01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Paltridge, B. (2021). Discourse Analysis: An Introduction (3rd ed.). Bloomsbury Academic.
章の要約
第3版(約330ページ)は、2006年の初版、2012年の第2版に続くものである。第3版への序文で始まり、全11章の後に練習問題の解答を収めた付録、主要用語集、文献一覧、索引が続く。出版社が説明する構成は次のとおりである。導入の章の後、各章が談話への異なるアプローチを一つずつ取り上げ、その発展と最近の動向をたどる。各章には練習問題、ディスカッション用の問い、参考文献案内が付いている。コンパニオン・ウェブサイトには講義用スライド、発展的な読み物、文献リストがある。著者はシドニー大学のTESOL教授である。
第1章:談話分析とは何か
導入の章として分野を定義し、後続の章が依拠する理論的・方法論的な基本前提を示す。
第2〜3章:談話と社会、談話と語用論
言語をその文脈の中で扱う2章である。第2章は談話を社会と関係づけ、第3章は談話分析を、使用の中での意味を研究する語用論と結びつける。
第4〜5章:談話とジャンル、談話と会話
第4章は、共同体が用いる型をもったテクストや出来事の種類であるジャンルの観点から談話を扱う。第5章は話し言葉のやりとりと会話の分析に移る。
第6〜7章:談話文法、談話分析へのコーパス・アプローチ
第6章は談話の文法、すなわち文を超えたレベルで言語がどう組織されるかを扱う。第7章は、大量のテクストの集積を使って談話を研究するコーパスの方法を紹介する。
第8〜9章:マルチモーダル談話分析、談話とデジタルメディア
第8章は分析の対象を言語から画像などの他のモードへと広げる。談話とデジタルメディアを扱う第9章は、この版で新たに加わった章である。
第10章:批判的談話分析
アプローチを扱う章の最後として、談話と権力・イデオロギーの関係を検討する批判的談話分析を取り上げる。
第11章:談話分析を実践する
最後は談話分析のプロジェクトを実際に行うための実践的な章で、それまでの章で紹介したアプローチをまとめ上げる。
主要概念
第1章:基礎
- 談話:一つの文を超えて、使用と文脈の中で研究される言語。
- 道具箱としての談話分析:出版社は本書のアプローチを、一つの方法ではなく相補的な道具として提示している。
第2〜5章:文脈、意味、ジャンル、会話
- 談話と社会:言語使用が社会的アイデンティティや場面とどう関わるか。
- 語用論:文脈と話し手の意図に依存する意味。
- ジャンル:慣習化したテクストやコミュニケーション上の出来事の種類。
- 会話:分析の対象としての話し言葉のやりとり。
第6〜9章:文法、コーパス、モード、メディア
- 談話文法:テクストのまとまった範囲にわたる言語の組織。
- コーパス・アプローチ:大規模で検索可能なテクスト集を通じて談話を研究すること。
- マルチモダリティ:言語とともに、画像、レイアウトなどのモードによって作られる意味。
- デジタルメディア:オンラインの、また媒介されたコミュニケーションにおける談話。新しい章の主題である。
第10〜11章:批判と実践
- 批判的談話分析:テクストに潜む権力とイデオロギーを明らかにすることを目指す分析。
- 談話分析の実践:自分のデータの分析を計画し、実行すること。
批判的分析
長所
- 1冊で幅広く扱う。 アプローチを扱う9章(第2〜10章)が、社会、語用論、ジャンル、会話、文法、コーパス、マルチモダリティ、デジタルメディア、批判的談話分析を取り上げるので、読者は一つの伝統に絞る前に複数の伝統を比べることができる。
- 授業向けの作り。 出版社によれば、すべての章に練習問題、ディスカッション用の問い(この版で新設または更新)、参考文献案内がある。練習問題の解答は付録に収められ、主要用語集が初学者を助ける。そのため授業の教科書としてだけでなく、独習にも使える。
- 新しい話題の追加。 この版ではデジタルメディアの章と、リンガ・フランカとしての英語、言語景観、トランスランゲージングという話題が加わり、北米から東アジアまでの多様な文脈から例が取られている。
- プロジェクトへの道筋。 最終章は談話分析の実践に充てられており、学生がアプローチについて読む段階から、それを適用する段階へ進むのを助ける。
短所
- 一つのアプローチに1章。 約330ページに11章という構成なので、各アプローチは入門的な1章で扱われるにとどまり、方法論を十分に展開するものではない。会話分析や批判的談話分析をプロジェクトに採用する学生には専門的な文献が必要になる。
- 応用言語学寄りの方向性。 著者はTESOLの教授であり、この版の新しい話題(リンガ・フランカとしての英語、トランスランゲージング、言語景観)も応用言語学に由来する。本書は言語教育や言語を学ぶ学生に最もよく合う。社会学やメディア研究から来た読者は、自分の分野に近い二冊目を求めることになるだろう。
コースにおける位置づけ
Paltridgeは談話分析のリストにおける概説型の入門書であり、一つのアプローチに1章を割き、練習問題と解答を備えている。Jonesの Discourse Analysis: A Resource Book for Students とは自然な組み合わせになる。Jonesは同様の範囲を異なる形式(短い導入ユニットの後に、発展、探究、研究事例が続く)で扱う。連続した説明を好む学生はPaltridgeから始めるとよく、分析課題をこなしながら学ぶ学生はJonesを好むかもしれない。両方を使えば、各アプローチについて二通りの説明が得られる。
本書の後には、Johnstone and Andrusの Discourse Analysis が、テクストが世界によってどう形作られ、また世界をどう形作るかを分析するための一つのヒューリスティックを研究プロジェクトの提案とともに示し、Geeの An Introduction to Discourse Analysis が一つの理論と方法を深く展開する。Schiffrinの Approaches to Discourse は六つの枠組みを同じデータで詳しく比較しており、枠組みを選んでその理由を説明しなければならない学生にとって自然な次の一歩である。Faircloughの Critical Discourse Analysis は、第10章で紹介されるアプローチの背後にある主要論文を集めている。
本書の使い方
本書は、応用言語学、TESOL、英語学、コミュニケーション学で初めて談話分析を学ぶ学部生と修士課程の学生、そして隣接分野から方向づけを必要とする研究者に向いている。談話分析の予備知識は前提とされていない。基本的な文法用語に慣れていると第6章が読みやすい。
- 第1章から始める。 全体を通じて使われる用語と前提がここで準備される。
- 第2〜5章を順に読む。 社会、語用論、ジャンル、会話が、最初の授業の中核となる。
- 第6〜10章は授業やプロジェクトに応じて選ぶ。 コーパス研究なら第7章、画像などのモードなら第8章、オンラインのコミュニケーションなら第9章、権力とイデオロギーなら第10章。
- 自分のプロジェクトを始める前に第11章で締めくくる。
練習問題は付録の解答を見る前に解き、ディスカッション用の問いは学習仲間やゼミで使うとよい。使う可能性のあるアプローチについては、章末の参考文献案内から専門書へ進み、自分で集めた少量のテクストや短い録音にそのアプローチを試してみるとよい。
