01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Gainor, J. E., Garner, S. B., Jr., & Puchner, M. (Eds.). (2024). The Norton Anthology of Drama (4th ed.). W. W. Norton & Company.
章の要約
第4版はおよそ2,100ページのペーパーバック1冊である。ノートン社によれば、第3版完全版で2巻に分かれていた内容を1冊の拡大版に統合し、150人以上の教員への調査で人気の高かった31作品を残したうえで新たに7作品を加え、計38の戯曲を収める。戯曲は年代順に並び、それぞれに解説(ヘッドノート)と注が付く。特定の戯曲の隣には2種類の補足資料が置かれている。演劇批評・理論の抜粋である「批評的視点」(計9篇)と、注目すべき上演を紹介する「上演の中の戯曲」で、後者は本の中ほどにまとめるのをやめ、扱う戯曲の隣に配置された。目次では6作品が第3版完全版から採られたものとして示されている。
序論
巻頭には序文と序論があり、その中心は改訂された「演劇小史」である。出版社はこれを、古代ギリシアから現代までの重要な出来事と作り手を扱うものと説明している。電子書籍版では、この部分に新しい動画と「読みながら聴ける」音声が付く。
古代ギリシア劇と古典アジア演劇
ソポクレス『オイディプス王』、エウリピデス『メデイア』、アリストパネス『女の平和』は、エミリー・ウィルソン、シーラ・マーナハン、アーロン・プーチギアンによる新訳で収められる。『オイディプス』には、アリストテレス『詩学』の抜粋と「上演の中の戯曲」が添えられる。続いて、シュードラカ『土の小車』(紀元100–300年頃)、関漢卿『竇娥冤』(ウィルト・イデマによる新訳)、世阿弥『敦盛』が収められ、『敦盛』には世阿弥自身の『花鏡』が批評的視点として付く。
中世と近世初期の演劇
ガンダースハイムのフロスヴィタ『ドゥルキティウス』(975年頃)と作者不詳の『万人』(イングランドの道徳劇に関するロバート・ポッターの抜粋付き)から、近世初期の舞台へと進む。マーロウ『フォースタス博士』、シェイクスピア『ハムレット』と『十二夜』(サミュエル・ジョンソンのシェイクスピア全集「序文」付き)、カルデロン『人生は夢』、モリエール『タルチュフ』、アフラ・ベーン『流れ者』、ソル・フアナ・イネス・デ・ラ・クルス『神聖なるナルシソ』の序劇(ロア)である。
19世紀と近代演劇の始まり
今版で新たに加わったウィリアム・ウェルズ・ブラウン『逃亡、あるいは自由への跳躍』(1858年)に続いて、イプセン『人形の家』(ショー『イプセン主義の真髄』付き)、ワイルド『真面目が肝心』、ジャリ『ユビュ王』、チェーホフ『桜の園』、そして今版で新たに加わったタゴールの一幕劇『チットラ』(1913年)が、タゴールの「舞台」の抜粋とともに収められる。
1960年までの20世紀演劇
スーザン・グラスペル『些細なこと』、ソフィー・トレッドウェル『マシーナル』、ブレヒト『セチュアンの善人』、テネシー・ウィリアムズ『欲望という名の電車』、タウフィーク・アル=ハキーム『死の歌』、ベケット『ゴドーを待ちながら』(マーティン・エスリンの不条理演劇論付き)、ロレイン・ハンズベリー『陽なたの干しぶどう』。
1975年以降の演劇
ウォーレ・ショインカ『死と王の先導者』、オーガスト・ウィルソン『フェンス』(ウィルソンの「私が立つ基盤」付き)、デイヴィッド・ヘンリー・ファン『M・バタフライ』、トニー・クシュナー『エンジェルス・イン・アメリカ 第1部 至福千年紀が近づく』、ポーラ・ヴォーゲル『運転の仕方を覚えた日』に続いて、今版で新たに加わった5作品が並ぶ。スーザン=ロリ・パークス『トップドッグ/アンダードッグ』、キャリル・チャーチル『ナンバー』、ルイス・アルファロ『モハーダ ロサンゼルスのメデイア』、リン・ノッテージ『スウェット』、ラリッサ・ファストホース『サンクスギビング・プレイ』(2023年)である。最後の批評的視点は、モニク・モヒカ「タートル・アイランドにおける演劇の多様性」の抜粋である。
主要概念
序論と付属資料
- 演劇小史:戯曲の枠組みとなる、古代ギリシアから現代までの演劇の概観。
- 解説と注:各戯曲の短い紹介と、なじみのない事柄への注。ノートン社の言葉によれば、作品を学生に代わって解釈するものではない。
- 批評的視点:9つの戯曲の隣に置かれた、演劇批評・理論の短い文献。
- 上演の中の戯曲:注目すべき上演を紹介する特集で、扱う戯曲の隣に置かれる。
戯曲
- 年代順の配列:紀元前5世紀のアテナイから2023年までの戯曲が並び、形式の変化を時代を追ってたどることができる。
- 翻訳:ギリシア劇は、出版社によれば読みやすさを基準に選ばれた新訳で収められている。
- 伝統の幅:サンスクリット、中国、日本、スペイン、植民地期メキシコ、近代インド、エジプト、ナイジェリアの戯曲がヨーロッパとアメリカの正典と並び、最後の戯曲と批評的視点は先住アメリカ人の書き手によるものである。
- 一幕劇:『チットラ』や『ナンバー』のような短い作品が、課題にしやすいという教員の要望に応えて加えられた。
批判的分析
長所
- 手頃な1冊。 第3版完全版の2巻を統合したことで、ソポクレスからファストホースまでの全体が1冊に収まった。ノートン社はこれを、演劇、演劇史、上演、劇作のどの授業にも最も指定しやすい1冊と位置づけている。
- 古典と新作の共存。 『オイディプス』『ハムレット』『人形の家』『ゴドーを待ちながら』などの正典を残しつつ、この20年ほどの戯曲やヨーロッパ以外の戯曲を加えている。コーネル大学が公開したインタビューで、J・エレン・ゲイナーは、さまざまな時代と地域の戯曲を年代順に配し、新しい作品と釣り合わせることを方針として語っている。
- 本文の隣に理論と上演。 批評的視点は戯曲を古典的な議論(アリストテレス、ジョンソン、ショー、エスリン、オーガスト・ウィルソン)と結びつけ、「上演の中の戯曲」は舞台への意識を保たせる。
- 新しい翻訳。 ギリシア劇3作品は、ウィルソン、マーナハン、プーチギアンの新訳に置き換えられた。
短所
- 書庫ではなく選集。 2,500年にわたる38作品では、多くの伝統が1、2作品で代表されるにすぎない。また2018年の簡約版第3版を使っていた読者は、同版に収められていた『令嬢ジュリー』『作者を探す六人の登場人物』『セールスマンの死』『帰郷』『クラウド・ナイン』『ルインド』などが今版の目次にないことに気づくだろう。
- 演劇史は概略のみ。 演劇小史は序論の一部なので、本書が本格的な演劇史の代わりになるわけではない。
- 上演は間接的。 戯曲はテキストとして印刷され、上演の特集は限られた数にとどまる。動画は印刷版ではなく電子書籍と学生用サイトに含まれる。
コースにおける位置づけ
演劇のコースでは、本書は一次テキストの集成であり、他の本が分析する戯曲そのものを提供する。ミック・ウォリスとサイモン・シェパードの『戯曲を学ぶ』は、戯曲のテキストを上演のための素材として読む方法を教えるもので、ノートンから選んだ戯曲に当てはめながら最初の週から併読するとよい。トービン・ネルハウスらの『演劇の歴史 入門』とクリストファー・バルメの『ケンブリッジ版 演劇学入門』は、本書の序論が概略しか示さない歴史と方法を学びたい学生にとっての次の段階である。マーヴィン・カールソンの『演劇の理論』は演劇理論の通史であり、短い批評的視点を連続した叙述へと広げてくれる。コースには『ハムレット』も単独で挙げられているが、多くの学生には「上演の中の戯曲」を伴う本書のテキストで十分であり、単独の版はより詳しい注を提供する。
本書の使い方
本書は演劇・演劇学の入門科目や、多くの戯曲を1か所で手元に置きたい読者に向いており、予備知識は要らない。まず演劇小史を読み、各戯曲の前にその該当部分に戻るとよい。
実践的な進め方:
- 対と対比で読む。 目次は比較を誘う。『メデイア』とアルファロの『モハーダ』、『万人』と『フォースタス博士』、『人形の家』と『些細なこと』『マシーナル』、『陽なたの干しぶどう』と『フェンス』『スウェット』などである。
- 付属資料を意識的に使う。 戯曲の前に解説を、後に批評的視点を読み、「上演の中の戯曲」は録画や舞台写真を探すきっかけとする。
- 上演を意識して読む。 各戯曲について、上演の際に決めなければならないこと(空間、配役、音)を書き出し、方法は『戯曲を学ぶ』に学ぶ。
- 中核となるリストを作る。 1学期の授業なら、時代ごとに選んだ十数作品で組み立てられ、短い週には一幕劇(『些細なこと』『チットラ』『ナンバー』)を充てられる。
教員は、授業ノート、注目すべき上演、レポート課題、テーマ別の組み合わせを含む教員用ガイドを利用でき、学生用サイトには電子書籍の動画と『演劇について書く』の電子書籍が含まれる。
