01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Robinson, M. B., & Jerskey, M., with Fulwiler, T. (2021). Writing Guide with Handbook. OpenStax. Free official edition: https://openstax.org/details/books/writing-guide
章の要約
本書は三つのユニットに分かれた20のジャンル別の章と、それに続くハンドブックから成ります。ほとんどの章は共通の型に従っています。導入の議論、そのジャンルで活躍する「トレイルブレイザー(先駆者)」、「Glance at Genre(ジャンルの概観)」、注釈付きのプロまたは学生の作例、手順を追った執筆プロセス、Editing Focus(推敲の焦点)、評価ルーブリック、「Spotlight on…」の節、そしてポートフォリオの課題です。
第1章:デジタルの世界――すでに知っていることを土台に批判的に応答する
ユニット1(「私たちが持ち運ぶもの」)は、学生がすでにもっているオンラインでの経験から始まります。この章はソーシャルメディアの投稿を「読む」べきテキストとして扱い、批判的応答を通じてレトリックと批判的思考を紹介し、投票抑圧をめぐる学生のSNS上のやり取りに注釈を付け、テキストに批判的に応答する手順を示します。トレイルブレイザーはセレーナ・ゴメスで、最初のポートフォリオ課題では書く力の発達をたどります。
第2章:言語、アイデンティティ、文化――探求し、用い、受け入れる
セコイヤによるチェロキー文字の創出から始まり、この章はアイデンティティが言語を通じてどのように構築されるかを探ります。抑圧と再生(reclamation)を論じ、W・E・B・デュボイス『黒人のたましい』の注釈付き抜粋を示し、キャシー・パーク・ホンを取り上げ、反人種主義、インクルーシブであること、英語の多様な変種を扱います。
第3章:リテラシー・ナラティブ――橋を架け、隔たりを埋める
リテラシー・ナラティブ(読み書きや言語の習得についての物語)は、最初の本格的なジャンル課題です。この章はジャンルを定義し、フレデリック・ダグラスの『自伝』の一節に注釈を付け、タラ・ウェストーバーを取り上げ、学生が自分自身のナラティブを書く過程を導きます。推敲の焦点は文の構造で、リテラシー・ナラティブのデジタル・アーカイブ(DALN)も紹介されます。
第4章:回想録またはパーソナル・ナラティブ――個人的な経験から教訓を学ぶ
ユニット2は学術的なジャンルへと進みます。この章は対立、細部、啓示(気づき)という要素を通じて回想録を示し、タナハシ・コーツをトレイルブレイザーとして、マーク・トウェイン『ミシシッピ川の生活』の抜粋を作例に、「個人的なことを公にする」書き方を導きます。推敲では人物描写と視点に注意を向け、多言語の書き手に焦点を当てた節もあります。
第5章:プロフィール――豊かで引き込まれる物語を語る
プロフィール記事は、対象、切り口(アングル)、背景、描写を通じて教えられます。トレイルブレイザーはヴェロニカ・チェンバーズ、作例はカーラ・D・ヘイデンの「ジョン・ルイスを偲んで」です。学生は一つの切り口に焦点を絞ったプロフィールを書き、時制の一貫性を推敲で練習し、文化的な人工物をプロフィールとして描くことにも取り組みます。
第6章:提案――問題と解決策について書く
この章は、問題を定義し解決策を主張する方法を説明し、アトゥール・ガワンデと、気候変動の抑制についての学生の提案書(注釈付き)を取り上げます。執筆プロセスは提案書の作成を扱い、推敲の焦点は主語と動詞の一致、「Spotlight」はキャリアとしてのテクニカル・ライティングです。
第7章:評価またはレビュー――おすすめしますか?
レビューは基準、証拠、評価を通じて教えられ、トレイルブレイザーはミチコ・カクタニ、作例は映画における黒人の表象についての学生のレビューです。この章は娯楽作品を批判的に考えること、引用の推敲、そしてレビューが読者に与える効果を扱います。
第8章:分析レポート――事実に基づいて書く
この章は非公式と公式の分析レポートを区別し、アメリカのCOVID-19への対応についての学生のレポートを示し、バーバラ・エーレンライクを取り上げます。レポートの調査、構成、執筆の過程を導き、推敲の焦点は必須情報と非必須情報に関わるコンマの使い方、「Spotlight」は分野特有の専門用語です。
第9章:レトリック分析――レトリックの技法を読み解く
レトリック分析は、テキストを部分に分け、その戦略を検討することです。この章はジャマル・スミスを取り上げ、マシュー・デズモンド『家を失う人々(Evicted)』についての学生の分析に注釈を付け、学生自身の分析を導き、混乱した文構造を扱い、ビジネスと法律におけるレトリックに焦点を当てた節を含みます。
第10章:立場を示す論証――レトリックの技法を実践する
アリストテレスのエートス、ロゴス、パトス(およびカイロス)から出発し、この章は立場を示す論証を、主張(テーゼ)、推論、証拠を通じて定義し、リンドン・B・ジョンソンのミシガン大学での演説に注釈を付け、チャールズ・ブロウを取り上げます。執筆プロセスの節は、論文の構成、裏づけとなる証拠の種類、論理の使い方、反論への応答を扱います。推敲の焦点は段落と接続で、引用表示(citation)の節が文献の示し方を紹介します。
第11章:推論の戦略――批判的思考を高める
この比較的短い章は、推論のパターンを論証の構成要素として扱います。類推、原因と結果、分類と区分、比較と対照、問題と解決であり、合図となる語にも注意を向けます。プラトン『国家』第7巻の一節に注釈を付け、生物学者ポール・D・N・エベールを取り上げ、推論を証拠で支える方法を導きます。
第12章:論証型リサーチ――証拠によってレトリックを強める
この章は、調査で得た証拠がどのように論証を強めるかを説明し、サミン・ノスラトを取り上げ、持続可能な食生活についての学生の研究論文に注釈を付け、調査の統合の仕方を導きます。推敲の焦点は資料と引用の組み込み方、「Spotlight」は言語と研究における偏りです。
第13章:リサーチのプロセス――情報にアクセスし記録する
既存の資料を見つける方法と新たな資料を作り出す方法(例えば調査やインタビュー)についての実践的な章で、重要なリサーチ・スキル、リサーチ・ログの作例、ノートの取り方と情報の統合を扱い、最後に研究倫理に焦点を当てます。
第14章:注釈付き文献目録――資料を集め、評価し、記録する
第12章の課題と結びついたこの章は、資料を集め、評価し、注釈を付ける方法を示し、引用スタイル、目的、書式を説明し、第12章の学生の作例の背後にある注釈付き文献目録を提示します。
第15章:ケーススタディ・プロフィール――一人の人が全体について語ること
ケーススタディ・プロフィールは、一人の個人を通じて大きな問題をたどるものです。この章は神経科学者V・S・ラマチャンドランを取り上げ、ポール・ブローカが研究した、発話能力を失った患者ルイ・ヴィクトル・「タン」・ルボルニュのケーススタディに注釈を付け、人と言語がどのように関わり合うかを観察し分析する方法を導きます。応用言語学に焦点を当てた節もあります。
第16章:印刷物・テキストの分析――あなたが読むもの
ユニット3は現実世界のレトリックに目を向けます。この章は文章における著者の選択の分析を教え、ベル・フックスを取り上げ、学生の分析に注釈を付け、テキストについて批判的に考える過程を導き、文学作品を現在時制で論じるという慣例も扱います。
第17章:イメージ分析――あなたが見るもの
この章はレトリック分析を、写真や美術からミームに至るまでのイメージに適用し、アーティストのサラ・ルディと学生の分析を取り上げます。イメージについて説得的に書くこと、描写的な語の選択、そして映像と映画に焦点を当てた節を扱います。
第18章:マルチモーダル・オンラインの文章――テキストとイメージの創造的な相互作用
学生は、ジャンル、読者、目的、構成に注意を払いながらジャンルとモードを組み合わせる方法を学びます。トレイルブレイザーはトリカ・ボラタギチ、作例は米国環境保護庁(EPA)の幹部アレクサンドラ・ダポリート・ダン(「Celebrating a Win-Win」)の文章で、学生はマルチモーダルなアドボカシー・プロジェクトを制作します。
第19章:公共の場のための台本――話すために書く
この章は、書くこと、話すこと、アクティビズムを結びつけます。活動家・作家・ポッドキャスターのアリス・ウォンを取り上げ、交通規制についての学生の台本に注釈を付け、台本を書く過程を導き、話し方とパブリック・スピーキングに焦点を当てます。
第20章:ポートフォリオの振り返り――書き手としての成長
最終章は、学生に学期中の取り組みを振り返らせます。サンドラ・シスネロスと注釈付きの振り返りエッセイを取り上げ、代名詞(文脈の中の代名詞を含む)についての推敲と「Spotlight」の節で締めくくられます。
ハンドブック
ハンドブックは参照用の部分で、文レベルの問題(文の断片、コンマ・スプライス、一致、時制と法、代名詞の指示と格)、言語の変種と偏った言葉づかい、句読法(コンマ、アポストロフィ、セミコロン、コロン、引用符)、そして文献の示し方を扱い、MLAとAPAの引用例の索引付き見本とAPAの論文書式を収めています。
主要概念
第1章:デジタルの世界
- レトリカル・シチュエーション:コミュニケーションの条件や状況――書き手、読者、目的、文脈――であり、本書はこれに文化を独立した要素として加えている。
- 批判的応答:テキストを丁寧に読み、その実際の出来が意図にどれだけ合っているかについて応答すること。
第2章:言語、アイデンティティ、文化
- 批判的言語意識:言語の慣習が社会的・政治的な力を帯びており、問い直しうるものだと認識すること。
- 英語の変種:書く際の、さまざまな英語や方言の正当性。
第3章:リテラシー・ナラティブ
- リテラシー・ナラティブ:個人や共同体が言語や読み書きを学んだ経験についての物語。
第4章:回想録またはパーソナル・ナラティブ
- 対立、細部、啓示:個人的な経験を意味のある物語に変える要素。
第5章:プロフィール
- 切り口(アングル):プロフィールが対象について語ることを選ぶ、一つの焦点を絞った物語。
第6章:提案
- 問題―解決の構造:問題を説得力をもって定義したうえで、実行可能な解決策を主張すること。
第7章:評価またはレビュー
- 基準と証拠:具体的な細部に支えられた、明示的な判断基準。
第8章:分析レポート
- 情報提供と分析:証拠に支えられた事実を示し、その意義について結論を導くこと。
第9章:レトリック分析
- レトリックの戦略:特定の読者を説得するために書き手が行う選択を、部分ごとに検討すること。
第10章:立場を示す論証
- エートス、ロゴス、パトス、カイロス:信頼性、論理、感情、時宜への訴え。
- 反論と再反論:反対意見を認め、それに応答すること。
第11章:推論の戦略
- 推論のパターン:論証の構造としての類推、原因と結果、分類と区分、比較と対照、問題と解決。
第12章:論証型リサーチ
- 証拠としてのリサーチ:資料を書き手の論証の代わりにするのではなく、主張を支えるために使うこと。
第13章:リサーチのプロセス
- 一次調査と二次調査:新たな情報を作り出すことと、既存の資料を探すこと。
- リサーチ・ログ:資料、ノート、統合を継続的に記録したもの。
第14章:注釈付き文献目録
- 注釈:各資料の要約と、その関連性と信頼性の評価。
第15章:ケーススタディ・プロフィール
- ケーススタディ:一人の人や一つの事例を深く調べ、より大きな問題を照らし出すこと。
第16章:印刷物・テキストの分析
- テキストが何を言い、どう言っているか:内容と著者の選択をあわせて分析すること。
第17章:イメージ分析
- 視覚的レトリック:構図、色、文脈によってイメージがどのように説得するか。
第18章:マルチモーダル・オンラインの文章
- マルチモーダルな作文:目的と読者に合わせて、テキスト、画像、音、動きを組み合わせること。
第19章:公共の場のための台本
- 話すために書く:書かれた論証を口頭での発表と聞き手に合わせて作り変えること。
第20章:ポートフォリオの振り返り
- 振り返り(リフレクション):一連の作品を通じて意図と実際の出来を比べ、自分の成長を評価すること。
ハンドブック
- Editing Focusとの連携:各章の推敲の焦点は、教員が最も重要だと考える十の推敲項目に基づくハンドブックの節と結びついている。
批判的分析
長所
- 一貫した段階的な章構成。 ほぼすべてのジャンルの章が、トレイルブレイザー、ジャンルの概観、注釈付き作例、「Quick Launch」の図式を含む執筆プロセス、推敲の焦点、ルーブリック、「Spotlight」、ポートフォリオという同じ順序に従っているため、学生は何が来るかを予測でき、教員は部分を柔軟に課すことができます。
- プロと学生の注釈付きの作例。 作例はダグラス、デュボイス、トウェイン、プラトンから、気候変動、映画、COVID-19、持続可能な食生活についての学生の論文にまで及び、注釈が各ジャンルの特徴を指摘しています。
- インクルージョンと言語意識への明確な取り組み。 序文は文化的意識と批判的言語意識を明示的な到達目標とし、第2章は言語、アイデンティティ、英語の変種を扱い、トレイルブレイザーは多様な現代の書き手やアーティストで構成されています。
- エッセイを超えた幅広さ。 ユニット3はテキストとイメージの分析、マルチモーダルなプロジェクト、話すための台本を扱い、リサーチの章(第12〜14章)は、リサーチ・クエスチョンから注釈付き文献目録と論文までのつながった流れを成しています。
短所
- 古くなった引用表示の指針。 序文は、開発中に第9版が刊行されたため本書は MLA Handbook 第8版に従っていると説明しています。最新のMLAスタイルを使う学生は違いを確認する必要があります。
- 一つの授業には大きく、繰り返しが多い。 20章とハンドブックを備えた本書は1学期で使い切れないほどの課題を含んでおり、同じ章の型の繰り返しが個々の章を定型的に感じさせることもあります。
- アメリカ中心で時期に縛られた事例。 多くの作例と文脈(投票抑圧、アメリカのCOVID-19対応、アメリカの交通規制)はアメリカのもので、2020〜2021年に結びついています。
- 論証理論は入門レベルにとどまる。 第10章と第11章は訴えと推論のパターンを明快に示していますが、論証の形式的なモデルや研究デザインの詳しい扱いには踏み込みません。
コースにおける位置づけ
「文章作法・作文・論証」のリストで、本書はジャンルに基づく幅広い作文教科書です。GraffとBirkensteinの They Say / I Say は一般に、学術的論証のレトリカルな「型(moves)」を簡潔にまとめたガイドとされています。本書の第9〜12章とよく組み合わせられ、短いガイドが提供しないジャンル、リサーチのプロセス、ハンドブックはOpenStaxが補います。Reading Literature and Writing Argument は、題名が示すとおり文学を通じた論証に焦点を当てています。文学に基づく作文の授業では、本書の第10〜12章と第16章と組み合わせることができます。
さらに二冊は、特定の主題について本書より深く掘り下げます。Boothらの The Craft of Research は、リサーチ・クエスチョンの立て方と資料から論証を組み立てる方法をより詳しく扱っており、第12〜14章の後に読むのが最適です。Toulminの The Uses of Argument は論証の構造についての理論的著作で、第10〜11章を学んだ後、多くの論証指導の背後にある主張・根拠・論拠のモデルを理解したい学生に向いています。
本書の使い方
本書は大学1年生の作文の授業向けに作られており、一般的な読み書きの経験以外に特別な予備知識は前提としていません。特に多言語の書き手や多様な言語的背景をもつ学生に配慮しています。典型的な1学期の計画としては、導入に第1章か第2章を使い、第3〜5章から個人的なジャンルを一つか二つ、第7〜9章から分析的なジャンルを一つか二つ選び、第10〜14章の論証とリサーチの流れを扱い、最後のポートフォリオに第20章を使う、といった形が考えられます。メディアや公共的な文章を重視する授業では、ユニット3の章をユニット2のジャンルの代わりに、あるいは補足として使えます。
各課題では、まず「Glance at Genre」と注釈付きの作例を読み、「Quick Launch」の図式を使って書き始め、執筆プロセスの手順に沿って草稿を書き、章のルーブリックを自己評価とピア・レビューに使ってください。推敲の際には、各Editing Focusからリンクされたハンドブックの節を参照し、最終章がそれに依拠しているため、ポートフォリオの課題は学期を通して続けてください。
版と出典
本ガイドは Writing Guide with Handbook(OpenStax、初版刊行年2021年、版番号の表記なし)に基づいており、底本は https://openstax.org/details/books/writing-guide からリンクされた公式の無料ウェブ用PDFです(ダウンロードしたファイルには、その後の増刷を反映した2026年のRice University著作権表記があります)。本ガイドは、序文(目的、教育的基盤、特色、主な機能)、目次全体、三つのユニットの導入、全20章の導入と節見出し、節構成の抜粋(10.5節と11.3節)、そしてハンドブックの見出しと文献表示の節に基づいています。
