01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Balme, C. B. (2008). The Cambridge Introduction to Theatre Studies. Cambridge University Press. Cambridge Introductions to Literature.
章の要約
本書は序論、3部12章、序文、注、文献案内(その他の資料を含む)、索引からなり、本文は約230ページである。ケンブリッジ大学出版局は、歴史的および同時代の演劇を研究するための方法と道具を、異文化横断的な視点から示す手引きと紹介し、中心は方法論にあるとしている。コラムが主要な話題の背景を補い、各章の終わりには読書案内が付く。
序論:演劇と演劇学
序論は学問分野としての演劇学を位置づける。節は「統合的な演劇学」「演劇学からパフォーマンス・スタディーズへ」、そして本書の概要である。演劇学を統合的な分野として示し、パフォーマンス・スタディーズとの関係を整理する。
第I部「演劇の要素」:第1〜3章
3つの章が、演劇の基本要素を順に取り上げる。「演者と俳優」は、理論と分析、演技教育、異文化横断的な視点を扱う。「観客と観衆」は、観客の反応、受容と反応、そして観衆を扱う。「空間と場所」は、劇的空間、舞台空間、演劇の場所を扱う。これらは、後の方法論の章で用いる語彙を与える。
第4〜5章:演劇の理論1・2
最初の章は、歴史的パラダイムをミメーシス、ポイエーシス、カタルシスの見出しのもとで扱う。次の章は、体系的・批判的な取り組みとして、記号論、ポスト構造主義と精神分析、現象学、文化唯物論、演劇性とパフォーマンス理論を取り上げる。
第6章:演劇史学
この章が扱うのは演劇史の書き方であり、演劇の歴史そのものではない。史料と再構成、演劇イコノグラフィー、時代区分、現代の取り組みを扱い、まとめと展望で結ばれる。
第7〜8章:テクストと上演;上演分析
「テクストと上演」は、テクストの地位、戯曲から演劇的テクストへの移行、戯曲・演出・上演の区別を検討する。「上演分析」は、記譜と記録、分析の道具、分析の目標、方法とモデルを扱う。
第9〜10章:音楽劇;舞踊劇
どちらの章も、そのジャンルの要素を整理してから分析に進む。音楽劇の章には、音楽的ドラマトゥルギーと、テクストと演出についての節があり、『ラ・ボエーム』と『アリオダンテ』の分析が置かれる。舞踊劇の章は、動きの分析(記譜、記号論、イデオロギー)と、『ペトルーシュカ』および『エンター・アキレス』の分析を扱う。
第III部「学問分野のあいだの演劇学」:第11〜12章
「応用演劇」は、事例、歴史的軌跡、理論的パラダイム、研究方法を扱う。「演劇とメディア」は、メディアとしての演劇、他のメディアとの関係、インターメディアリティを扱う。
主要概念
第1〜3章:演者、観客、空間
- 観客の反応と受容:観客の章の節であり、観衆についての独立した節と並んでいる。
- 劇的空間、舞台空間、演劇の場所:空間の章を構成する3つの節。
第4〜6章:理論と史学
- ミメーシス、ポイエーシス、カタルシス:本書が演劇理論を導入する際の歴史的パラダイム。
- 記号論、現象学、文化唯物論:第5章で挙げられる体系的・批判的な取り組みの一部。
- 時代区分と演劇イコノグラフィー:史料と図像から演劇史を書く際の方法論上の問題。
第7〜12章:分析と学際的な分野
- テクスト、戯曲、演出、上演:上演分析の土台となる区別。
- 記譜と記録:分析のために上演を記録する方法。
- 応用演劇とインターメディアリティ:本書が最後に取り上げる2つの学際的な分野。
批判的分析
長所
- 方法が先に来る。 出版局は方法論に重点があると述べており、目次もそれを裏づける。最も長い第II部は、戯曲や時代ではなく、演劇をどう研究するか(理論、史学、テクストと上演の分析)を扱っている。
- 話し言葉の戯曲を超えたジャンル。 音楽劇と舞踊劇に独立した章があり、それぞれ分析の事例が挙げられているため、オペラと舞踊は戯曲と同等に扱われている。
- 異文化横断的な枠組み。 出版局は異文化横断的な取り組みだと説明しており、目次では俳優の章に異文化横断的な視点の節があることから、その姿勢がうかがえる。
- コンパクトで使いやすい。 約230ページで、文献案内の節があり、各章の後に読書案内が付くので、数週間で通読できる。
短所
- 各話題の扱いが短い。 章はおおむね13〜22ページなので、理論の章は概観にとどまり、記号論、現象学、文化唯物論などの各アプローチは一節ずつしか割かれない。
- 演劇史でもアンソロジーでもない。 史学の章は歴史の書き方を説明するもので歴史を語るものではなく、戯曲も収録されていないため、演劇史の本と戯曲テクストを併せて用意する必要がある。
- 2008年刊。 その後の展開は範囲外であり、メディアの章もインターメディアリティで終わる。
コースにおける位置づけ
ドラマのコースでは、本書は方法論の手引きにあたる。ウォリスとシェパードの Studying Plays は、戯曲テクストを上演のために分析する方法を教える、より入りやすい出発点で、この分野が初めての読者に向く。バルメの本は、問いを理論、歴史、さまざまな上演ジャンルへと広げる。Theatre Histories: An Introduction は、バルメの史学の章が試みていない、世界の文化にまたがる演劇史の叙述を提供し、The Norton Anthology of Drama と Hamlet は分析の対象となる戯曲を提供する。マーヴィン・カールソンの Theories of the Theatre は、バルメが2章で扱う西洋の演劇理論を網羅的に論じるため、理論の章の次に読む本として自然である。
本書の使い方
本書は、演劇学を学び始める学部生や、この分野の方法の概観を求める読者に向いている。出版局は、幅広い演劇学の授業向けの手引きと位置づけている。いくつかの戯曲に親しみ、舞台を観た経験があれば、分析の章を実際に応用しやすい。
実践的な進め方としては、まず序論と第I部を読む。演者、観客、空間という語彙がここで整うからである。次に第7〜8章(テクスト、上演、分析)を、ノートン・アンソロジーまたは『ハムレット』の戯曲と併せて読み、分析の道具を録画または実際の舞台に当てはめてみる。第4〜6章は、授業が理論や歴史に進むときに読み、さらに深く学ぶには文献案内の節を使う。第9〜10章は、授業でオペラや舞踊を扱う場合に通読すればよいが、分析の節で示される方法は他にも応用できる。第11〜12章は、応用演劇や演劇とメディアを扱う授業に向く。
