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Principles of Language Learning and Teaching: A Course in Second Language Acquisition(言語学習と言語教育の原理:第二言語習得コース) cover

言語学

言語学

Principles of Language Learning and Teaching: A Course in Second Language Acquisition(言語学習と言語教育の原理:第二言語習得コース)

H. Douglas Brown; Heekyeong Lee

英語原題: Principles of Language Learning and Teaching: A Course in Second Language Acquisition

言語教師に向けて書かれた第二言語習得研究の概説書。全10章で、年齢、脳、動機づけとアイデンティティ、適性、学習者言語を扱ったのち、認知・処理的アプローチ、社会文化的アプローチ、生態学的アプローチを取り上げ、省察のための問いや指導のヒントで各テーマを教室実践に結びつける。

前提知識: 言語学の予備知識は不要ですが、第二言語を学んだり教えたりした経験があると役立ちます。

難易度レベル
中級
学術レベル
大学院
second language acquisitionlanguage teachingapplied linguisticsteacher educationlearner differences教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Brown, H. D., & Lee, H. (2025). Principles of Language Learning and Teaching: A Course in Second Language Acquisition (7th ed.). Routledge.

章の要約

第7版はコンパクトな本で、10章が約220ページを占め、その後に参考文献、用語集、人名索引と事項索引が続く(Routledge の表示では全282ページ)。各章の長さはほぼそろっており、約13ページ(第1章)から約30ページ(第5章)までである。出版社の紹介は、各章に共通する工夫として、読者が自分で考えるための問い「Points to Ponder」、教室とのつながり、「Tips for Teaching」、推薦文献、用語集を挙げている。また、この版で再定義された、あるいは新たに加わった概念として、グローバル化と多言語化の時代の言語学習、トランスナショナリズム・アイデンティティ・インベストメント・エージェンシー・イデオロギー、状況に埋め込まれ使用に基づき社会文化的文脈の中にある学習としての言語学習、情動的関与・異文化への感受性・自己効力感、そして学際横断的(トランスディシプリナリー)でエコロジカルなアプローチを挙げている。本書は基礎(第1–2章)から、学習者の側の要因(第3–6章)と学習者の発達中の言語(第7章)を経て、三つの理論群(第8–10章)へと進む。

第1章:言語、学習、教授

最も短い章で、書名にある三つの語を整理し、本書の残りで扱う問いを提示する。研究の概観に入る前に、本書の用語を押さえる章である。

第2章:第二言語習得研究の概観

一つの分野としての第二言語習得(SLA)研究を概観し、個々の要因や理論を扱う後の章を位置づけるための地図を与える。出版社によれば、この版は最新の研究とともに、教師が役立ててきた SLA の歴史的情報と基礎的な考え方を残している。

第3章:年齢と言語発達

SLA の古典的な問いの一つである年齢を扱う章。Google Books が本書の頻出語として挙げる語には臨界期仮説やバイリンガルが含まれ、いずれもこの議論に属する。

第4章:言語学習の神経生物学

脳と言語学習についての章。神経可塑性や宣言的記憶・手続き的記憶といった語が本書の頻出語に含まれており、ここで扱われる内容の種類を示している。

第5章:動機づけ、アイデンティティ、エージェンシー

約30ページの最も長い章で、動機づけをアイデンティティおよびエージェンシーと結びつける。アイデンティティ、インベストメント、エージェンシー、イデオロギー、さらに情動的関与と自己効力感という、この版の新しい重点を最も直接に担う章である。

第6章:適性と認知的な個人差

認知面の個人差、すなわち言語適性や、学習者が学習を処理し取り組む仕方の違いを扱う。言語学習ストラテジーや自己調整学習が本書の頻出語に含まれ、この章に当てはまる。

第7章:学習者言語と言語間の影響

学習者が発達させつつある言語体系と、学習者がすでに知っている他の言語の影響を扱う。中間言語、コード・スイッチング、マルチコンピテンス、トランスランゲージングが本書の頻出語に含まれ、多言語の世界における学習というこの版の枠組みと合致する。

第8章:認知的アプローチと処理的アプローチ

三つの理論章の最初で、習得を認知と、インプットおよびアウトプットの処理によって説明する立場を扱う。インプット、アウトプット仮説、VanPatten の研究が頻出語に含まれる。

第9章:社会文化理論と付加言語の学習

社会的に媒介された過程としての学習を扱う。足場かけ(スキャフォールディング)や Lantolf の研究が頻出語に含まれる。章題の「付加言語(additional language)」という語は、単一の「第二」言語ではなく多言語の学習者に注目するこの版の姿勢を反映している。

第10章:言語学習・教授へのエコロジカルで学際横断的なアプローチ

最終章はエコロジカルなアプローチと学際横断的なアプローチを提示する。出版社はこれらを21世紀の言語教育の鍵と位置づけている。本書の中で最も新しい内容であり、理論を再び教育へと結びつける。

主要概念

第1–4章:基礎、年齢、脳

  • 第二言語習得(SLA):本書が教師に向けて概観する研究分野。
  • 年齢と言語発達:学習を始める年齢が、学習の過程と到達度にどう関わるか。
  • 言語学習の神経生物学:言語学習において脳が果たす役割について分かっていること。

第5–6章:学習者の個人差

  • 動機づけ:学習者が努力する理由とその強さ。
  • アイデンティティ、インベストメント、エージェンシー:学習者の自己意識、その言語への賭け金(投資)、行動する力が学習をどう形づくるか。
  • 情動的関与と自己効力感:学習の情意的な側面と、自分は成功できるという学習者の信念。
  • 適性:言語学習に向かう認知的能力の個人差。

第7章:学習者言語

  • 学習者言語:学習者の発達途上の言語体系を、それ自体として研究する対象。
  • 言語間の影響:既に知っている言語が新しい言語に及ぼす影響。

第8–10章:理論

  • 認知的・処理的アプローチ:注意、記憶、言語の処理によって習得を説明する立場。
  • 社会文化理論:社会的相互作用と文化的道具に媒介されたものとして学習をとらえる見方。
  • 使用基盤的で状況に埋め込まれた学習:特定の文脈での使用を通じて言語が学ばれるという見方。
  • エコロジカルで学際横断的なアプローチ:学習を社会的・認知的・環境的な関係の広い網の一部として扱う見方。

批判的分析

長所

  • 教員養成のための構成。 出版社は本書を言語教員養成課程のための、また新任・経験豊富な教師双方のための資料として位置づけており、商品ページが挙げる工夫(内省の問い、教室とのつながり、指導のヒント)が各章を実践に結びつけている。
  • 更新された理論的枠組み。 出版社が再定義あるいは新規として挙げる概念(多言語性、トランスナショナリズム、アイデンティティとエージェンシー、使用基盤的・エコロジカルな見方、異文化への感受性)は、章題そのもの、特に第5、7、9、10章に反映されている。
  • 扱いやすい分量。 約13~30ページの10章からなるため学期内に配分しやすく、用語集が専門用語に不慣れな読者を助ける。
  • なじみのある教科書との連続性。 前の第6版(2014年)は Brown の単著であり、第7版では Heekyeong Lee が共著者に加わった。出版社は、教師が役立ててきた基礎的な内容を新版でも残していると述べている。

短所

  • 深く掘り下げる余地が少ない。 SLA 全体を本文約220ページで扱うため、各テーマは約20ページの1章に収められている。研究上の根拠を詳しく知る必要がある読者には、より詳しい概説書の併用が必要になる。
  • 理論章は選択的。 独立した章が与えられているのは三つのアプローチ群(認知的・処理的、社会文化的、エコロジカル・学際横断的)だけである。他の理論的立場が第2章の研究概観の中でどの程度扱われているかは目次からは分からないため、理論をバランスよく概観する必要がある授業では、理論を中心に据えた教科書を加えるとよい。
  • 旧版との違い。 第6版に基づく授業資料や二次的な引用は本版の章立てと一致しないため、シラバスがどの版を指しているかを確認する必要がある。

コースにおける位置づけ

このコースの中で、Brown と Lee の本は短い入門書と研究水準の概説書の中間に位置する。Lightbown と Spada の How Languages Are Learned は同じ領域を扱う、より短く読みやすい入門書で、やはり教師を対象としており、最初に読む本として適している。Hunston と Oakey の Introducing Applied Linguistics と、Schmitt と Rodgers の An Introduction to Applied Linguistics は応用言語学というより広い分野を扱い、SLA はその中の一領域にすぎない。授業が SLA の授業ではなく応用言語学の総合的な入門であれば、これらを使うべきである。

Brown と Lee の後には、研究へとさらに踏み込む2冊がある。VanPatten、Keating、Wulff の Theories in Second Language Acquisition は主要な理論ごとに、その専門家が共通の形式で書いた章を設けており、Brown と Lee の第8–10章を発展させる。Ellis の The Study of Second Language Acquisition は分野全体を扱う大部の参照用概説書で、どの章についても詳しく掘り下げるのに役立つ。

本書の使い方

本書は MA TESOL や言語教員養成課程の学生、現職の教師、応用言語学を学ぶ学部生に向いている。言語学の予備知識は不要だが、言語を学んだり教えたりした経験があると、内省の問いがより実りあるものになる。

1学期の授業での実際的な計画:

  • 第1–2週: 第1–2章で用語と分野の地図を押さえる。
  • 第3–8週: 第3–7章を1週1章で読み、最も長くこの版の新しい重点と最も結びついた第5章には1週を追加する。
  • 第9–12週: 第8–10章を理論の単元としてまとめて読む。本書は個人の認知から社会的・エコロジカルな見方へと進むので、順番どおりに読むこと。

「Points to Ponder」の問いは読み終えてからではなく読みながら取り組むとよい。個人の内省のために作られており、ディスカッションの題材としても機能する。「Tips for Teaching」と教室とのつながりを使って、章ごとに短い授業活動や内省日誌の記述を計画するとよい。用語集は手元に置いておくこと。レポートの題材にするテーマについては、推薦文献から上に挙げたより詳しい概説書へと進むとよい。