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An Introduction to Discourse Analysis: Theory and Method(談話分析入門:理論と方法) cover

言語学

言語学

An Introduction to Discourse Analysis: Theory and Method(談話分析入門:理論と方法)

James Paul Gee

英語原題: An Introduction to Discourse Analysis: Theory and Method

言語をアイデンティティ、人間関係、社会的世界を構築する手段として捉える、理論と方法を兼ねた談話分析の入門書です。少数の「構築課題」と「探究の道具」を提示し、書き起こした発話や書かれたテクストにそれらをどう適用するかを示します。本版ではデジタルメディアと生成AIに関する内容が加わりました。

前提知識: 言語学の予備知識は不要ですが、基本的な文法用語に慣れていると役立ちます。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
discourse analysislanguage in usequalitative methodsidentitysocial language教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Gee, J. P. (2025). An Introduction to Discourse Analysis: Theory and Method (5th ed.). Routledge.

章の要約

第5版は約290ページ、17章からなる。出版社によれば、本書は Gee 自身の談話分析のアプローチを示すもので、言語が意味、アイデンティティ、関係、社会的実践をどのように構築するかを、文脈の中で言語を調べることで明らかにし、言語と文脈の双方向の関係に注意を払う。

第1–2章:序論/談話分析とは何か

本書は序論と、談話分析とは何かを問う章から始まる。これらは、出版社が説明するアプローチ、すなわち使用中の言語が社会の中で何をしているかを分析するという立場の枠組みを示す。

第3章:構築のタスク(Building Tasks)

出版社は、理論的枠組みが言語の担う7つの「構築のタスク」、すなわち意義、実践、アイデンティティ、関係、政治、つながり、記号体系と知識を軸に組み立てられていると説明している。章題と出版社の説明からすると、この章はそれらを、言語が使用されるときに常に行っていることとして導入する。

第4–6章:探究の道具と談話/社会的言語、会話、間テクスト性/会話と間テクスト性

これらの章は、探究の道具という考え方から、社会的言語、「会話」(Conversations)、間テクスト性へと進む。出版社は6つの「探究の道具」として、状況に埋め込まれた意味、社会的言語、figured worlds、間テクスト性、「ディスコース」(Discourses)、「会話」(Conversations)を挙げている。出版社の目次では第5章と第6章の章題が重なっているため、両章の内容の区分は本書で確認する必要がある。

第7章:道具を適用する(Applying the Tools)

題が示すとおり、実際の言語に道具を適用することに充てられた章である。

第8–10章:基本的意味、状況的意味、figured worlds/Figured Worlds/Figured Worlds の続き

連続する3つの章が、6つの道具のうち、状況に埋め込まれた(状況的な)意味と figured worlds の2つを扱う。figured worlds には、独自の章題をもつ2つの章が充てられている。

第11章:文脈(Context)

文脈の役割を扱う章である。出版社は、文脈が言語の意味を形づくり、言語もまた文脈を形づくるという点を Gee の方法の特徴として強調している。

第12章:書き起こし、「理想的な」談話分析、妥当性

方法に関する章で、話し言葉をどう書き起こすか、「理想的な」談話分析とは何から成るか、分析の妥当性をどう判断するかを扱う。

第13–14章:言語の処理と組織化/意味と選択

出版社は、本書がイントネーション単位やスタンザ、話し言葉と書き言葉のテクスト全体の組織といった言語の側面を分析するための実践的な指針を示していると述べている。目次からはそれぞれがどの章に当たるかは分からないが、言語の処理と組織化、意味と選択を扱うこの2つの章は、題からして、本書の後半の言語そのものに焦点を当てた部分に位置している。

第15–16章:談話分析の例1/談話分析の例2

分析の実例が2つ示される。出版社は、本書がインタビューのデータを用いて、アイデンティティと社会的に状況づけられた意味が言語を通じてどう構築されるかを示すと述べている。

第17章:マルチモダリティ(Multimodality)

今回の版で新たに加わった章である。言語に画像や映像のような他のコミュニケーション様式が組み合わさったテクストに、このアプローチを適用する。

主要概念

第1–3章:序論/談話分析とは何か/構築のタスク

  • 構築のタスク:言語が構築するために用いられる7つのもの、すなわち意義、実践、アイデンティティ、関係、政治、つながり、記号体系と知識。

第4–10章:探究の道具から figured worlds まで

  • 探究の道具:構築のタスクを調べるための6つの分析上の道具。状況に埋め込まれた意味、社会的言語、figured worlds、間テクスト性、「ディスコース」、「会話」である。
  • 状況に埋め込まれた意味:語や句が特定の使用文脈の中でもつ意味で、一般的・基本的な意味とは区別される。
  • Figured worlds:話し手が拠りどころとする、物事がどう動いているかについての単純化された背景的な描像。第8章から第10章で扱われる。

第11–14章:文脈から意味と選択まで

  • 文脈:言語と、それが使われる状況との相互的な関係。
  • 妥当性:分析がどこまで信頼できるかという問題で、書き起こしや「理想的な」分析の構成要素とあわせて論じられる。
  • イントネーション単位とスタンザ:出版社によれば、本書がその分析の指針を示している、話し言葉・書き言葉のテクストの単位。

第17章:マルチモダリティ

  • マルチモーダル談話分析:言語が画像や映像と組み合わさった場合へのアプローチの拡張。

批判的分析

長所

  • まとまりのある簡潔な枠組み。 7つの構築のタスクと6つの探究の道具は、どんなテクストにも適用できる決まった語彙を読者に与える。
  • 方法への明確な配慮。 書き起こし、「理想的な」分析の姿、妥当性を扱う専用の章があり、2つの章に及ぶ分析例が枠組みの働きを示している。
  • 読みやすさへの評価。 出版社のページに引用された評者の1人が文体に言及している。Daria Dayter(タンペレ大学)は、本書とその姉妹書について、比喩を通じて難しい概念を説明する明快で魅力的な文体と、豊富な例を評価している。
  • 更新された内容。 出版社が引用する Rodney Jones(レディング大学)は、政治的分極化、気候変動、ソーシャルメディアといった現在の問題に関する新しい内容、人間のコミュニケーションを中心に据えた生成AIの扱い、そして新しいマルチモダリティの章を歓迎している。

短所

  • 1人の著者のアプローチ。 本書は談話分析の諸学派を比較するのではなく Gee の枠組みを提示するため、この分野の見取り図が必要な学生は、概説書を併用したほうがよい。
  • 実践面は姉妹書に置かれている。 出版社は、本書は単独でも使えるが、実践的な姉妹書である How to Do Discourse Analysis: A Toolkit と併用するのが理想的だとしている。ワークブックを期待する読者には、本書はより理論寄りに感じられるかもしれない。
  • マルチモダリティは最後に置かれている。 マルチモーダルな内容は最終章に限られているため、主に画像や映像を扱う学生は、先に読み進めて前半の道具を応用する必要がある。

コースにおける位置づけ

このコースの談話分析の書目の中で、Gee の本は理論主導の単一のアプローチを提供する。Johnstone と Andrus の Discourse Analysis はより広い範囲を扱い、ヒューリスティックを軸に記述的な道具立てを組み立てており、最も近い代替となる。1つの枠組みに決める前に、分析者が立てうる問いの幅を見渡したい学生に向いている。Brian Paltridge の Discourse Analysis: An Introduction と Rodney Jones の Discourse Analysis: A Resource Book for Students は、課題や研究からの抜粋を備えた概説型の入門書で、Gee より先に読むことができる。

Gee のあとには、Deborah Schiffrin の Approaches to Discourse で複数の枠組みを、文脈の扱い方の違いも含めて比較できる。批判的な系譜をたどりたい読者には、言語と権力の批判的研究に関する論文を集めた Norman Fairclough の Critical Discourse Analysis がある。

本書の使い方

本書は、話し言葉と書き言葉を分析する方法を求める、言語学、教育学、リテラシー研究、社会科学の高学年の学部生や大学院生に向いている。言語学の予備知識は不要だが、基本的な文法用語に慣れていると助けになる。

進め方の例を挙げる。まず第1章から第3章を読む。構築のタスクがそれ以降のすべてを方向づけるからである。第4章から第10章の道具は、1つずつ、自分で選んだ短い書き起こしやテクストに試してから先へ進む。figured worlds の章には余分に時間を取るとよい。本格的なプロジェクトを始める前に第11章と第12章を読む。書き起こしや妥当性についての判断がデータを左右するからである。第15章と第16章は、完成した分析がどのようなものかを知る手本として使い、画像や映像を扱う場合には第17章を発展として読む。

自分で分析を行うなら、本書を実践的な姉妹書と組み合わせる。分野の概観だけが必要なら、概説的な入門書か Schiffrin の比較書を先に読み、Gee は深めるために後から読むのがよいだろう。