01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Ellis, R. (2008). The Study of Second Language Acquisition (2nd ed.). Oxford University Press.
章の要約
範囲とアプローチ
本書は約1,140ページに及ぶ大部の参考書で、人が第二言語をどのように学ぶかについての四十年間の研究を概観している。1994年に刊行された同名の著書を改訂・増補したもので、独立した論文を寄せ集めたものではなく、研究と理論の両方について一貫した説明を与えることを意図している。著者のロッド・エリス(Rod Ellis)は応用言語学者で、ザンビア、英国、日本、米国で長く仕事をし、この版の刊行時にはオークランド大学に所属していた。語学教材や教師教育に関する著作もある。全体は八つの部に分かれ、教室での第二言語習得を扱う章も含まれているため、教室学習は付け足しではなく分野の一部として扱われている。巻末には用語集と大部の参考文献が付く。
学習者の言語
主要な領域の一つは学習者言語の記述である。学習者が目標言語に近づく過程で実際に何を産出するか、研究者がそれをどのように分析してきたかが扱われる。この領域には、学習者の話し言葉や書き言葉を調べる最初期の方法の一つである誤用分析(エラー・アナリシス)への批判的評価が含まれる。これが後に続く説明的な部分の記述的な土台となる。
言語環境と社会的文脈
二つ目の領域は、学習者が受け取るインプット、参加するやり取り、より広い社会的状況が習得にどう影響するかを問う。焦点は、学習者自身の心ではなく、言語に接する条件にある。
内的メカニズム
三つ目の領域は学習者の内部で起こることに向かう。これらのメカニズムについて、認知的、言語学的、社会文化的、神経言語学的な説明など複数の視点が示され、並べて提示されるので、それぞれの主張と証拠を比較できる。
学習者の個人差
続いて、同じ言語を学ぶ人々の間で速度や成果が異なるのはなぜか、また個々の学習者の特性について研究から何が確認されているかが検討される。
指導の役割
最後の主要領域は指導を扱う。指導が習得に影響するのかどうか、またどのように影響するのかに関する研究を概観しており、研究者だけでなく教師教育者にも関連が深い。
主要概念
本書の範囲に挙げられている主題領域
- 学習者言語:各段階で学習者が産出する言語。それ自体を記述する価値のある体系として扱われる。
- インプット、相互行為、社会的文脈:学習の外的条件。言語環境と学習者の社会的背景を通して研究される。
- 内的メカニズム:第二言語がどのように発達するかを説明するために提案された認知的・神経的過程。
- 個人差:学習成果の違いを説明する助けとなる学習者の特性。
- 指導下の第二言語習得:正式な指導が自然な学習の道筋とどう相互作用するかに関する研究。
- 複数の視点:認知、言語学、社会文化、神経言語学の各アプローチが一冊の中に示される。
批判的分析
長所
- 広さが一冊にまとまっている。 記述、環境、内的メカニズム、学習者の差、指導が一つの叙述の中で扱われるため、複数の短い本からこの分野を組み立てる必要がない。
- 視点のバランス。 著者は単一の理論を主張するのではなく、認知、言語学、社会文化、神経言語学の各アプローチを意図的に示している。
- 評価。 学術誌『System』の2010年の書評は、本書を第二言語習得研究の並外れて成功した総合と概観と評し、改訂・増補されているにもかかわらず読みやすさを保っていると指摘した。同書評は、はっきり区切られた八つの部にも触れており、読者が必要な領域から入りやすい。
- 参照のための道具。 用語集と長い参考文献により、一次文献を探すのに役立つ。
短所
- 長さ。 1,100ページを超えるため、手早い入門書ではなく参考書であり、通読には負担が大きい。
- 時期。 この概観は2008年に完成したもので、その後の研究や分野内の議論は範囲外である。
- 前提とされる知識。 基本的な言語学用語を知っており、入門的な授業で第二言語習得に触れたことのある読者を想定している。
コースにおける位置づけ
応用言語学のコースでは、第二言語習得を扱う本の中で最も網羅的な一冊である。ライトバウンとスパダ(Lightbown and Spada)の『How Languages Are Learned』は同じ問いへの短く読みやすい入門で、最初に読むのに向いている。H. ダグラス・ブラウンとイ・ヒギョン(Heekyeong Lee)の『Principles of Language Learning and Teaching』は、語学教師のために第二言語習得研究を整理し、各理論を教室実践に結びつける。ヴァンパッテン、キーティング、ウルフ(VanPatten, Keating and Wulff)の『Theories in Second Language Acquisition』は論文集で、各理論と結びついた研究者が共通の構成でその理論を紹介するため、理論を直接比較したい読者に向く。シュミットとロジャース(Schmitt and Rodgers)の『An Introduction to Applied Linguistics』は、第二言語習得を学問分野全体の中に位置づける。
これらの入門書のいずれかを読んだ後、あるテーマにもっと詳しい説明が必要なときや、文献レビューのために分野の地図が必要なときに、エリスの本に進むとよい。
本書の使い方
応用言語学やTESOLの大学院生、教師教育者、学位論文や文献レビューを準備している研究者に向く。本書は初学者に合わせて速度を落とさないので、先に入門書を読んでおくこと。
実際的な進め方:
- 冒頭の背景を扱う部から始める。 第二言語習得という分野がどのように発展してきたかを概観し、後の各部の背景を与えてくれる。
- 前から順にではなく領域ごとに読む。 学習者言語、社会的状況、内的メカニズム、個人差、指導のうち、手元の問いに合う部を選び、独立した概観として読む。
- 用語集と参考文献を使う。 馴染みのない用語は用語集で引き、引用しようとする主張の背後にある原典は参考文献で探す。
- 視点を意識的に比較する。 同じ現象について認知的な説明と社会文化的な説明などが示されているとき、どこで一致しどこで対立するかに注目する。これは学位論文の章で最も求められる力である。
- 短い本を併用して復習する。 試験前の復習にはコンパクトな入門書が向き、エリスの本はその背後にある詳細な参考書として使う。
教室での主張の裏にある証拠を知りたい教師は、指導を扱う部と個人差を扱う部に直接進んでよい。これらの主張はインプット、指導、学習者の差に関わるものである。
