01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Hurford, J. R., Heasley, B., & Smith, M. B. (2007). Semantics: A Coursebook (2nd ed.). Cambridge University Press.
章の要約
第2版は6部27ユニット、約345ページで、前に序文と本書の使い方の節、後ろに精選参考文献と今後の学習のための推薦文献、索引がある。出版社は本書の方法をこう説明している。各ユニットは例を伴う短い説明の節と、それに続く本書に書き込んで解く練習問題からなり、練習問題ごとにフィードバックとコメントがあるので、学生は自分の進み具合を確かめられる。Michael Smithによる第2版の序文によれば、新版は初版と同じ入門者を対象とし、ほとんどのユニットに説明を分かりやすくするための小さな補足や例を加え、さらに各ユニットの末尾に練習問題と学習課題を加えた。これらは彼がオークランド大学の意味論入門の授業で作ってきたものである。新しいユニット末の問題の解答は印刷されておらず、解答例は教員向けにオンラインで提供されている。非字義的な意味を扱う最終ユニットも新たに加わった。
第1部:意味論の基本的な考え方(ユニット1〜3:意味論について、文・発話・命題、指示と意義)
冒頭の部では、学問分野としての意味論と、その基本的な区別を導入する。文・発話・命題の区別と、指示と意義の区別である。三つの中ではユニット1が最も長く(15ページ)、出版社によれば、学生はまずこの分野の価値と面白さを知るところから始める。
第2部:指示から……(ユニット4〜8:指示表現、述語、述語・指示表現・談話世界、ダイクシスと定性、語ともの:外延とプロトタイプ)
第2部と第3部は、その題名(「指示から……」「……意義へ」)が示すとおり一組になっている。第2部は指示の側を扱う。どの表現が指示するのか、述語とは何か、両者が談話世界とどう関わるか、ダイクシスと定性、そしてプロトタイプと並べて語の外延を取り上げる。
第3部:……意義へ(ユニット9〜11:意義の特性とステレオタイプ、意義関係(1)、意義関係(2))
第3部は意義に移る。意義の特性とステレオタイプ、そして意義関係についての2ユニットである。その2番目(21ページ)は本書前半で最も長いユニットである。
第4部:論理(ユニット12〜15:論理について、単純な命題の表記法、結合子:andとor、その他の結合子)
初歩的な論理学への入門。意味論において論理が何のためにあるのか、単純な命題を書き表す表記法、そしてandとorから始まる論理結合子を扱う。
第5部:語の意味(ユニット16〜20:辞書について、意味公準、述語の特性、派生、参与者の役割)
辞書と意味公準を通して語の意味に迫り、続いて述語の特性、派生(19ページ)、参与者の役割を扱う。
第6部:対人的意味と非字義的意味(ユニット21〜27:発話行為、発話媒介行為と発話内行為、適切性条件、直接的・間接的発話内行為、命題と発話内行為、会話の含意、非字義的な意味:イディオム・隠喩・換喩)
最後の部は、出版社が対人的意味と呼ぶものを扱う。5つのユニットで、発話行為と、発話媒介行為・発話内行為の区別から、適切性条件、直接的・間接的発話内行為、命題と発話内行為の関係へと、発話行為理論を積み上げていく。続いて会話の含意を扱い、イディオム・隠喩・換喩についての新しいユニット27で本書は終わる。
主要概念
第1〜3部:指示と意義
- 文・発話・命題:冒頭のユニットで意味を分析する三つのレベル。
- 指示と意義:表現が世界の中で指し示すものと、意味の体系の中でのその位置との対比。
- 談話世界:会話が対象とする、現実または想像上の世界。
- ダイクシス:解釈が話し手の状況に依存する表現。
- プロトタイプとステレオタイプ:カテゴリーの典型的な成員と、語に結びついた典型的な思い込み。
- 意義関係:語の意義どうしの関係。2つのユニットにわたって扱われる。
第4〜5部:論理と語の意味
- 論理表記:命題を書き表すための簡単な形式的方法。
- 結合子:andやorなどの語と、それに対応する論理記号。
- 意味公準:語の意味が何を含意するかを捉える言明。
- 参与者の役割:動詞が表す状況の中で参与者が果たす、動作主などの役割。
第6部:対人的意味と非字義的意味
- 発話内行為と発話媒介行為:何かを言うことで行われる行為と、それが聞き手に及ぼす効果。
- 適切性条件:発話行為が適切に行われるための条件。
- 間接的発話内行為:別のタイプの文を用いて行われる発話行為。
- 会話の含意:文字どおりに言われたことを超えて伝えられる意味。
- イディオム・隠喩・換喩:非字義的な意味の種類。
批判的分析
長所
- 本格的なワークブック。 短い説明と本書に書き込む練習問題が交互に現れ、それぞれにフィードバックがあるので、読者は理解を確かめながら進められる。この形式は授業だけでなく独習にも向く。出版社が引用するAlexander Bergsは、理論と実践をこれほどうまく統合した本は他にないと述べている。
- 予備知識は不要。 出版社は意味論の予備知識を前提としないと明言しており、序文も初版の入門者向けの対象を保っている。同じく引用されたBilly Clarkは、難しい概念を分かりやすく示す優れた第一歩だと評している。
- 入門レベルでの幅広い範囲。 6つの部で、指示と意義から初歩的な論理と語の意味を経て、発話行為、含意、非字義的な意味まで読者を導くので、意味についての最初の授業の話題のほとんどを一冊で扱える。
- 二段階の練習。 本文中の練習問題にはフィードバックが付き、この版で加わったユニット末の練習問題と学習課題はさらに先へ進むもので、解答は印刷されていない。教員はオンラインで解答例を入手できる。
短所
- 解答のないユニット末の問題。 序文によれば、新しいユニット末の問題の解答は意図的に印刷されていない。自分で取り組むことを促す一方、独習者にはそれらの練習を確かめる手段がない。
- 初歩的な論理のみ。 第4部は単純な命題と結合子を導入するだけで、量化や形式意味論の構成的な方法は本書の範囲外である。
- 語用論は発話行為が中心。 第6部の7ユニットのうち6つが発話行為と含意を扱い、前提や談話など他の語用論の話題には独立したユニットがない。
- 刊行年。 第2版は2007年刊行で、その後改訂されていない。
コースにおける位置づけ
本書はこのコースの出発点である。何も前提とせず練習を通して教えるので、意味論に初めて触れる学生が、より長い教科書の前に、あるいはそれと並行して使うのに適している。次に読むのに自然なのはJohn SaeedのSemanticsとAlan CruseのMeaning in Languageである。Saeedは理論的アプローチをより多く加えた学生向けの概説書で、Cruseは語の意味と文法的意味をとくに深く扱う、より長く理論中立的な入門書である。Hurford、Heasley、Smithを終えた学生には、それらの最初の章はなじみのある内容で、速く進めるだろう。
語用論については、Betty BirnerのIntroduction to Pragmaticsが第6部を前提、指示、談話構造へと広げ、Stephen LevinsonのPragmaticsは体系的でより高度な解説である。Irene HeimとAngelika KratzerのSemantics in Generative Grammarは構成的な形式意味論の大学院向けテキストであり、本書の第4部はそこでの論理の使い方に向けた最初の準備にはなるが、それ以上ではない。
本書の使い方
本書は、言語学や英語学の1年生、意味論の最初の授業を受ける他分野の学生、そして独学する人に向いている。言語学の予備知識は要らない。
読み進め方の例:
- まず「本書の使い方」を読む。 ユニットの形式が説明されている。
- 第1〜3部を順に進める。 指示と意義についての二つの部は一続きのものとして作られており、後の部はその用語に依拠している。
- 第4部は本書の順序では語の意味の前に置かれている。授業で論理を省くのでなければ、その順序を守るとよい。
- 第6部は、語用論を早めに扱いたい授業では第3部の後に読んでもよい。
- ペース: 1学期の授業なら週に1〜2ユニットが目安である。ほとんどのユニットは9〜16ページである。
フィードバックを読む前にすべての練習問題に取り組み、頭の中で確かめるのではなく答えを書き出すこと。ユニット末の練習問題と学習課題は復習や議論に使い、本書には解答がないので、級友や教員と答えを比べるとよい。巻末の精選参考文献は、2冊目の教科書を選ぶのに使える。
