01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Katamba, F., & Stonham, J. (2006). Morphology (2nd ed.). Palgrave Macmillan.
章の要約
本書は Palgrave Modern Linguistics シリーズの一冊である。本文は13章、約345ページ(3〜347ページ)で、その後に参考文献(米国議会図書館の記録では357〜370ページ)や索引を含む巻末資料が続く。議会図書館の目次リストには用語集も挙げられている。章の長さには大きな差がある。最初の10章はそれぞれおよそ14〜26ページだが、屈折、文法機能、語彙と統語論の関係を扱う最後の3章は、それぞれ約37〜44ページに及ぶ。出版社の説明は、第2版が全面的に改訂され、形態論の問題に関する最新の議論、本文中の練習問題、最適性理論の新しい章、拡充された参考文献と読書案内が加えられたとしている。
第1〜2章:Introduction;Introduction to Word-Structure
第1章(約14ページ)はこの分野への導入で、第2章(約25ページ)は語の構造を紹介する。この二章は、個別の語形成の話題に入る前の、本書の導入部分をなす。
第3〜4章:Types of Morphemes;Productivity in Word-Formation
第3章(約25ページ)は形態素の種類を分類する。第4章(約20ページ)は語形成における生産性、つまりあるパターンがどれだけ容易に新しい語を生み出すかを扱う。
第5〜7章:Introducing Lexical Morphology;Insights from Lexical Morphology;Lexical Morphology: An Appraisal
各章約21〜22ページのこの三章は、一つの理論的枠組みに段階を踏んだ丁寧な扱いを与える。語彙形態論の紹介、そこから得られる洞察、そして評価である。第7章の題は、この枠組みへの批判的な評価であることを示している。
第8〜9章:Templatic Morphology;Templatic and Prosodic Morphology
二つの章(約26ページと約24ページ)は、語の形がテンプレートや韻律構造によって組織される形態論を扱う。二つ目の章の題は、一つ目のテンプレート形態論に韻律形態論を加えている。
第10章:Optimality Theory and Morphology
第2版の新しい章(約17ページ)。題が示すとおり、最適性理論を形態論に適用する。
第11〜13章:Inflectional Morphology;Morphological Mapping of Grammatical Functions;The Interpretation of the Lexicon, Morphology and Syntax
最後の三章は本書で最も長い。第11章(約44ページ)は屈折を扱い、第12章(約37ページ)は文法機能が形態的にどのように対応づけられるかを扱い、第13章(約44ページ)は語彙、形態論、統語論の関係を扱う。
主要概念
第1〜4章
- 形態素の種類:語の構成要素の分類(第3章)。
- 生産性:ある語形成パターンが新しい語を作る度合い(第4章)。
第5〜10章
- 語彙形態論:本書が紹介し、そこから洞察を引き出し、評価する語形成の枠組み(第5〜7章)。
- テンプレート形態論と韻律形態論:テンプレートや韻律単位によって形づくられる語形成(第8〜9章)。
- 最適性理論:制約に基づく理論で、第10章で形態論に適用される。
第11〜13章
- 屈折:語の文法的な形(第11章)。
- 文法機能の対応づけ:文法機能が形態的な手段でどのように表現されるか(第12章)。
- 語彙・形態論・統語論:これらの構成要素がどのように関係するかについての解釈(第13章)。
批判的分析
長所
- 形態論を「実際にやってみる」練習問題。 出版社は、読者が仮説を立て、英語や多くのほかの言語のデータに照らして検証する、本文中の多数の練習問題を強調している。
- 研究文献へ至る道筋の明示。 議会図書館の説明は、本書が完全な初心者を形態論の最新の文献に取り組める地点まで導くものだとしており、第2版には拡充された参考文献と読書案内がある。
- 理論の幅。 章の並びは語彙形態論、テンプレート・韻律形態論、最適性理論をカバーし、屈折、文法機能、語彙と統語論の関係で終わるので、読者は一冊でいくつもの分析の伝統に触れられる。
- 屈折と文法とのインターフェースに割かれた紙幅。 屈折、文法機能、語彙と統語論の関係を扱う最後の三章は本書で最も長く、コンパクトな入門書より多くの余地がこれらの話題に与えられている。
短所
- 理論が早くから現れ、本の大部分を占める。 基本概念は第1〜4章、本文の約4分の1に収まり、第5〜10章は特定の枠組みを軸に構成されている。主にデータ分析の練習をしたい読者は、ほかの本のほうが実践的な構成だと感じるだろう。
- 刊行年。 第2版は2006年のもので、その後の形態論の理論的研究は扱われていない。
- 対象レベルの説明と構成の食い違い。 出版社は完全な初心者向けとしているが、章の半分は名前のついた理論的枠組みに充てられている。言語学の背景がない学生は、読み応えのある本だと覚悟したほうがよい。
コースにおける位置づけ
形態論のコース一覧の中で、本書は章立てが理論的枠組みを軸に組まれており、その点でほかの一般的な教科書と異なる。Lieber の Introducing Morphology はコンパクトで実践的な最初のコース、Aronoff と Fudeman の What Is Morphology? は簡潔な問題中心の入門書、Booij の The Grammar of Words は語の構造を文法全体の一部として扱う。Katamba と Stonham は、これらのいずれかを読んだあとに、あるいは主要な理論的枠組みを紹介することを目的とした授業の主教材として位置づけられる。
次の段階としては、Haspelmath と Sims の Understanding Morphology が、広い言語横断的範囲を持ち、形態素に基づくモデルと語に基づくモデルを対比する、理論を意識した教科書と紹介されている。本書が重視する枠組みとは別の視点がほしい読者には、よい比較対象になる。The Oxford Reference Guide to English Morphology は英語に関する大規模な記述的参照書で、練習問題に取り組むときに英語のデータを確かめる場所として使える。
本書の使い方
出版社は本書を初心者向けに設計されたものとしている。ただし、音韻論と統語論の基礎を含む言語学入門の授業を受けていれば、第5〜13章がかなり読みやすくなる。
実践的な進め方は次のとおり。
- 中核: 第1〜4章で基本語彙を身につける。次の中核は屈折を扱う第11章で、第13章は形態論を語彙と統語論に関係づける。
- 理論の流れ: 第5〜7章を一つのまとまり、第8〜9章をもう一つのまとまりとして読み、そのあとで最適性理論の第10章に進む。時間が足りなければ、一つか二つのまとまりを選んで読めばよい。
- 対応づけの章: 第12章は第11章のあとに読む。どちらも文法的な情報が語形にどう表されるかを扱っている。
- 練習問題: 本文中の練習問題はその場で解き、先に進む前に自分の仮説をデータと照らし合わせる。
- さらなる読書: 拡充された読書案内を使って、一次文献へと進む。
