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The Craft of Research(リサーチの技法) cover

文学

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The Craft of Research(リサーチの技法)

Wayne C. Booth; Gregory G. Colomb; Joseph M. Williams; Joseph Bizup; William T. FitzGerald

英語原題: The Craft of Research

あらゆる分野での研究の計画・実施・報告の手引き。著者たちは研究を読者との対話としてとらえ、テーマを問いへ、さらに問題へと絞り込む方法、資料の探し方と使い方、主張・理由・根拠から議論を組み立てる方法、報告書の執筆と推敲の仕方を示す。

前提知識: 資料に基づくレポートを少なくとも一本書いた経験を前提とするが、特定の専門分野の背景は必要ない。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
research methodsacademic writingargumentresearch designthesis writing教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Booth, W. C., Colomb, G. G., Williams, J. M., Bizup, J., & FitzGerald, W. T. (2024). The Craft of Research (5th ed.). University of Chicago Press.

章の要約

本書は序論と5つの部からなり、368ページで、末尾に簡潔な資料付録がある。第I部から第IV部までは、それぞれ短いプロローグで始まり、第1章から第16章までは、それぞれ実践的な助言を短くまとめた「Quick Tip」で終わる。

序文と序論:あなたの研究とあなたの読者(Your Research and Your Audience)

序文は第5版の狙いを説明する。序論は、研究とは何か、読者とどう結びつくか、自分の役割をどう理解し読者の役割をどう思い描くか、本書をどう使うかを問い、読者を理解するためのチェックリストで終わる。

第I部 第1–2章:話題から問いへ(From Topics to Questions);問いから問題へ(From Questions to a Problem)

プロジェクトの計画に関するプロローグのあと、第1章は関心から絞り込んだ話題へ、さらに研究の問いへ、そして「それがどうしたのか(So what?)」という問いへと進む。第2章は問いを問題へと変える。純粋研究と応用研究を区別し、研究を実際的な帰結に結びつけ、よい研究問題の見つけ方とその扱い方を示す。

第II部 第3–4章:情報源を見つけ評価する(Finding and Evaluating Sources);情報源と向き合う(Engaging Sources)

第3章は三種類の情報源を区別し、図書館とオンライン検索を扱い、関連性と信頼性の判断の仕方を示す。また、予想のつきやすい情報源の外へ目を向けること、人を情報源として使うことにも触れ、生成AIに関するQuick Tipも添えている。第4章は、書誌情報の記録、問題・論証・データを求めた能動的な読み方、体系的なノート取り、注記を扱う。

第III部 第5–9章:よい論証を作る(Making Good Arguments);主張をする(Making Claims);理由と証拠を組み立てる(Assembling Reasons and Evidence);保証(Warrants);承認と応答(Acknowledgments and Responses)

論証を扱うこの部が本書の核心である。第5章は、会話としての論証を概観し、主張、理由と証拠、保証、そして反対意見の承認という核を示す。第6章は主張の種類とその限定の仕方を扱う。第7章は理由と証拠を区別し、さらに証拠とその報告を区別する。第8章は、日常の推論と研究における推論での保証を扱い、その検証や反論の仕方も含む。第9章は、読者が提起する疑問、別の可能性の想像の仕方、応答を副次的な論証として組み立てる方法を扱う。

第IV部 第10–16章:計画と下書き(Planning and Drafting);推敲と構成(Revising and Organizing);情報源の取り込み(Incorporating Sources);証拠を視覚的に伝える(Communicating Evidence Visually);序論と結論(Introductions and Conclusions);文体の推敲:物語を明快に語る(Revising Style: Telling Your Story Clearly);研究発表(Research Presentations)

この部は論証を読者に届けることを扱う。第10章と第11章は、正式な論文の計画と下書き、そしてその枠組み、論証、構成、段落の推敲を扱う。第12章は、要約、言い換え、引用、出典表示、代表的な四つの引用スタイル、盗用を扱う。第13章は、視覚的な形式か言葉による形式かの選択、表・図・グラフの設計、データの倫理的な提示を扱う。第14章は序論と結論の構造を示し、第15章は明快な文章の原則を示す。第16章は発表に関する章で、第5版で新しく加わった。

第V部 第17–18章と付録:研究の倫理(The Ethics of Research);教師への助言(Advice for Teachers);書誌その他の資料への簡単な案内(A Brief Guide to Bibliographic and Other Resources)

第17章は、自分自身に対する、読者や同じ研究者に対する、そして社会に対する倫理的義務を扱う。第18章は研究を教える教師に向けて書かれている。付録は、書誌その他の資料へ読者を簡潔に案内する。

主要概念

序論と第I部

  • 読者と役割:序論は、書き手が読者と結びつき、自分の役割を理解し、読者が担う役割を思い描くよう求める。
  • 話題、問い、問題:最初の二つの章は、話題を研究の問いと、それを動機づける問題から区別し、「それがどうしたのか」という検証で、その問いに意義があるかを確かめる。
  • 純粋研究と応用研究:第2章は、理解を求める研究と、実際的な問題の解決を求める研究を区別する。

第II・III部

  • 情報源と向き合う:第4章は読むことを能動的な作業として扱い、問題、論証、データを求めて読む。
  • 主張、理由、証拠:第5章から第7章は、これらの要素から論証を組み立てる。
  • 保証:第8章は、理由を主張に結びつける原則と、それを検証する方法を扱う。
  • 承認と応答:第9章は、反対意見や別の可能性を予想し、副次的な論証として応答することを教える。

第IV・V部

  • 枠組みと序論の構造:第11章は論文の枠組みの推敲を扱い、第14章は、文脈、問題、応答を述べるという三つの段階で序論を組み立てる。
  • 旧情報が先、複雑なものは後:第15章は明快な文体の原則を示す。
  • 倫理的義務:第17章は、自分自身、読者、社会に対する義務を扱う。

批判的分析

長所

  • 研究の全過程が一冊に。 内容は、話題の選択から発表と倫理まで及ぶので、計画段階の学生にも推敲段階の学生にも同じ一冊が役に立つ。
  • 論証が分けて教えられる。 主張、理由、証拠、保証、応答には、それぞれ番号つきの節に分かれた章があり、書き手は手を入れるべき要素にすぐ進める。
  • 実践的な足場。 第I部から第IV部はプロローグで始まり、第1章から第16章はQuick Tipで終わるので、読者は具体的な問題に応じて拾い読みできる。
  • 検証され、更新された書物。 出版社によれば、本書は1995年の初版以来100万部以上売れており、第5版は発表に関する章、生成AIの指針、新しい例、拡充された倫理の章を加えている。『Booklist』は、新しい道具や方法に応えつつ著者たちの全体的な取り組み方を保っていると評価している。

短所

  • 分野別ではなく一般向け。 『Booklist』の書評は、本書を一般的な実践的助言を伴う概念的な枠組みと評しており、実験科学や法学のように書式が固定された分野の研究者は、分野別の手引きを必要とする。
  • 引用の手引きではない。 第12章は代表的な四つの引用スタイルを扱い、付録は資料への簡単な案内にとどまるので、自分の分野で使う文体指針の代わりにはならない。
  • 生成AIは簡素。 指針はQuick Tipとして現れ、出版社の説明でも「基本的な指針」とされており、十分な扱いとは言えない。
  • すべての章がすべての計画に当てはまるわけではない。 第18章は教師に向けられており、視覚的証拠や発表の章は、それを必要とするプロジェクトにだけ関係する。

コースにおける位置づけ

作文・文章表現のコースで『The Craft of Research』は、文や段落ではなく研究プロジェクト全体を扱う本である。『They Say / I Say』は、論証を会話への参加として扱い、熟練した書き手が使う型のための雛形を示す短い案内書である。最初に読むには軽く、『Craft』は同じ会話という考えを完全な研究報告まで押し進める。『Writing Guide with Handbook』は、ジャンル別に構成され、文法と出典表示のハンドブックで終わるオープン教科書(初年次向け)であり、文章の基本に助けが必要な場面で『Craft』を補う。

『Reading Literature and Writing Argument』は文学分析と論証的な文章を組み合わせており、テクストについて書く学生に向いている。スティーヴン・トゥールミンの『The Uses of Argument』は、実践的な論証がどのように働くかを論じた哲学的研究で、実践的な論証の図式を提案している。トゥールミンも『Craft』も保証(warrant)という語を用いるが、学生にとっては『Craft』の論証の章のほうが実践的な道筋であり、背後にある理論を学ぶにはトゥールミンを読むとよい。

本書の使い方

本書は、卒業論文を書く上級の学部生、研究計画書や論文を準備する大学院生、大学の外で調査結果を報告する研究者に向いている。出版社は、高校生から上級の大学院生、企業や政府の研究者までを読者として挙げているので、コースの水準が示唆するよりも早い時期に読むこともできる。

プロジェクトを始める前に序論と第I部を読み、検索と読書の段階では第II部を使う。第III部を核と考え、論証が弱いと感じるたびにそこへ戻り、節の見出しを手がかりに問題の所在を探す。下書きと推敲では第IV部を使い、書き出しが決まらないときは序論の章を使う。データを集めたり出典を引用したりする前に、第17章を読む。教える立場でなければ、第18章は飛ばしてよい。