01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
James, M., Merickel, A. P., & McHenry, J. (2019). Reading Literature and Writing Argument (7th ed.). Pearson.
章の要約
第7版は、著者たちがタラハシー・コミュニティ・カレッジで30年以上教えてきた二つの大学の授業、「文学について書く」と「論証と説得の文章」を一つに結びつけたものである。序文に示された前提は「文学は思考を解き放ち、論証は思考を鍛える」というものだ。本書は二部構成で、読むことと論証を教える5つの「レトリック」の章と、小説・詩・戯曲・ノンフィクションをテーマ別にまとめた3つの「アンソロジー」の章から成る。各章はマルチモーダル活動を含む「章末アクティビティ」で終わり、巻末には用語集、収録作品の作者の略歴、作者・題名索引と事項索引がある。この版はまず Pearson のデジタル形式 Revel で(2019年)、その後 eText として(2021年)提供された。
第I部 第1章:論証と文学を結びつける
冒頭の章は、学術的な論証を対立的な口論から区別し、論証を批判的思考と結びつける。続いて、文学を読むことが思考を広げ論点を開くことを、メルセデス・ホルトリー「Something out of Nothing」を用いて示し、アクティビティではデイヴィッド・ブルックス「The Art of Thinking Well」とベス・アン・フェネリー「We Are the Renters」を扱う。
第I部 第2章:創造的に読む、批判的に読む
この版でほぼ全面的に新しくなった章で、能動的で注意深い読み方のヒントを示したうえで、相補的な二つの読み方、すなわち創造的な読みと批判的な読みを実演する。ダドリー・ランドール「バーミンガムのバラード」(学生の作文付き)、シオドア・レトキ「パパのワルツ」、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ「赤い手押し車」によって二つの読みを統合する方法を示し、ブラウニング「ポーフィリアの恋人」でアクティビティを締めくくる。
第I部 第3章:論証を分析する
論証の構成要素(主張、根拠、前提、反論への譲歩と反駁)、よく見られる10の論理的誤謬、修辞的文脈、ロゴス・パトス・エトスの訴えを含むアリストテレスのモデル、そして最後に視覚的な論証を扱う。ケネス・レクスロス、ウィリアム・ブレイク、マルティン・エスパーダの詩、シェイクスピアのソネット18番、ジャメイカ・キンケイド「少女」が例として使われ、アクティビティではロバート・ヘイデンとウィルフレッド・オーウェンの詩が、散文の論証、『わが闘争』の抜粋、ブレット・スティーブンス「The Dying Art of Disagreement」と並べて置かれている。
第I部 第4章:論証エッセイを書く
論証エッセイを計画し展開するプロセスを扱う。主題・目的・読者によって課題の焦点を定め、主張文を書き、論証の戦略を設計し、下書きと推敲を行う。この章はまた、創造的な問題解決と妥協としてのロジャーズ流論証を紹介し、学生の作文3編を収める。
第I部 第5章:論証エッセイのための調査と出典表示
発見のための調査、信頼できる資料の探し方、その組み込み方と出典表示を、予備的な文献リストと注釈付き文献リストとともに扱う。注釈付きの学生の研究エッセイが手本となり、アクティビティにはルイーズ・アードリック「赤いコンバーティブル」についての批評文とシャーロック・ホームズについての学生の作文が含まれ、二次資料の偏りを読み取り、視点を比較する方法を示す。
第II部 第6章:個人と共同体のアイデンティティ
最初のテーマ別アンソロジーの章は、章頭の美術作品についての課題を含む、事前の作文と討論の課題で始まる。短編(ショパン、O・ヘンリー、マンスフィールド、ジャクソン、アードリックほか)、詩15編(ディキンソンやハーディからメアリー・オリヴァー、マルガリータ・エングルまで)、戯曲2編(シェイクスピア『十二夜』とシャロン・E・クーパー『Siriously』)、そして1861年のサリヴァン・バルー少佐の手紙から、人種、ジェンダー、テストステロン検査、自動化をめぐるエッセイまでのノンフィクションを収める。
第II部 第7章:罪と罰
ホーソーン、ポー、ビアス、コナン・ドイル、オコナー、ブレイディ・ユーダルの短編、ハウスマン、D・H・ロレンス、ラングストン・ヒューズ、マージ・ピアシー、エセリッジ・ナイトらの詩、スーザン・グラスペル『ささいなこと』、そしてフランシス・ベーコン「復讐について」やオーウェル「絞首刑」から、パーデュー・ファーマとオピオイド危機についてのバリー・マイヤーの報道記事までのノンフィクションを収める。アクティビティでは銃規制法や、警察に対する無意識の偏見研修について論証を組み立てる課題が出される。
第II部 第8章:権力と責任
ワシントン・アーヴィングやアルフォンス・ドーデから、ティム・オブライエン「兵士たちの荷物」やルシア・ベルリンまでの短編、ミルトン、リルケ、フロスト、クロード・マッケイ、グウェンドリン・ブルックス、ナオミ・シハブ・ナイの詩、オスカー・ワイルド『理想の夫』、そしてリンカーンとオバマの2期目の就任演説、ジョゼフ酋長の降伏の言葉、リチャード・ライト『ブラック・ボーイ』の抜粋、気候変動への適応や子どものスポーツにおけるいじめを扱う最近のエッセイを含むノンフィクションを収める。
主要概念
第I部:読むことと分析すること
- 学術的論証と対立的論証:学術的な論証は、相手を打ち負かすことではなく、探究と理解を目指す。
- 創造的な読みと批判的な読み:経験と意味を求めて想像力豊かに読み、次に主張と前提を評価しながら読み、その二つを組み合わせること。
- 論証の構成要素:主張、根拠、前提、反論への譲歩と反駁。
- 修辞的な訴え:書き手・読者・目的から成る修辞的文脈のなかでの、アリストテレスのロゴス、パトス、エトス。
第I部:書くことと調べること
- 主張文:論証エッセイが擁護する立場を述べる一文。
- ロジャーズ流論証:対立する立場のあいだに共通の基盤と妥協点を探る戦略。
- 信頼できる資料と出典表示:信頼できる資料を見つけ、自分の文章に組み込み、注釈付き文献リストと引用文献リストで出典を示すこと。
第II部:論証のためのテーマ
- 文学における暗示的な論証:短編、詩、戯曲が明言せずに提起する論点と立場。学生はそれを文章による論証へと変える。
- グローバルな視点と協働:世界的な関心事についての論証と、グループでのロジャーズ流の妥協案を求める章末課題。
批判的分析
長所
- 文学と論証を組み合わせる明確な理由づけ。 序文は、学生は論じるべき考えをもっているときによりよい論証を書くこと、そして想像力による文学が複数の視点から論点を示すことでその考えを与えてくれることを論じる。明示的な論証を行うノンフィクションが文学作品と並べて置かれ、学生は暗示的な論証と明示された論証の両方に出会う。
- 各章に構造化された練習。 レトリックの章は「Think About It」の問いと「Read and Respond」の活動で終わる。アンソロジーの各作品の後には批判的思考のトピックと作文のトピックが、各アンソロジー章の終わりには作文のトピック、グローバルな視点の課題、協働によるロジャーズ流論証、「文学のテーマを論じる」課題が続く。日誌課題、「Look It Up」の調査課題、要点をまとめた「Take Note」の囲みも各章にある。
- 学生の手本。 レトリックの章には、文学的論証一編と注釈付き研究エッセイを含む、学生の作文6編が収められている。
- 古典的モデルと並ぶロジャーズ流論証。 本書は論証を説得だけでなく問題解決としても扱っており、議論の分かれる問題を話し合う授業に向いている。
短所
- 文学分析の深さより幅。 レトリックの章は論証に集中しており、語りの視点や韻律などの文学的要素には独立した章がない。文学分析の用語を学ぶ必要がある学生には別の教材が要る。
- 古典的な論証モデルは一つ。 目次に名前が挙がっているのはアリストテレスのモデルとロジャーズ流の戦略で、論証の授業で教えられる他のモデルは示されていない。
- 時事的な作品は古びる。 いくつかのノンフィクションは、この版の準備時に話題だった問題(オピオイド危機、自動化、意見の対立をめぐる議論)を扱っている。序文も作文のトピックを最近の出来事に合わせて更新したと述べており、版を重ねるごとに古くなる。
- 形式と版。 サイトに記載された ISBN は Revel のアクセスカードである。Revel の内容は完全にデジタルで、教員の授業リンクが必要なので、学生は自分の授業がどの形式を使うかを確認すべきである。
コースにおける位置づけ
このコースの書目のなかでは、文学を通じて論証を教える作文の授業のための本である。ジェラルド・グラフとキャシー・バーケンスタインの『They Say / I Say』は、学術的な文章の「動き」をテンプレートで示す短い手引きで、特に資料の要約と応答の面で本書とよく併用できる。オープン教科書の『Writing Guide with Handbook』は、文法と出典表示のハンドブックを備え、より幅広いジャンルを扱うので、文学を中心としない授業で役立つ。
さらに進みたい学生には、ブースらの『The Craft of Research』が第5章よりも詳しい調査と報告の手引きとなり、スティーヴン・トゥールミンの『議論の技法(The Uses of Argument)』は広く教えられている論証モデルの背後にある哲学的研究で、本書が示すアリストテレス的・ロジャーズ的アプローチの先を見たい人に向いている。
本書の使い方
本書は大学1年生向けに書かれており、文学研究やレトリックの予備知識は前提とされていない。著者はアンソロジーのテーマを、章をまたいで結びつきを見いだすための誘いとして示しているので、教員は最初から第6〜8章の作品をレトリックの章と組み合わせることができる。
- 中核となる順序: 学期の早い時期に第1〜4章を順に読む。以後のすべての作文トピックで使われる語彙(主張、前提、訴え、誤謬)がここで身につく。
- 第5章は研究エッセイが課されたときに読み、下書きの前に注釈付きの学生のエッセイを検討する。
- アンソロジーの章: 単元ごとにテーマを一つ選び、事前の作文と討論の課題から始め、各作品後の批判的思考と作文のトピックを、暗示的な論証を主張へと変える練習として使う。
- 協働課題: 各アンソロジー章の終わりにあるロジャーズ流のグループ活動は、第4章の戦略の練習として役立つ。
- 用語集と作者の略歴は、収録作品を自分で読む際の助けになる。
Revel を使う学生は、この版の内容と活動が印刷された本ではなく、授業リンクを通じてオンラインで提供されることに注意したい。
