、コミュニケーション手段が演劇を形づくるという著者たちの関心と合致する。

第2部:第4〜6章

第2部は1250年から1770年までを扱う。「世俗の職業的演劇、1250〜1650年」「ヨーロッパにおける演劇と印刷革命、1550〜1650年」「ヨーロッパの絶対主義とパフォーマンス、1600〜1770年」である。ここでは印刷革命が変化の要因として明示され、政治体制(絶対主義)がパフォーマンスと結びつけられている。

第3部:第7〜10章

第3部は18世紀、19世紀、20世紀初頭を扱う。「市民社会のヨーロッパにおける感傷、風刺、演技、1700〜1785年」「ヨーロッパとアメリカ大陸の演劇におけるナショナリズム、1760〜1880年」「近代帝国主義とオリエンタリズムの演劇化、1790〜1914年」「リアリズム、初期アヴァンギャルド、商品資本主義、パフォーマンスの循環」。第3、第4の題名は、帝国主義と商業的なパフォーマンスの循環が、ナショナリズムやアヴァンギャルドと並んで演劇史の一部として扱われていることを示す。

第4部:第11〜15章

最後の部は「革命の時代、1910〜1950年」「第二次世界大戦の余波と冷戦の演劇、1940〜1970年」から、「芸術、政治、アイデンティティ、1968〜2023年」「地域に根ざし世界に届く演劇、1970〜2023年」「ネットワーク文化の中の演劇、1990〜2023年」へと進む。各章の年代は重なっており、出版社が時代を年代順だけでなく主題別にも統合すると述べていることと一致する。

主要概念

全体を通して

  • コミュニケーションと演劇:出版社は、本書が演劇の形成におけるコミュニケーションの役割に注目するとしており、第1章は口承から文字へのパフォーマンスの移行で始まる。
  • 事例研究:選ばれた話題を深く扱う短い記述で、印刷版とオンラインの両方にあり、教員向けの事例研究ライブラリーに一覧されている。
  • 「Thinking Through Theatre Histories」のコラム:本書で使われる重要な概念や取り組みを論じる短い解説。
  • 史学:第4版では、演劇史がどのように書かれるかを論じる序論が加わった。

第2〜4部

  • 印刷革命(第5章):章題が、1550〜1650年のヨーロッパ演劇を印刷と結びつけている。
  • オリエンタリズムと帝国主義(第9章):章題で、演劇化の対象として挙げられている。
  • パフォーマンスの循環(第10章):リアリズムや初期アヴァンギャルドを商品資本主義と結びつける題名中の語句。
  • ネットワーク文化(第15章):1990年以降の演劇を捉える最終章の枠組み。

批判的分析

長所

  • 世界規模の範囲。 出版社は、文化と時代をまたぐ世界の演劇史と説明しており、第4版では東アジアとラテンアメリカの演劇の扱いが深まり、大衆文化もより豊かに論じられている。
  • 方法論上の助け。 「Thinking Through Theatre Histories」のコラム、史学の序論、事例研究は、演劇史を単に語るのではなく、どう論じるかを示すためのものである。マーヴィン・カールソンは第3版について、歴史的方法論の掘り下げた提示と地理的範囲の広さを評価した。
  • 柔軟な授業用パッケージ。 ラウトレッジは、追加の事例研究、用語集、英語以外の用語の発音録音、教員向け資料を備えたウェブサイトと、教員が選べる事例研究ライブラリーを挙げている。
  • 多様な背景をもつ著者たち。 出版社は4人の著者の背景とアプローチの幅を強調している。著者紹介には、たとえばネルハウスの演劇とコミュニケーションの実践についての研究や、アンダーイナーが「南北アメリカの演劇とパフォーマンス」の博士課程を率いていることが記されている。

短所

  • 分量。 700ページを超えるため、1学期で読み通せる量ではなく、ほとんどの授業では章や事例研究を選ぶ必要がある。
  • 重なる章。 第3部と第4部では年代が重なり、出版社は時代を年代順だけでなく主題別にも統合すると述べている。そのため、本書は国ごとの伝統ではなく時代と主題で編成されており、ひとつの伝統を最初から最後まで追うのは難しい。
  • 深さは事例研究に委ねられる。 口承のパフォーマンスから2023年までの世界の演劇を15章で扱う概説では、個々の伝統の扱いは簡潔になりうる。出版社は、事例研究が選ばれた話題を深く知る場だと位置づけている。

コースにおける位置づけ

ドラマのコースでは、本書が歴史の概説にあたる。クリストファー・バルメの The Cambridge Introduction to Theatre Studies はより短い方法論の手引きで、史学と分析の章に向く併読書だが、バルメがごく概略にとどめる文化横断的な叙述を、ネルハウスらは提供する。マーヴィン・カールソンの Theories of the Theatre は、戯曲と演劇をめぐる西洋の思想の歴史で、各時代の背景にある理論を知るために第2〜4部と併せて読める。The Norton Anthology of Drama は古代ギリシャから現代の舞台までの戯曲を全編収め、演劇の簡潔な歴史を含む序論が付く。その戯曲は、本書が語る歴史の一次テクストになる。Studying Plays は、台本の分析方法をまず学びたい読者にとって取り組みやすい入口であり、『ハムレット』は、近世ヨーロッパを扱う章と照らし合わせて読める戯曲のひとつである。

本書の使い方

本書は、演劇史、世界演劇、演劇入門の学部の授業向けで、ラウトレッジの言葉を借りれば、世界の演劇の誕生、発展、現在に至る意義についての多様な記述を求める読者向けである。ラウトレッジは予備知識を特に求めていないが、さまざまな時代の戯曲を事前に数作読んでおくと、各章が理解しやすくなる。

1学期の授業では、まず史学の序論を読み、その後は週ごとに1章か1つの事例研究を取り上げる。取り組みやすい選び方は、導入の枠組みとして第1章、続いて第4章または第5章、第8章、第9章、第11章、第13章または第14章で、授業で読む戯曲に合う事例研究を添える。「Thinking Through Theatre Histories」のコラムは、資料をつなぐ概念を示しているので、各章と併せて読む。英語以外の用語が出てきたときは、付属ウェブサイトの用語集と発音を使う。通年で使う場合は15章を順に読み、各部にノートン・アンソロジーの戯曲を組み合わせる。