01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Trudgill, P. (2000). Sociolinguistics: An Introduction to Language and Society (4th ed.). Penguin Books.
章の要約
第4版は約220ページの短いペーパーバックで、10の章からなり、冒頭に音声記号の一覧、巻末に注釈付き文献目録・さらに読むための文献と索引がある。初版は1974年に刊行された。出版社は本版を全面的に改訂されたものと紹介し、「アフリカーンス語からイディッシュ語まで」の例を用いて世界中の言語と社会を概観し、非母語話者による使用の結果として言語がどう発展するかについての章が加わったと述べている。カバーの紹介文は、社会的・政治的な重みをもつ問いを軸に本書を位置づけている。たとえば、なぜ言語が消滅しつつあるのか、セルボ・クロアチア語は今やセルビア語、クロアチア語、あるいはボスニア語と呼ぶべきなのか、標準フランス語はケベックのフランス語より「優れて」いるのか、教師はいつ生徒の文法や発音を直すべきか、といった問いである。
第1章:Sociolinguistics: Language and Society(社会言語学:言語と社会)
冒頭の章(1–22ページ)は、本書の残りの部分で検討される言語と社会の関係を紹介し、社会言語学の範囲を示す。
第2章:Language and Social Class(言語と社会階級)
話し方が社会階級によってどう異なるか(23–41ページ)。出版社の紹介は、人々の話し方と、他人からどう受け止められるかに影響するものの筆頭に階級を挙げている。
第3章:Language and Ethnic Group(言語と民族集団)
言語とエスニシティ(42–60ページ)。出版社の紹介にある問いの一つ、大多数のアフリカ系アメリカ人や、黒人の多い地域で育った白人の話し方が、他の白人の話し方とどう違うのかという問いは、このテーマに属する。
第4章:Language and Sex(言語と性)
男性と女性の話し方の違い(61–80ページ)。出版社の紹介はこのテーマのもとで、なぜ男性は女性よりも悪態をつくのか、言語は性的ステレオタイプを助長するのかを問うている。
第5–6章:Language and Context(言語と文脈);Language and Social Interaction(言語と社会的相互行為)
使用されている言語についての二章。話し方が場面によってどう変わるか(81–104ページ)と、社会的相互行為における言語(105–118ページ)である。
第7章:Language and Nation(言語と国家)
最も長い章(119–146ページ)で、言語と国民国家を扱う。セルボ・クロアチア語、標準フランス語とケベックのフランス語、標準ドイツ語とスイスドイツ語、そして国家が言語的少数派をどう扱うべきかについての出版社の問いは、このテーマに関わる。
第8章:Language and Geography(言語と地理)
地域的変異と言語的特徴の地理的な広がり(147–164ページ)、すなわち方言地理学の分野。
第9章:Language and Contact(言語と接触)
言語が接触したときに何が起こるか(165–184ページ)。外来の語句による「汚染」から言語を守ることに意味があるのかという出版社の問いは、このテーマに関わる。
第10章:Language and Humanity(言語と人間性)
最終章(185–204ページ)は、最も広い題のもとで本書を締めくくる。目次からはその内容についてそれ以上のことはわからない。
主要概念
第1–4章:言語と社会集団
- 社会言語学:言語と社会の関係の研究。
- 社会階級による変異:社会階級の間に見られる話し方の体系的な違い。
- 民族変種:民族集団と結びついた話し方。
- 言語における性差:女性と男性の話し方の違いと、それに結びつけられるステレオタイプ。
第5–6章:使用の中の言語
- 文脈:話す場面で、選ばれる言葉を形づくる。
- 社会的相互行為:会話などの出会いの中で人々の間で使われる言語。
第7–10章:言語、国家、より広い世界
- 言語と国家:国民のアイデンティティにおける言語の役割と、国家が自国の言語や少数派に対してとる政策。
- 標準変種と非標準変種:出版社が挙げるフランス語やドイツ語の例のような、地域変種に対する標準語の社会的地位。
- 方言地理学:言語的特徴が空間的にどう分布しているかの研究。
- 言語接触:話し手どうしが交流するときに言語が互いに及ぼす影響。
批判的分析
長所
- 短くて読みやすい。 小型のペーパーバックで約220ページと、この授業の入門書の中で最もコンパクトであり、数日で通読できる。
- 社会的要因ごとの構成。 各章が言語と社会の関係の一つの次元(階級、民族集団、性、文脈、相互行為、国家、地理、接触)を取り上げるので、初学者は社会言語学が立てる問いの見取り図を明確に得られる。
- 社会的な問いに取り組む。 出版社の紹介からは、本書が言語的少数派の扱いから生徒の話し方の矯正まで、政策と教育の問題を扱い、社会言語学的な証拠がそれらに客観的な答えを与えうると論じていることがわかる。
- 幅広い言語。 例は世界中の言語と社会からとられている。
- 案内付きの文献目録。 注釈付き文献目録が、各テーマで次に読む本へと読者を導く。
短所
- 古さ。 第4版は2000年の刊行で、オンラインの言語といったその後の研究テーマより前のものであり、用語(「Language and Sex」)も当時を反映している。変異と社会的意味の研究のその後の展開は他で学ぶ必要がある。
- 学習用の仕掛けがない。 目次には練習問題、学習問題、用語集が見当たらない。体系的な練習をしたい学生には教科書が必要である。
- 扱いが簡潔。 いくつかの章は20ページに満たないので、各テーマは十分な説明というより導入にとどまる。
コースにおける位置づけ
この社会言語学のリストで Trudgill は最も短い入門書であり、長い教科書の前に、あるいは並行して読む最初の一冊としてよく機能する。Holmes と Wilson の An Introduction to Sociolinguistics は、解答付きの練習問題、コンパニオンウェブサイト、ソーシャルメディアや言語政策といった新しい話題を備えた本格的な教科書である。Wardhaugh と Fuller の An Introduction to Sociolinguistics は、言語学入門をある程度修めた学生向けの幅広い教科書である。どちらも授業の教科書になりうるし、Trudgill はその手早い概観として使える。
Trudgill の階級、性、地理の章は、階級、ネットワーク、ジェンダー、年齢についての変異研究を批判的に総合した J. K. Chambers の Sociolinguistic Theory へと自然につながる。Penelope Eckert の Meaning and Linguistic Variation は、変異を社会的意味とみる後の「第三の波」の見方を代表しており、社会集団ごとに章を立てるよりカテゴリー的なアプローチと読み比べると役立つ。Li Wei の The Bilingualism Reader は、国家と接触の章をバイリンガリズムとコードスイッチングの研究へと広げる。
本書の使い方
本書は言語学の予備知識を必要とせず、1年生、隣接分野の学生、一般の読者に向いている。冒頭の音声記号の一覧が、使われている表記をカバーしている。
- 順に読む: この長さなら全体が中核である。第1章が残りの部分の枠組みを用意する。
- 変異を中心とする授業: 第2–4章と第8章を、教科書の対応する章と並行して重点的に読む。
- 言語政策と多言語使用: 第7章と第9章が鍵になる。
本書には練習問題がないので、出版社が挙げる問いを討論のテーマにし、本書の主張を自分の言語共同体に照らして確かめるとよい。階級、地域、場面が周りの人々の話し方にどう影響しているかを観察する。注釈付き文献目録を使って次に読む本を選び、2000年以降に発表された研究については新しい教科書で確認する。
