01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Witting, C. (2018). Street on Torts (15th ed.). Oxford University Press.
章の要約
第15版は26章から成る。不法行為法の概観に始まり、過失の詳細な検討、故意の不法行為、経済的不法行為、厳格責任の不法行為、名誉毀損とプライバシー、手続や公的権限の濫用を経て、最後に代位責任、能力と当事者、救済に至る。以下は目次に沿い、主題ごとに章をまとめている。
第1章:Overview of tort law(不法行為法の概観)
不法行為を定義し、簡単な歴史を示し、不法行為法が保護する権利と利益を特定し、それに対する理論的視点を紹介する。
第2〜5章:注意義務
第2章は基礎的な原則と注意義務の成立を扱う。第3章は身体的傷害と精神疾患を扱い、妊娠や出生に関わる害も含む。第4章は財産損害と純粋経済損失、そして不法行為と契約の関係を扱う。第5章は、司法判断適合性(justiciability)を含む、公的機関の注意義務を検討する。
第6〜8章:注意義務違反、因果関係と遠隔性、過失の抗弁
第6章は注意の基準、それを決める要素、専門家の過失、違反の立証を説明する。第7章は事実的・法的因果関係、新たな介在原因、損害の遠隔性を扱う。第8章は寄与過失、危険の自発的引受け、責任の排除・制限、違法性の抗弁を扱う。
第9章:Liability for defective premises and structures(欠陥のある建物・構造物に対する責任)
占有者責任と、占有者でない者の責任を扱う。
第10〜13章:不法侵入と干渉
第10章は、暴行(battery)、脅迫(assault)、故意による害の惹起、ハラスメントからの保護、不法監禁など、人に対する不法侵入と関連する不法行為を扱う。第11章は、動産への不法侵害や横領(conversion)を含む動産への不法な干渉を扱う。第12章は土地への不法侵入を扱う。第13章は、人または財産に対する故意の不法行為の抗弁を検討する。
第14〜15章:False representations(虚偽表示);The general 'economic' torts(一般的な「経済的」不法行為)
第14章は詐欺(deceit)、詐称通用(passing off)、悪意の虚偽を扱う。第15章は契約違反の誘引、違法な手段による損害の惹起、適法・違法な手段による共謀を扱う。
第16〜19章:製造物責任、ニューサンス、Rylands v Fletcher の準則、制定法上の義務違反
第16章は、欠陥製品に対する厳格責任制度を、コモン・ロー上の展開とともに説明する。第17章は私的・公的ニューサンスを、誰が訴え誰が訴えられるか、抗弁、救済を含めて扱う。第18章はRylands v Fletcherの準則とニューサンスとの関係を扱う。第19章は制定法上の義務違反を扱う。
第20〜22章:名誉毀損;プライバシー
第20章は、書面による名誉毀損(libel)と口頭による名誉毀損(slander)の区別を含む名誉毀損の基礎原則を扱う。第21章は、真実性、誠実な意見、公共の利益、特権などの抗弁と救済を扱う。第22章は不法行為上のプライバシー訴訟を検討する。
第23〜26章:手続・公的権限の濫用、代位責任、能力と当事者、救済
第23章は悪意訴追、手続の濫用、公職における不正行為を扱う。第24章は代位責任を扱う。第25章は、国王、会社、子ども、共同不法行為者を含む能力と当事者を検討する。第26章は救済を扱う。
主要概念
第1〜9章:過失
- 注意義務:被告が原告に対して法的義務を負うという要件で、損害の種類と被告の別に4つの章で扱われる。
- 違反、因果関係、遠隔性:注意の基準、違反が損害を引き起こしたか、損害が遠すぎないか。
- 寄与過失:原告が損害に寄与したことにより損害賠償が減額される抗弁。
第10〜19章:故意の不法行為、経済的不法行為、厳格責任の不法行為
- 不法侵入と横領:人、土地、動産への直接の干渉。
- 経済的不法行為:詐欺、詐称通用、契約違反の誘引、共謀。
- ニューサンスとRylands v Fletcher:土地の利用への干渉に対する責任。
第20〜26章:名誉、プライバシー、当事者、救済
- 名誉毀損:libelとslanderを含む名誉の保護と、一連の抗弁。
- 代位責任:他人が犯した不法行為についての責任。
- 救済:不法行為における損害賠償その他の救済。
批判的分析
長所
- **一冊で広い範囲。**26章が過失、不法侵入、経済的不法行為、ニューサンス、名誉毀損、プライバシー、手続の濫用、救済をカバーするため、一冊で不法行為法の全科目を支えられる。
- **過失の詳しい扱い。**注意義務は損害の種類ごとに4章に分けられ、公的機関には独立の章がある。そのため各類型の請求が焦点を絞って扱われる。
- **保護される利益による明確な区分。**章は侵害される利益(人、動産、土地、経済的利益、名誉、プライバシー)ごとに不法行為をまとめており、なぜ異なる規則があるのかが見えやすい。
- **現代的な領域。**不法行為上のプライバシー訴訟や公的権限の濫用に独立の章があり、第15版まで定期的に改訂されている。
短所
- **参照型の教科書。**1トピック1章の構成と詳細な法理は、通読よりも論点の検索に向いており、初めて読む人は圧倒されかねない。
- **理論より法理。**理論的視点は第1章で紹介されるが、紙幅の大半は規則と判例に割かれる。不法行為の目的をめぐる議論には、理論的な研究書のほうがよい。
- **版に依存。**2018年刊行であり、過失、名誉毀損、プライバシーに関するその後の展開は含まれない。法が動いた分野では新しい版を確認すること。
コースにおける位置づけ
このコースの図書では、HorseyとRackleyのTort Law、およびMcBrideらのTort Lawは、主要判例を通じて原則を説明するコース教科書で、Tort Law: Text and Materialsは本文と抜粋を組み合わせている。Markesinis and Deakin's Tort LawとWinfield and Jolowicz on Tortは、より大部で詳細な扱いである。Atiyah's Accidents, Compensation and the Lawは補償制度を文脈的に論じ、Torts and Rightsは不法行為法を権利の法として論じ、Gatley on Libel and Slanderは名誉毀損の専門書である。
Street on Tortsは詳細な教科書の側に位置する。不法行為法の全体を扱うコースの主教材として適し、短い入門書を読んだ後に特定の不法行為の詳細を調べる場所にもなる。
本書の使い方
学部で不法行為法を学ぶ法学生向けである。
第1章と第2〜8章から始める。これは過失の中核であり、コースの残りの基礎になる。その後、シラバスが扱う不法行為を足す。不法侵入は第10〜13章、ニューサンスと厳格責任は第17〜19章、名誉毀損とプライバシーは第20〜22章である。代位責任、当事者、救済を扱う第24〜26章は全体に及ぶので、終わり近くに読むのがよい。
各章が引く主要判例を読み、枠組みをつかんだ後に詳細な規則を確認する手段として本書を使う。試験の範囲となる分野については、最近の判決を確認すること。
