01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Hunston, S., & Oakey, D. (Eds.). (2010). Introducing Applied Linguistics: Concepts and Skills. Routledge.
章の要約
本書は約270ページで、二つのセクションからなる。セクション1「応用言語学の主要概念」(Key Concepts in Applied Linguistics)は3部12章の短い章で構成され、セクション2「応用言語学を学ぶ学生のための学習スキル」(Study Skills for Applied Linguistics Students)は4部10章で、その後に解答と索引が続く。各章の長さは4〜17ページである。編者はSusan Hunston(バーミンガム大学)とDavid Oakey(アイオワ州立大学)で、各章は本書のために依頼された寄稿者が執筆している。寄稿者にはSvenja Adolphs、Aileen Bloomer、Zoltán Dörnyei、Adrian Holliday、Alison Johnson、Chris Kennedy、Almut Koester、Ruby Macksoud、Kirsten Malmkjær、Kieran O'Halloran、Juup Stelma、Joan Swann、Geoff Thompson、Dave Willis、Jane Willis、David Woollsが含まれる。以下の章題は刊行された各章に登録されているものであり、出版社のオンライン目次では一部の章がより短い、あるいはやや異なる形で示されている(たとえば「Learning English in a Global Society」や「Understanding Reporting Verbs」)。
第I部:英語を記述する(第1〜4章:三つの理由、英語の語彙とコロケーション、文法的比喩と学術的文章の成功、言語教室における会話分析)
第I部は英語そのものを扱う。語彙と習慣的に共起する語、うまく書かれた学術的文章の特徴としての文法的比喩、そして教室での会話の分析である。
第II部:言語を教え、学ぶ(第5〜8章:コミュニカティブ・ランゲージ・ティーチングとは何か、方法論を求める六つの命題:タスク中心の言語教育への言語学の応用、動機づけを研究する:統合的志向から理想L2自己へ、グローバルな文脈で英語を学ぶ)
言語教育についての4章。コミュニカティブ・ランゲージ・ティーチング、タスク中心の教授法の言語学的基盤、統合的志向から「理想L2自己」に至る動機づけ研究の展開、そしてグローバルな状況での英語学習を扱う。
第III部:より広い文脈における応用言語学(第9〜12章:ハードニュース記事における比喩とイデオロギーの調査、誰が書いたのか:探偵としての言語学者、翻訳者の選択、異文化コミュニケーションにおけるステレオタイプ概念を問い直す)
第III部は教室の外へ出る。出版社は本書の扱うテーマとしてメディアにおける言語や法言語学を挙げており、4章はそれぞれ、ニュース報道における比喩とイデオロギー、著者の特定、翻訳における選択、異文化コミュニケーションにおけるステレオタイプ化を扱う。
第IV部:応用言語学の研究を行う(第13〜16章:質問紙を設計する、事例研究でインタビュー・データを使う、話し言葉のやりとりを書き起こす、コーパスを使って話し言葉を研究する)
セクション2は研究方法から始まる。質問紙の設計、事例研究におけるインタビュー、話し言葉のやりとりの書き起こし(17ページで本書最長の章)、そしてコーパスに基づく話し言葉の研究である。
第V部:解釈のスキル(第17〜18章:名詞句を理解する、他者の視点を見分けて報告する)
学術的文章を読むための2章。名詞句を読み解くこと、そして他の書き手の立場を見分けて報告することを扱う。
第VI部:表現のスキル(第19〜20章:自分の声を見つける、エッセイを構成する)
この分野での書き方。書き手自身の声を確立することと、エッセイの構造と構成を扱う。
第VII部:編集のスキル(第21〜22章:参照・引用の方法、自分の文章を編集する)
本書は参照・引用の慣行と自分の文章の推敲で締めくくられ、その後に練習問題の解答が続く。
主要概念
セクション1:応用言語学の主要概念
- コロケーション:特定の語どうしが習慣的に共起すること。英語の語彙を記述する一部として扱われる。
- 文法的比喩:第3章が章題で学術的文章の成功と結びつけている文法的な手段。
- 会話分析:話し言葉の綿密な研究。ここでは言語教室に応用される。
- コミュニカティブな言語教育とタスク中心の言語教育:第II部で検討される言語教育のアプローチ。
- 理想L2自己:動機づけ研究の概念。第7章では、より古い統合的志向の概念を経てこれに至る。
- 法言語学:言語学的な証拠の利用。ここでは誰が文章を書いたのかという問いに答えるために用いられる。
- 異文化コミュニケーションにおけるステレオタイプ:第12章が自明のものとせず問い直す概念。
セクション2:学習スキル
- 研究の道具:データを集め、扱う方法としての質問紙、インタビュー、書き起こし、コーパス。
- 他の書き手の報告:他の書き手の視点を見分け、それを自分の文章の中で表すこと。
- 書き手の声:学術的文章における書き手自身の立場。
- 参照・引用と自己編集:学術的文章を仕上げるための慣行と点検。
批判的分析
長所
- 概念とスキルを一冊に。 出版社はこの組み合わせを本書の設計として示している。主要概念を紹介するセクションと、学生に必要な学習スキルにあてたセクションである。Australian Review of Applied Linguistics誌(2011年)で本書を書評したCeleste Rodríguez Louroは、本書はその両面で成功していると述べた。出版社が引用するKen Hylandの評は、応用言語学やTESOLを初めて学ぶ学生にとって分かりやすく刺激的だとしている。
- 言語教育を超える広がり。 第III部は法言語学、翻訳、メディア談話、異文化コミュニケーションにそれぞれ1章をあてており、本書は応用言語学を第二言語教育よりも広いものとして示している。出版社も、伝統的なテーマから新しい領域までを扱う点を強調している。
- 専門家による短い章。 出版社によれば、セクション1の各章は各分野の第一人者に依頼して書かれたもので、章は1回のゼミで1章を課せる程度の短さである。出版社が引用するJoseph Foleyは、テーマが大学院生との議論を促すのによく適していると評価している。
- 解答付きの練習。 練習問題には解答が付いており、出版社によれば、インタラクティブな練習問題、寄稿者についての情報、解説付きのウェブリンクを載せたコンパニオン・ウェブサイトがある。
短所
- 網羅的ではなく選択的。 12の短い章で分野を体系的に網羅することはできない。たとえば言語評価の章はなく、第二言語習得研究は主に動機づけの章を通じて登場するだけである。出版社自身の説明も、概観ではなく選ばれた主要概念を深く扱うとしている。
- 英語中心。 第I部は明示的に英語の記述を扱い、第II部にもグローバルな文脈での英語学習の章がある。他の言語を研究する学生には、直接応用できる部分が少ない。
- 2010年時点の姿。 本書は改訂されていないため、紹介される研究も学習スキルの助言(たとえば参照・引用の慣行)も、2009〜2010年頃の分野と学術慣行を反映している。
- 「最初の一冊」から想像されるより高めの対象レベル。 出版社は応用言語学やTEFL/TESOLを学ぶ学部上級生と大学院生を対象としており、本書を学生がこの分野の言説に入っていくための導きと位置づけている。学位課程を始めたばかりの学生は、独習用の入門書としてではなく、教員の指導のもとで読むことを想定したほうがよい。
コースにおける位置づけ
本書は応用言語学やTESOLの課程の最初に読む本であり、コースの中で学術的な学習スキルを教える唯一の本である。最も近いのはNorbert SchmittとMichael RodgersのAn Introduction to Applied Linguisticsで、こちらも専門家による編著の概説書だが、分野をより体系的に扱うよう構成されている(言語と言語使用の記述、主要な研究領域、言語技能と評価)。Hunston and Oakeyはより穏やかな入り口であり、読解、研究、エッセイ執筆の助けも必要な学生に向いている。Schmitt and Rodgersは次に読むべき、より充実した概説書である。
Patsy LightbownとNina SpadaのHow Languages Are Learnedは、教師向けに第二言語学習研究を紹介する短い入門書で、Hunston and Oakeyでは手薄な習得の扱いを補う。H. Douglas BrownとHeekyeong LeeのPrinciples of Language Learning and Teachingは、習得理論を教室実践と関連づけて、より詳しく概観する。Rod EllisのThe Study of Second Language Acquisitionと、VanPatten、Keating、Wulff編のTheories in Second Language Acquisitionは習得研究の専門的な解説書であり、学位課程の後半で読むものである。
本書の使い方
本書は、応用言語学、英語学、TESOLの学位課程や修士課程を始める学生に向いている。Hylandの推薦文も、この分野を初めて学ぶ学生を挙げている。
二つのセクションは役割が異なるので、順番に読むのではなく並行して使うとよい。
- セクション1はゼミの課題文献として。 週に1章ずつ、順不同で読み、授業内容に合った部を選ぶ。教育志向の課程なら第II部、分野の広がりを知りたい学生には第III部である。
- セクション2はハンドブックとして。 第V〜VII部は最初の学期の早い時期、最初のレポート課題の前に読み、推敲の段階で第21〜22章に戻る。小規模な研究プロジェクトや学位論文の調査を設計する前には、第IV部の該当する章を読む。
- 練習問題。 解答を見る前に練習問題に取り組み、さらに学ぶためにコンパニオン・ウェブサイトのインタラクティブな練習問題と解説付きリンクを使う。
分野の体系的な見取り図がほしい学生はSchmitt and Rodgersに進み、言語教育に進む学生はLightbown and Spadaを加えるとよい。
