01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Merkin, R., & Saintier, S. (2025). Poole's Textbook on Contract Law (17th ed.). Oxford University Press.
章の要約
本書は十五の章からなり、冒頭の序論に続いて四つの部がある。契約の成立、内容・解釈・履行・契約関係の相対性、契約を無効にする要因、そして契約の履行と終了である。出版社は、本書が二十年以上にわたり学生を契約法へ導いてきたこと、契約法を商業的文脈の中に位置づけていること、判例を軸にした内容と簡潔な説明に、要約、問題、例、参考文献案内が組み合わされていることを説明している。第17版の改訂者は Robert Merkin と Séverine Saintier であり、原著者は Jill Poole である。
第1章:契約法への序論
四つの部に先立つ、独立した約30ページの導入の章である(1~32ページ)。その内部の構成は、本稿で参照できた情報では示されていない。
第1部 契約の成立(第2~4章)
強制力のある契約がどのように成立するかを扱う三つの章で、合計およそ150ページである。第2章「合意」に、第3章「約束の強制可能性:約因と約束的禁反言」と第4章「法的に拘束される意思、方式、および契約能力」が続く。
第2部 契約の内容、解釈、履行、および契約関係の相対性(第5~7章)
第5章「契約の内容と解釈の原則」は、当事者が何を合意し、裁判所がそれをどう読むかを扱う。第6章「免責条項と不公正な契約条項」は、条項の規制についての本書の取り扱いであり、第7章「契約関係の相対性と第三者の権利」は誰が契約を執行できるかを扱う。この部は約160ページである。
第3部 契約を無効にする要因(第8~11章)
合意を争う根拠を扱う四つの章である。第8章「錯誤」、第9章「不実表示」、第10章「強迫、不当威圧、および非良心的取引」、第11章「違法性」。この部は約160ページである。
第4部 契約の履行と終了(第12~15章)
第12章「フラストレーションによる債務の消滅:後発的不能」が最後の部の冒頭にある。第13章「契約違反」は二つの救済の章へつながる。第14章「契約違反に対する損害賠償」と、第15章「特定履行などの救済と原状回復的救済」である。この部は索引の前までで約180ページである。
第17版の新しい判例
出版社は三つの主要な新しい判例を挙げているが、それぞれがどこで論じられるかは述べていない。強制力のある契約とは何かに関する Kajima Construction Europe (UK) Ltd v Children's Ark Partnership Ltd(2023年)、銀行の顧客に対する義務に関する Phillip v Barclays Bank UK plc(2023年)、そして債務の請求と損害賠償の訴えの違いに関する SFL Ace 2 Inc v DCW Management Ltd(2024年)である。
主要概念
第1部:契約の成立
- 合意:第2章の主題で、当事者がどのように拘束力のある合致に至るか。
- 約因と約束的禁反言:第3章の題名に挙がっている、約束に強制力を与える二つの経路。
- 意思、方式、能力:第4章で扱われる、強制力のある契約のためのさらなる要件。
第2部:契約の内容、解釈、履行、および契約関係の相対性
- 解釈:裁判所が契約の意味を確定する際の原則。
- 免責条項と不公正な契約条項:責任を制限または排除する条項に課される規制。
- 契約関係の相対性と第三者の権利:誰が契約を執行できるか。
第3部と第4部:契約を無効にする要因、履行と終了
- 錯誤、不実表示、強迫、不当威圧、非良心的取引:合意を取り消すための根拠。
- 違法性:契約を無効にする要因の部の最後の章。
- フラストレーション:後発的不能による債務の消滅。
- 損害賠償、特定履行、原状回復的救済:契約違反に対する救済。
批判的分析
長所
- 分野の明快な見取り図。 十五の章は、成立、条項、合意への異議、契約の終了と救済という、イングランド契約法の授業の多くが辿る順序に沿っている。各章の題名は、学生がそのまま調べられる主題を示している。
- 商業的文脈。 出版社は、契約法を商業的文脈の中に位置づけていると述べており、免責条項と不公正な契約条項に独立した章が割かれていることは、条項規制が独自の場を与えられていることを示している。
- 学習の支援。 各章には要約、問題、例、参考文献案内があり、電子書籍とLaw Troveには動画、自己点検問題、記述式問題と解答の手引きが加わる。
- 併用できる資料。 出版社は、本書が単独でも、Poole's Casebook on Contract Law と併せても使えるものだと紹介しており、判例そのものを読みたい読者に役立つ。
短所
- 規則と判例への重点。 出版社が挙げる特徴は、判例を軸にした内容と簡潔な説明が中心である。契約法理の理論や正当化をめぐる議論は、謳われている特徴には含まれていないため、法改正をめぐる小論文を書く学生は、より内省的なテキストと併せて読むとよいだろう。
- 分量。 目次は索引の前まででおよそ685ページあり、初めての授業で読むには多い。四部構成は、何を学ぶかを選ぶ助けになる。
- 一部の支援はデジタル版のみ。 動画、自己点検問題、解答の手引きは電子書籍とLaw Troveの機能とされているため、紙の版だけの読者は利用できない。
コースにおける位置づけ
Poole's Textbook は、この書籍リストの契約法の本の中で、イングランド契約法の授業が確立した順序に最も密接に結びついており、主たるテキストとして適している。Chen-Wishart の Contract Law は同じ範囲を扱うが、図解が多く、規則の背後にある価値と論争により関心を向けた本として紹介されているので、小論文や法改正の問題の相棒としてよい。R. Taylor と D. Taylor の Contract Law(Oxford の Directions シリーズ)は、ハイライトされた判例抜粋と自己点検の仕掛けを備えた、より平易な入門書であり、本書の前の最初の読書に向いている。
Anson's Law of Contract は定評ある概説書(treatise)で、授業の教科書というより、詳細な権威を調べるために使う。Burrows の A Casebook on Contract は申込みと承諾から始まる一次資料を提供し、Stephen Smith の強迫に関する論文は理論的な研究として第10章を補う。
本書の使い方
本書は、イングランド契約法を初めて学ぶ学部生、そして規則を商業的な場面に位置づけた体系的な説明を求める読者のために作られている。章がふつうのシラバスとよく対応しているので、授業の背骨として使える。
実践的な進め方は次のとおりである。
- 中核: まず第1部と第3部を読んで、契約の成立と合意が成り立たなくなる根拠を理解し、続いて条項を扱う第2部と、終了と救済を扱う第4部を読む。第1章は全体への序論である。
- 授業の中での順序: 契約関係の相対性を扱う第7章は第2部にあり、内容と解釈の章と並んでいる。授業が第三者の権利に進んだときに読むとよい。
- 演習: 章ごとの要約を復習のアウトラインとして使い、各章末の問題に取り組み、参考文献案内に沿って小論文の主題を調べる。出版社が挙げる三つの新しい判例(Kajima、Phillip v Barclays、SFL Ace 2)は、関連する章とあわせて読み、最近の権威がどう使われるかを確かめる。
