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Approaches to Discourse: Language as Social Interaction(談話へのアプローチ:社会的相互行為としての言語) cover

言語学

言語学

Approaches to Discourse: Language as Social Interaction(談話へのアプローチ:社会的相互行為としての言語)

Deborah Schiffrin

英語原題: Approaches to Discourse: Language as Social Interaction

言語学における談話分析の主要な枠組みを比較するガイド。一つの方法を提示するのではなく、六つのアプローチの前提、概念、手順を示し、それぞれを実際の会話の断片に適用したうえで、構造と機能、テクストとコンテクスト、コミュニケーションのとらえ方において各アプローチがどう異なるかを問う。

前提知識: 談話分析または語用論の入門授業と、文字化された会話を読んだ経験。

難易度レベル
上級
学術レベル
大学院
discourse analysisconversation analysispragmaticsinteractional sociolinguisticsspeech acts教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Schiffrin, D. (1994). Approaches to Discourse: Language as Social Interaction. Blackwell. Blackwell Textbooks in Linguistics.

章の要約

本書は約480ページの比較ガイドで、言語学の内部で談話を分析するための枠組み、概念、方法を扱う。Schiffrinは、発話行為理論、相互行為的社会言語学、コミュニケーションの民族誌、語用論、会話分析、変異分析という6つのアプローチを記述し比較することを目的とする。冒頭の章で彼女は、談話分析の広大さを縮減するのではなく、その多様性を発展の徴とみなして、この分野の範囲を明確にすることが狙いだと述べる。出版社はさらに、各アプローチが複数の観点から考察され、具体的な社会的・言語的問題への適用によって例示されると述べている。全体は3部構成で、枠組みを示す部、6つのアプローチの章、そして比較による結論からなる。

第I部 The Scope of Discourse Analysis(第1–2章)

  • 第1章:Overview. 本書の目的を示し、異なるアプローチからの「中核的な」例を挙げ、本書の構成を述べる。
  • 第2章:Definitions of Discourse. 形式主義と機能主義のパラダイムを対比し、3つの作業上の定義、すなわち文より上の言語、言語使用、発話としての談話を示す。定義、問題点、談話分析のまとめで終わる。

第II部 Approaches to Discourse Analysis(第3–8章)

この部の各章は、導入、アプローチの定義、サンプル分析、談話研究の方法としてのアプローチの評価、練習問題という似た構成をとる。

  • 第3章:Speech Act Theory. サンプル分析は質問、依頼、申し出を扱う。
  • 第4章:Interactional Sociolinguistics. サンプル分析は「speaking for another(他者の代弁)」である。
  • 第5章:The Ethnography of Communication. サンプル分析は発話事象における発話行為としての質問を扱い、章は談話への民族誌的アプローチで終わる。
  • 第6章:Pragmatics. 指示表現と談話における語用論的過程を扱い、物語における指示の連鎖をサンプル分析とし、続いてGrice的な談話観を論じる。
  • 第7章:Conversation Analysis. サンプル分析は構文「there + BE + ITEM」である。
  • 第8章:Variation Analysis. サンプル分析はテクストとしての「リスト」を扱う。

第III部 Conclusion(第9–12章)

  • 第9章:Structure and Function. 談話分析における構造と機能を論じ、発話から談話へという視点でアプローチを比較する。
  • 第10章:Text and Context. 文脈とは何か、テクストとは何かを問う。
  • 第11章:Discourse and Communication. コミュニケーションの諸側面と、談話分析とコミュニケーション・モデルの関係を扱う。
  • 第12章:Conclusion: Language as Social Interaction. 出発点としてのアプローチ間の違いを挙げ、社会的相互行為としての言語という見方に立つ談話分析の原則を述べ、他の学問分野との境界を検討する。

付録

付録は3つ、Collecting Data、Transcription Conventions、Sample Dataである。

主要概念

第I部

  • 形式主義と機能主義のパラダイム:談話の定義が位置づけられる、言語についての二つの大きな立場。
  • 文より上の言語、言語使用、発話としての談話:第2章で検討される3つの定義。

第II部

  • 発話行為:質問、依頼、申し出など、話すことによって行われる行為。
  • 相互行為的社会言語学とコミュニケーションの民族誌:発話事象を含め、話すことを社会的・文化的に位置づけられた活動として捉えるアプローチ。
  • 語用論:指示や意味が文脈にどう依存するかの研究で、Grice流の伝統を含む。
  • 会話分析:話の連鎖的な組織化の研究。
  • 変異分析:言語変異の研究で、ここではテクストの構造に広げられる。

第III部

  • テクストと文脈:談話の一続きとその場面との関係。
  • 談話とコミュニケーション:談話へのアプローチと対比されるコミュニケーションのモデル。

批判的分析

長所

  • 体系的な比較。 6つのアプローチの各章は、定義、サンプル分析、評価という同じ内部構造をもち、結論の部が続くため、アプローチを並べて比べられる。
  • 実際の分析例。 各アプローチは、質問や依頼から「there + BE + ITEM」構文まで、具体的な問題に適用され、方法が使われる様子が分かる。
  • 練習問題とデータの助言。 第3–8章は練習問題で終わり、付録にはデータ収集の指針、転写の約束事、サンプルデータがある。
  • 明快な問い。 第9–12章は構造と機能、テクストと文脈、談話とコミュニケーションに立ち返り、アプローチ間の違いそのものが分析の主題となる。

短所

  • 刊行年。 1994年の刊行で、マルチモーダルやコーパスに基づく談話研究など、その後の展開より前の書物である。
  • 6つのアプローチのみ。 選ばれた6つの枠組みを比較するもので、のちの教科書が紹介する他のアプローチは扱わない。
  • 言語学の視点。 出版社が述べるように言語学の内部からの扱いであり、主に他の学問分野に根ざすアプローチは枠の外にある。
  • 分量と密度。 約480ページで長いサンプル分析を含むため、流し読みよりも、ゆっくり読む本である。

コースにおける位置づけ

談話分析のリストのなかで、比較理論の本である。Brian Paltridgeの Discourse Analysis: An Introduction、Barbara JohnstoneとJennifer Andrusの Discourse Analysis、Rodney Jonesの Discourse Analysis: A Resource Book for Students は、潮流と課題を通じて分野を紹介する教科書で、最初に読むのに向く。James Paul Geeの An Introduction to Discourse Analysis: Theory and Method は、少数の道具を通じて、言語を、アイデンティティや社会的世界を構築する方法として扱う。Norman Fairclough の Critical Discourse Analysis は、イデオロギー、権力、社会変動に関する一人の分析者の論文集である。Schiffrinはそれらの中間にあり、多くの本が依拠する言語学的分析の伝統を示すため、どの枠組みがどの種のデータに適するかが問題となるときに役立つ。

本書の使い方

談話分析または語用論の入門科目をすでに履修し、転写された会話を見たことのある言語学の上級学部生や大学院生に向く。

実際の読み方の例は次のとおり。

  • 核: 範囲と定義を扱う第1・2章、自分の研究に最も関係するアプローチの章、比較のための第9–12章。
  • 選択的に: アプローチの章は1つずつ読む。会話を扱う研究には第7章、意味と使用の研究には第3章または第6章、変異の研究には第8章が向く。
  • 方法のために: データ収集と転写の約束事を扱う付録は、研究の開始時に読むとよい。
  • 併用するもの: 自分で録音した短い資料で練習問題を試し、最近の教科書と並べて、本書がどの展開より前のものかを確かめる。