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International Commercial Litigation: Text, Cases and Materials on Private International Law(国際商事訴訟:国際私法のテキスト・判例・資料) cover

法学

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International Commercial Litigation: Text, Cases and Materials on Private International Law(国際商事訴訟:国際私法のテキスト・判例・資料)

Trevor C. Hartley

英語原題: International Commercial Litigation: Text, Cases and Materials on Private International Law

Trevor Hartley による、商事事件における国際私法のテキスト・判例・資料集である。解説と判決や立法の抜粋を組み合わせ、イギリス法とEU法を中心に据えつつ、国際裁判管轄、準拠法、外国判決の効力について米国やコモンウェルス諸国のアプローチとも比較している。

前提知識: 契約法と不法行為法を学び、イギリスの裁判制度に通じていることが望ましい。EU法の入門的知識もあると役立つ。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
conflict of lawsprivate international lawjurisdictionchoice of lawforeign judgments教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Hartley, T. C. (2020). International Commercial Litigation: Text, Cases and Materials on Private International Law (3rd ed.). Cambridge University Press.

章の要約

第3版は5部30章からなる。第I部 Starting Off、第II部 Jurisdiction、第III部 Foreign Judgments、第IV部 Procedure、第V部 Choice of Law である。出版社は、本書を全面的に改訂され再構成された教科書で、比較法的な立場をとるものと説明する。中心はイングランド法とEU法で、米国法とコモンウェルス諸国の法も広く扱い、解説と並んで主要な判例や立法からの抜粋が収められている。欧州国際私法学会(EAPIL)のブログの紹介者は、本書を教科書と判例集の混合であり、国際民事手続を中心に据え、最後の部で準拠法を扱うものと述べている。

第I部 第1章:Introduction(序論)

第I部「Starting Off」は、「Introduction」と題された1章だけからなる。

第II部 第2〜12章:Jurisdiction(管轄)

第II部は最も長く、11章からなる。第2章は管轄を一般的に分析する。第3〜5章はEU法上の管轄を扱い、一般規則、特別管轄、純粋な経済的損失の問題を論じる。純粋な経済的損失の問題は、出版社が主要な更新点として挙げているもので、不法行為の管轄に関する欧州連合司法裁判所の一連の判決を指し、その多くが投資損失に関わる。第6章は伝統的なイングランドの規則を示し、第7章は米国法の概説を与える。第8章は裁判所選択合意を扱う。第9章と第10章は管轄の衝突を取り上げ、まずコモン・ロー型の取り組みを、次いでEU型の取り組みを見る。部の最後に、製造物責任(第11章)と名誉毀損(第12章)という二つの特別なテーマが置かれる。

第III部 第13〜17章:Foreign Judgments(外国判決)

第III部は序論(第13章)で始まり、EU法における外国判決(第14章)を扱ったのち、イングランド法について「English Law: Jurisdiction」(第15章)と「English Law: Defences」(第16章)の2章を置く。最後は「US law: Some Highlights」(第17章)である。

第IV部 第18〜20章:Procedure(手続)

手続の部は、資産の凍結(第18章)と、外国での証拠収集を、法廷地の手続の観点(第19章)と国際協力の観点(第20章)から扱う。

第V部 第21〜30章:Choice of Law(準拠法)

最後の部は準拠法の序論(第21章)で始まり、不法行為(第22章)と契約を扱う。契約については、当事者自治の原則(第23章)、法政策と準拠法(第24章)、コモン・ロー諸国における事業の規制、被用者の保護、消費者の援助(第25章)が続く。さらに外国通貨(第26章)と有体動産(第27章)が続き、契約上の権利と財産上の利益に関する3章(第28〜30章)で本書は終わる。

主要概念

第II部:管轄

  • EU法上の管轄:加盟国の裁判所が事件を審理するかどうかを決める一般規則と特別規則で、第3〜5章で扱われる。
  • 純粋な経済的損失:請求者の損失が経済的なものである場合に、不法行為について管轄をどう認めるかという問題で、第5章の主題。
  • 裁判所選択合意:当事者の合意が法廷地に及ぼす効果で、第8章。
  • 管轄の衝突:複数の国の裁判所が同じ紛争を審理しうる場合に何が起こるかという問題で、第9章と第10章。

第III部:外国判決

  • 外国判決:他国で下された判決がいつ効力を認められるか。EU法とイングランド法のもとで扱われ、抗弁は別に検討される。

第IV部:手続

  • 資産の凍結:被告による資産の散逸を防ぐ命令で、第18章。
  • 国外での証拠:当事者が他国から証拠をどう得るか。法廷地の手続と国際協力の双方から検討される。

第V部:準拠法

  • 当事者自治:契約の当事者が、契約を支配する法を選べるという原則で、第23章。
  • 契約の準拠法における法政策:被用者と消費者の保護や事業の規制を準拠法の規則がどう扱うか。第24〜25章。
  • 財産と契約上の権利:有体動産と、契約から生じる権利についての準拠法規則で、第27〜30章。

批判的分析

長所

  • 比較法的な枠組み。 出版社は、イングランド法とEU法に加えて米国法とコモンウェルス法を広く扱うことを強調しており、EAPILの紹介者も、EU、イングランド、米国の立場が体系的に示されていると述べる。第7章(米国法の概説)や第17章(外国判決に関する米国法)は、比較が構成に組み込まれている様子を示している。
  • 本文と抜粋の併用。 本書は解説と判決・立法からの抜粋を組み合わせており、出版社はこれを、条文の背後にある考え方の説明に加えて、訴訟実務家の実際的な必要にも応えるものと位置づけている。
  • 手続と準拠法を一冊に。 管轄と判決のほか、資産凍結命令、国外での証拠、準拠法の一つの部まで含まれているので、国境を越える訴訟の科目は、紛争の全過程を一冊でたどれる。
  • 具体的な更新。 出版社によれば、第3版は欧州連合司法裁判所、最高裁判所を含むイングランドの裁判所、米国連邦最高裁判所の新しい判例を加え、更新情報を載せたコンパニオン・ウェブサイトも備える。

短所

  • EUの枠組みの時期的な古さ。 本版は2020年10月、すなわち2020年12月31日のブレグジット移行期間の終了前に刊行された。出版社はEU法を本書の二つの中核分野の一つと位置づけているので、EUの規則に関する記述は、その後の変化を反映できなかった。現在イングランドで何が適用されるかは、読者が確認しなければならない。
  • 主題の全体像ではない。 タイトルと目次は商事訴訟への焦点を示している。目次には家族法や相続の章がないので、最も広い意味での国際私法の科目には別のテキストが要る。
  • 主題の順序。 準拠法は最後(第21〜30章)で、管轄、判決、手続の後に置かれているので、準拠法を先に教える科目は、本書を順序を変えて読むことになる。

コースにおける位置づけ

ハートリーの本は、このコースにおける、商事事件の国際私法を扱うテキスト・判例・資料集である。エイドリアン・ブリッグスのThe Conflict of Lawsは、歴史的、経済的、人権の観点を取り入れ、管轄、準拠法、判決の承認を扱う学部レベルの入門書で、この分野との最初の出会いに向き、抜粋を軸とするハートリーの比較法的アプローチを補う。デイヴィッド・マクリーンのMorris: The Conflict of Lawsは、イングランドの裁判所が適用する同じ主題を扱う学生向けの教科書で、イングランドの規則にとどまる科目にはより近い代替となる。

本文を超えて掘り下げるには、ブリッグスのPrivate International Law in English Courtsがある。これは単著の体系書で、第2版は英国のEU離脱後の法を説明するために作り直されており、離脱後の状況が重要な箇所でハートリーを補う。Cheshire, North and Fawcett: Private International Lawは、管轄、準拠法、判決に関する長い伝統をもつ体系書で、家族法、財産、相続にも及ぶ。これらはハートリーの目次が扱わない分野である。

本書の使い方

対象は、国際私法や国際訴訟を学ぶ学部生と大学院生、そして主要な先例の抜粋を一か所で見たい実務家である。契約法と不法行為法の学習、およびイングランドの裁判制度への理解は、不法行為の管轄や契約の準拠法を論じる本書にとって適切な前提である。

実際的な進め方は次のとおり。

  • 中核: 第II部(管轄)を順に読む。後の部がこれを土台にするからである。EUとイングランドの章(第3〜6章)と管轄の衝突の扱い(第9〜10章)が、最初の科目の骨格となる。
  • 続いて: 第III部(外国判決)と、不法行為と契約に関する準拠法の章(第22〜24章)。
  • 任意または選択的に: 比較法的でない科目なら米国法の章。製造物責任と名誉毀損の特別テーマ(第11〜12章)、手続の部(第18〜20章)、外国通貨と財産に関する後半の準拠法の章(第26〜30章)。

抜粋は、解説の代わりにではなく、解説と併せて読むこと。また、管轄と判決に関するイングランドの現行法は、2020年以降の立法と判例に照らして確かめる必要がある。