01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Barry, P. (2017). Beginning Theory: An Introduction to Literary and Cultural Theory (4th ed.). Manchester University Press. Beginnings series.
章の要約
マンチェスター大学出版局の「ビギニングズ」シリーズに属する第4版は約380ページで、序論、15の章、付録、読書案内(「ここからどこへ行くか」)、索引からなる。それ以前の版は1995年、2002年、2009年に出ている。出版社によれば、今版では序論が新しくなり、各章が拡充され、最終章「『理論』以後の理論」は第2版と第3版以降に登場した「イズム」を見取り図として示す。『チョイス』誌の書評(2018年10月)は、コンシリエンスとポストヒューマニズムに関する新しい節と、この分野に初めて触れる学生のための実践的な演習に触れている。
序論、第1章:「理論」以前の理論 リベラル・ヒューマニズム
本書は本来の理論以前、すなわち後の諸学派がそれに対抗して自らを定義したリベラル・ヒューマニズムから始まる。これによって読者は、「理論」の到来が何を変えたのかを見て取ることができる。
第2–4章:構造主義、ポスト構造主義と脱構築、ポストモダニズム
1960年代以降の文学研究を変えた、互いに結びついた運動を扱う3章。構造主義、その後継であるポスト構造主義と脱構築、そしてポストモダニズムである。
第5–7章:精神分析批評、フェミニズム批評、レズビアン/ゲイ批評
心、ジェンダー、セクシュアリティを中心とするアプローチ。2017年のペーパーバックの販売情報に載る目次では第7章は「レズビアン/ゲイ批評」だが、英国図書館の目録にある第4版の2020年の電子書籍の記録では「クィア理論」となっている。
第8–10章:マルクス主義批評、新歴史主義と文化唯物論、ポストコロニアル批評
政治的・歴史的志向の批評。マルクス主義批評、アメリカの新歴史主義とそれに対応するイギリスの文化唯物論、ポストコロニアル批評である。
第11–13章:文体論、物語論、エコクリティシズム
言語と形式に基づく二つのアプローチ、文体論と物語論に続いて、文学と環境を研究するエコクリティシズムが扱われる。
第14章:文学理論 十の出来事による歴史
理論の歴史を十のエピソードで語る、性格の異なる章。第3版の目録記録によれば、それらは1958年のインディアナ大学「文体会議」と1966年のジョンズ・ホプキンズ大学シンポジウムに始まり、『脱構築と批評』の刊行(1979年)、「マッケイブ事件」(1981年)、イーグルトン『文学とは何か』(1983年)、J・ヒリス・ミラーのMLA会長講演とストラスクライド大学の「書くことの言語学」会議(1986年)、ポール・ド・マンの戦時中の著作をめぐるスキャンダル(1987–88年)、ボードリヤールの「湾岸戦争は起こらなかった」(1991年)、ソーカル事件(1996年)に及ぶ。
第15章:「理論」以後の理論
最終章はより新しい展開を概観する。出版社はこれを2002年と2009年以降の新しい「イズム」を見取り図として示すものと説明し、『チョイス』の書評者はその中にコンシリエンスとポストヒューマニズムを挙げている。その後に付録と読書案内が続く。第3版では、付録にエドガー・アラン・ポー(「楕円形の肖像」)、ディラン・トマス、ウィリアム・クーパーの短いテクストが収められていた。
主要概念
第1–4章:「理論」の前と後
- リベラル・ヒューマニズム:現代の理論がそれに対抗して自らを定義した、以前の文学へのアプローチ。
- 構造主義:意味を生み出す根底の体系と構造の分析。
- 脱構築:テクスト内部の不安定さを明るみに出す、ポスト構造主義の読解。
- ポストモダニズム:独立した章で扱われる文化的状況とその理論。
第5–10章:心、ジェンダー、政治、歴史
- 精神分析批評:精神分析から引き出した概念で文学を読むこと。
- フェミニズム批評とレズビアン/ゲイ(クィア)批評:ジェンダーとセクシュアリティを中心とするアプローチ。
- 新歴史主義と文化唯物論:文学テクストを同時代の他のテクストや権力とあわせて読む、アメリカとイギリスのアプローチ。
- ポストコロニアル批評:植民地主義とその余波との関係で文学を読むこと。
第11–15章:言語、形式、環境、理論の歴史
- 文体論と物語論:文学的文体の言語学的分析と、物語構造の研究。
- エコクリティシズム:文学と自然環境の研究。
- 「理論」以後の理論:主要な学派以降の展開で、コンシリエンスやポストヒューマニズムを含む。
批判的分析
長所
- 学生のために書かれている。 『チョイス』の書評者(南オレゴン大学のM・アンダーソン)は、本書を英文学の学生のために明示的に書かれた読みやすい本と評し、学生を安心させ、難しい概念を考え抜くための道具を与えることに力を注いでいると述べ、実践的な演習が初学者を理論のさまざまな使い方に慣れさせると指摘している。
- 1冊で幅広く扱う。 15章がリベラル・ヒューマニズムからエコクリティシズム、そして「理論」以後の理論にまで及ぶ。出版社が引用する『イングリッシュ・アソシエーション・ニューズレター』の評は、これほど包括的にこの分野を扱い、しかも丁寧で詳しい説明を備えた本はほかにないと述べ、イギリスと北米における理論の教え方を形づくるうえで重要な役割を果たしたとしている。
- 方法だけでなく歴史も。 理論の物語を十の出来事で語る章は、各学派の主張だけでなく、理論がどのように到来し、どのように争われたかの感覚を学生に与える。
- 自立した見解を育てる。 出版社は、本書が紹介する批評家や理論について特定の立場を前提とせず、原理が理解されたうえで読者が自分の判断を形づくれるようにしている点を強調している。
短所
- 正典的な例。 『チョイス』の書評者は、バリーがワーズワース、オースティン、シェイクスピアなど正典的な英国の作家で例示する傾向があり、そのため他の文学や言語を学ぶ学生には有用性が下がると指摘している。
- 控えめな改訂。 同じ書評者は、第4版の変更の多くは実質的でないと判断し、テクノロジーに関わる理論など新しい理論の扱いが手薄であり、参考文献と読書案内の大半が以前の版と変わっていないと述べている。
- 入門としての深さ。 各学派には1章しか割かれていないので、本書は最初の地図であり、レポートや卒業論文には理論家自身の著作やより詳しい解説が必要である。
コースにおける位置づけ
文学理論のコースで、バリーは学派ごとに学ぶための主要な出発点である。ジョナサン・カラーの『文学理論』(オックスフォードの「ベリー・ショート・イントロダクション」)は、より短く、別々の学派ではなく理論の鍵となる動きを軸に構成されており、先に読むか並行して読むとよい。ロイス・タイソンの『今日の批評理論』は同様の範囲のアプローチを扱うが、そのすべてを『グレート・ギャツビー』で実演するので、一つのテクストへの繰り返しの応用から最もよく学ぶ学生に向いている。テリー・イーグルトンの『文学とは何か』(その1983年の刊行をバリーは十の出来事の一つに数えている)は、より論争的で政治的立場の明確な概説であり、第二段階に適している。M・A・R・ハビブの『文学批評の歴史』と『ノートン版 理論と批評アンソロジー』は、学生を批評の長い歴史と一次テクストへ導く。
本書の使い方
本書は初めて理論に触れる学部生に向いている。予備知識は不要だが、例の多くがそこから採られているので、いくつかの正典的な英文学作品を知っていると役立つ。
- 第1章から始める。 リベラル・ヒューマニズムを理解すると、後の章が何に反発しているのかがはっきりする。
- 第2–4章はひとまとまりで読む。 構造主義、ポスト構造主義、ポストモダニズムは互いの上に築かれている。
- その後は授業に合わせて選ぶ。 第5–13章は授業で扱う順に読んでよく、それぞれが紹介する一次テクストと組み合わせる。
- 演習をやる。 実践的な演習に取り組み、次へ進む前に、それぞれのアプローチを短い詩や物語で試してみる。
- 第14–15章でつなぐ。 各学派の後で十の出来事による歴史を読んで、それらがどのように生まれ衝突したかを見て、授業の終わりに「『理論』以後の理論」を読む。その後「ここからどこへ行くか」をたどって読書案内へ進む。
