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文法分析:入門 cover

言語学

言語学

文法分析:入門

Paul R. Kroeger

英語原題: Analyzing Grammar: An Introduction

形態論と統語論に焦点を当てた文法分析の包括的ガイドで、学生が馴染みのない言語を分析し、言語横断的文法パターンを理解するスキルを発達させることを目的として設計。

前提知識: 言語学の基本的な用語を知っていれば十分で、形態論や統語論の履修は必要ありません。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
形態論統語論文法分析言語横断比較フィールド言語学記述文法類型論言語記録

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Kroeger, P. R. (2005). Analyzing Grammar: An Introduction. Cambridge University Press.

章の要約

本書は約384ページで、17の章、スワヒリ語のデータの付録、用語集、参考文献、2つの索引(言語索引と事項索引)からなる。序文で著者は、本書を形態論と統語論の一般的な入門書であり、英語やその他特定の言語についての本ではないと述べている。ただし、とくに統語論では英語の例を用い、ほかの多くの言語の例も併せて取り上げる。順序は語の構造から文の構造へ、そして形態論のより進んだ論点へと戻る。第2章から第5章が基本的な道具を整え、第6章から第12章が節と文のさまざまな部分を扱い、第13章から第17章が形態論に戻る。

第1章:文法的形式(Grammatical Form)

最初の章は、形式・意味・用法を導入する。冒頭の例は挨拶の「hello」で、その重要性は伝える情報にあるというより、社会的相互行為での用法にある。また、テオチュー語では友人への挨拶は食事をしたかどうかの質問である。要点は、文法分析が形式と意味・機能の結びつきから出発するということである。

第2章:語の構造の分析(Analyzing Word Structure)

形態論と語の分析の手法への導入である。節では、語の構成部分を特定すること、語を構成する部分の種類、その配列を示す方法、世界の言語に見られる語の構造の類型の概観を扱う。より複雑な形態構造は第13章から第17章で取り上げると述べている。

第3章:構成素構造(Constituent Structure)

統語論についての最初の章である。語は統語範疇(伝統的な品詞)に分類され、構成素にまとめられる。章では、構成素と範疇を特定するために用いる証拠を論じ、そのうえで、まとまりと線的な順序の両方を示す樹形図を導入する。

第4–5章:意味役割と文法関係/語彙項目と適格な節(Semantic Roles and Grammatical Relations; Lexical Entries and Well-Formed Clauses)

第4章は意味役割と文法関係を導入し、句構造規則を使う。これは本書が後で再び用いる記法である。第5章は語彙に目を向ける。語に固有の情報が貯えられる場所として語彙項目を説明し、節全体の構造を決める動詞の性質に焦点を当てる。

第6–8章:名詞句/格と一致/名詞クラスと代名詞(Noun Phrases; Case and Agreement; Noun Classes and Pronouns)

第6章は名詞句の限定詞、補部、付加詞、所有者、そして英語の名詞句のいくつかの構造的特徴を扱う。第7章は、言語が文法関係を標示する手段、すなわち語順、格、一致を論じる。出発点は語順が比較的自由なマラヤーラム語である。第8章は、名詞の下位分類(性と名詞分類辞)と代名詞体系を扱う。

第9–12章:時制・アスペクト・モダリティ/非動詞述語/特殊な文の型/従属節(Tense, Aspect, and Modality; Non-Verbal Predicates; Special Sentence Types; Subordinate Clauses)

第9章は時制、アスペクト、モダリティを区別し、1つの接辞がそのうち複数を符号化することが多いと指摘する。第10章は非動詞述語を扱う(目次に詳細はない)。第11章は疑問文、命令文、そのほかの文型を、平叙文を基本として文法構造に重点を置いて扱う。第12章は再帰と、ある節が別の節に埋め込まれることを導入する。

第13–17章:派生形態論/結合価を変える形態論/異形態/非線的形態論/接語(Derivational Morphology; Valence-Changing Morphology; Allomorphy; Non-Linear Morphology; Clitics)

これらの章で本書の形態論の扱いが完結する。目次には章題以外の詳しい内容は挙がっていない。第2章は、語の構造のより複雑な側面についてこれらの章を先取りして参照している。

付録:文法スケッチのためのスワヒリ語データ(Swahili Data for Grammar Sketch)

最後の演習は、スワヒリ語のデータを与え、学生に短い散文の「文法スケッチ」を書くよう求める。必要に応じて表や樹形図を使ってよく、推奨される構成案も付いている。

主要概念

第1–3章:文法的形式/語の構造の分析/構成素構造

  • 形式・意味・用法:文法分析は、形式が意味とどう結びつき、相互行為でどう使われるかを説明しなければならないという考え方。
  • 形態論と統語論:語の構造と、句や文の構造。通常は別々の下位分野として扱われる。
  • 統語範疇と構成素:語が分けられる類と、語がまとまってできる集まり。
  • 樹形図:まとまりと語順を表す方法。

第4–8章:意味役割から名詞クラスと代名詞まで

  • 語彙項目:1つの語に固有の発音、意味、文法的ふるまいについての情報。
  • 補部と付加詞:主要部に選択される依存要素と、自由に付加される依存要素。
  • 文法関係:主語、目的語など。語順、格、一致によって標示される。
  • 性と名詞分類辞:名詞を下位分類する2つの方法。

第9–17章:時制・アスペクト・モダリティから接語まで

  • 時制・アスペクト・モダリティ:動詞の形態でしばしば符号化される3種類の情報。
  • 発話行為と文の型:平叙、疑問、命令と、それに対応する構文。
  • 再帰と埋め込み:ある節が別の節の中に置かれること。
  • 派生、異形態、接語:第13章から第17章の話題で、章題に挙がっている。

批判的分析

長所

  • 目的が明確。 序文は、本書が言語について語るための最も基本的な語彙しか知らない初学者のためのもので、優れた記述文法を書けるよう学生を助けることを目指すとしている。特定の言語に縛られず、例は多くの言語から取られている。
  • 記法だけでなく散文での記述も。 序文は、基本的な形式的記法を導入しつつも、散文による記述に同等の重きを置くと述べており、理論だけでなく記述的な作業をめざす読者に向いている。
  • 通常の入門コースを超えた話題。 格と一致の類型論、性と代名詞体系、時制・アスペクト・モダリティの短い導入が加えられている。本書が、記述の乏しい言語のフィールドワークへの第一歩となることを意図しているからである。
  • 練習が組み込まれている。 出版社は多様な練習問題と演習、用語集、言語索引を強調している。付録のスワヒリ語は、総仕上げとして完全な文法スケッチを求める。

短所

  • フィールドワークの手引きではない。 序文は、本書が言語学のフィールド調査法についての本ではないと述べている。ただし方法論には随所で触れられている。言語記録の仕事を計画する学生は、誘出、録音、倫理に関する専用の手引きが必要になる。
  • 範囲は形態論と統語論。 序文と出版社の説明が述べるように、主題は語と文の構造であり、音韻論、意味論、談話分析が必要な読者は別の本が必要になる。
  • 基準となる言語は英語。 序文は、本書が英語で書かれているため、とくに統語論でいくつかの点を英語の例で説明していると認めている。ほかの言語の例も併せて挙がっている。

コースにおける位置づけ

このコースの類型論・フィールドワークの書目の中で、Kroeger は実践的な文法分析の本である。Velupillai の An Introduction to Linguistic Typology は数百の言語のデータを使って文法の主要領域を概観するもので、分析の訓練というより言語間の変異の地図であり、Kroeger の第7章から第9章と並べて読むとよい組み合わせになる。Thomas Payne の Describing Morphosyntax はフィールド言語学者向けに記述文法の概要の形で構成されており、Kroeger の手法が身についた後の自然な次のステップである。

Bowern の Linguistic Fieldwork: A Practical Guide と Meakins、Green、Turpin の Understanding Linguistic Fieldwork は、誘出、データ管理、倫理を扱っており、これらは Kroeger が扱わない側面である。Croft の Typology and Universals は類型論の方法と理論についての上級者向けの説明で、Kroeger の助けで記述できるようになったパターンの説明を求める読者に向いている。

本書の使い方

本書は、言語学の最初のコースを終え、文法の分析を学ぶ準備ができた学部生や大学院の初年次の学生のためのものである。序文は、言語について語るための最も基本的な語彙の知識だけを前提としている。

進め方の例を挙げる。まず第1章から第3章を丁寧に読む。部分、構成素、範疇を特定する手法が全体を通じて使われるからである。次に第4章から第8章に進む。第7章は、文法関係を標示する3つの手段を導入するので、余分に時間をかける価値がある。第9章から第12章はコースに応じて選び、第13章から第17章は形態論の単元として読む。本書は分析を軸に作られているので、演習は進みながら行う。

最後に付録のスワヒリ語の文法スケッチに取り組む。フィールドワークの準備をしているなら、フィールドワークの手引きを併用し、言語間の広がりを求めるなら、Velupillai を並行して読む。