01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Klarer, M. (2014). A Short Literary History of the United States. Routledge.
章の要約
本書は約200ページで、そのうち文学史の本文は約130ページを占める。序論のあとに十の章が続く。九つは発見の物語からポストモダニズムとエスニック文学までの時代と運動を扱い、十番目はアメリカ合衆国における文学理論を扱う。巻末部分は異例に大きく、約30ページの「拡張用語集と学習補助」、読書案内、参考文献、作家・作品名索引と事項索引からなる。Routledge は本書を、アメリカ文学史の最も重要な時代、作家、作品を知りたい学生のための入門書とし、植民地以前から現在まで(新しいメディア形式を含む)を扱い、個々のテクストの読解をアメリカ文化史の文脈に置くと説明している。Google Books に載る紹介文は、二次文献の一覧と主要テクストのオープンアクセス版へのリンクも挙げている。Mario Klarer はインスブルック大学の英米研究の教授である。以下のページ番号は Google Books のプレビューにある目次による。
第1章:発見の物語
冒頭の章(1–9ページ)は、イングランド人の入植に先立つ探検と発見の物語という、アメリカについての最初期の書き物を扱う。植民地以前から扱うという出版社の説明に対応する章である。
第2章:植民地時代の文学
約17ページ(10–26ページ)の植民地時代の章は、初期の章のなかでは長いほうである。Google Books がこの本について示す頻出語句の一覧には「Puritan」が含まれている。
第3章:初期共和国の文学
10ページの章(27–36ページ)で、建国期、すなわち19世紀の主要な運動に先立つ時期の書き物を扱う。
第4章:超越主義
超越主義には独立した短い章(37–43ページ)が与えられている。Google Books の頻出語句一覧にはソローと『ウォールデン』が現れる。
第5章:アメリカン・ルネサンス
19世紀半ばを扱うこの章(44–59ページ)は最も長い章の一つである。頻出語句の一覧には、ホーソーン、ポー、ホイットマン、ディキンソンといった作家、そしてゴシック小説と短編小説が含まれている。
第6章:金ぴか時代――リアリズム
19世紀後半の章(60–69ページ)はリアリズムを扱う。頻出語句の一覧にはトウェインとジェイムズの名が見える。
第7章:モダニズム
モダニズムには時代別の章のなかで最も長い章(70–92ページ)が充てられている。頻出語句の一覧には小説家だけでなくモダニズムの詩人も含まれ、エズラ・パウンド、T. S. エリオット、e. e. カミングズ、ガートルード・スタインが現れ、ギャツビーの名も見える。
第8章:ポストモダニズム
約13ページ(93–105ページ)の章で、モダニズム以後の書き物を扱う。この時代に関して、本書の頻出語句には「メタフィクション的」「ポストモダン」が含まれている。
第9章:エスニックな声
最も短い章(106–111ページ)で、エスニック文学を歴史叙述の最後に独立した章としてまとめている。
第10章:アメリカ合衆国における文学理論
20ページ(112–131ページ)の理論の章は、モダニズムの章とほぼ同じ長さである。頻出語句の一覧には脱構築、ポスト構造主義、記号論、ナラトロジー、フェミニズム、ジェンダー、映画理論などが現れ、英文学やアメリカ研究の課程で学生が出会う批評的アプローチの概観であることがうかがえる。
巻末:拡張用語集と学習補助/読書案内/参考文献/索引
用語集(132–161ページ)は試験対策のために文学用語を説明し、読書案内(162–177ページ)のあとに参考文献と二つの索引が続く。
主要概念
時代と運動(第1〜8章)
- 発見の物語:植民地への入植以前の、アメリカについての最初期のヨーロッパ人の書き物。
- ピューリタンと植民地の書き物:イングランド植民地の文学。
- 超越主義:ソローと『ウォールデン』に結びつく19世紀半ばの運動。
- アメリカン・ルネサンス:19世紀半ばの小説と詩の開花。
- リアリズム、モダニズム、ポストモダニズム:金ぴか時代から20世紀後半まで続く一連の運動。
多元性と方法(第9〜10章と巻末)
- エスニックな声:独立した章で扱われる、この国のエスニック・コミュニティによる書き物。
- 文学理論:ナラトロジーや記号論から脱構築、ジェンダー批評に至る批評的アプローチ。
- 用語集と学習補助:分析と試験に必要な用語の定義。
批判的分析
長所
- コンパクトで区分が明快:大半が10〜20ページの十の章が、アメリカ文学の概説で使われる慣例的な時代区分に従っており、シラバスと対応させやすい。
- 理論を含む:最も長い時代別の章とほぼ同じ長さの、アメリカ合衆国の文学理論についての20ページの章が、ゼミで必要になる批評の語彙を学生に与える。
- 学習補助として作られている:30ページの拡張用語集、読書案内、二つの索引が全体の約3分の1を占める。Routledge は本書を授業の手引きとして、また試験対策の補助として位置づけている。
- テクストへのリンク:紹介文によれば、本書は主要テクストのオープンアクセス版を挙げており、学生が一次作品を見つけるのに役立つ。
短所
- 時代ごとの扱いが非常に短い:いくつかの時代は10ページに満たず、作家の名を挙げて位置づけることはできても、多くの作品を深く論じることはできない。
- エスニック文学が切り離されている:エスニックな声の章は約6ページと本書で最も短く、各時代に組み込まれるのではなく、ポストモダニズムのあとに独立した章として置かれている。
- 最近の文学:2014年刊行の本書の「現在」はそこで止まっている。
コースにおける位置づけ
アメリカ文学のコースのなかで、本書は最もコンパクトな概説であり、復習のために最も直接に設計された本である。Richard Gray の A Brief History of American Literature は叙述部分がほぼ3倍あり、各時代を連続した議論で扱い、「複数のアメリカ」(先住民、アフリカ系アメリカ人、女性の書き物)をすべての章に組み込んでいる。手早い地図には Klarer を、議論と詳細には Gray を読むとよい。The Norton Anthology of American Literature は、両方の文学史が記述するテクストを提供する。
リストにある個々の作品は、Klarer の時代別の章と照らし合わせて読むことができる。Moby-Dick はアメリカン・ルネサンスと、Richard Wright の Black Boy と Toni Morrison の Beloved は20世紀の章およびエスニックな声の章と照らし合わせるとよい。Leo Marx の The Machine in the Garden は一つの主題についての批評研究であり、Klarer の文学理論の章は、そうした研究を他のアプローチのなかに位置づけるのに役立つ。
本書の使い方
本書は、アメリカ文学の概説やアメリカ研究の課程をとる学生、またこの分野の試験に備える人のための本である。予備知識は前提としない。まず序論を読み、その後は授業がその時代に入る直前に該当する章を読むとよい。ほとんどの章は一度に読み切れる。
用語集は積極的に使うこと。用語が出てくるたびに引き、試験前に見直す。授業が批評的アプローチに移ったとき、あるいはレポートで理論的枠組みが求められたときには第10章を読む。読書案内とオープンアクセスのリンクをたどって一次テクストに当たり、レポートで扱う作家については Gray のようなより詳しい文学史や専門的な批評に進むとよい。
