索引 / 001 JA
Cheshire, North & Fawcett: Private International Law(チェシャー・ノース・フォーセット国際私法) cover

法学

法学

Cheshire, North & Fawcett: Private International Law(チェシャー・ノース・フォーセット国際私法)

Paul Torremans; Uglješa Grušić; Christian Heinze; Louise Merrett

英語原題: Cheshire, North & Fawcett: Private International Law

長い伝統を持つイングランドの国際私法の体系書で、現在は専門家チームが執筆しています。民事・商事、家族法、財産と相続にわたる管轄権、準拠法選択、外国判決の承認と執行に関するイングランドとウェールズの規則を解説し、執筆時点で効力を有していた欧州の法令を詳細に扱います。

前提知識: 契約法、不法行為法、財産法、家族法の学習に加え、ある程度のEU法の知識を前提とします。

難易度レベル
上級
学術レベル
大学院
conflict of lawsprivate international lawjurisdictionchoice of lawforeign judgments教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Torremans, P., Grušić, U., Heinze, C., & Merrett, L. (2017). Cheshire, North & Fawcett: Private International Law (15th ed.). Oxford University Press.

章の要約

第15版は約1,400ページの体系書で、章が六つの部に分かれている。編者は研究者のチームで、ジェームズ・J・フォーセットが顧問編者を務める。出版社は、学生だけでなく実務家も対象とする書として紹介している。

第I部:序論(第1~2章)

冒頭の章では、国際私法の定義・性質・範囲を扱い、続いてその歴史的発展と現在の諸理論を取り上げる。

第II部:予備的論点(第3~9章)

この科目全体に繰り返し現れる概念を扱う7章。性質決定、付随問題、反致、実体と手続、外国法の証明、外国法の排除、住所・国籍・常居所である。

第III部:裁判管轄、外国判決および仲裁判断(第10~18章)

手続面の最も大きなまとまり。まずイングランド裁判所の管轄の導入があり、次にブリュッセル/ルガノ体制のもとでの管轄、伝統的規則による管轄、訴訟の停止と並行手続の管理、管轄の制限が続く。後半は承認・執行で、導入、伝統的規則、ブリュッセル/ルガノ体制、外国仲裁判断を扱う。出版社は、2015年に施行された改正ブリュッセルI規則を主要な更新点として挙げている。

第IV部:債務法(第19~20章)

契約と契約外債務の2章で、債務法における準拠法の問題を扱う。

第V部:家族法(第21~28章)

婚姻およびその他の成人間の関係、婚姻関係事件、確認宣言、財産的救済、子、国境を越えた代理出産、嫡出性・認知・養子縁組、精神的無能力。

第VI部:財産法(第29~37章および信託の章)

動産と不動産の区別に始まり、不動産、有体動産の移転、無体動産の譲渡、法人、倒産、遺産管理、相続、夫婦財産、信託を扱う。(出版社の目次では最終章である信託の章番号が不規則に付されているため、巻末付近の章番号は手元の版で確認すること。)

主要概念

第I~II部:基礎と予備的論点

  • 性質決定:国際的要素を含む問題がどの法的カテゴリーに属するかを定める作業で、準拠法の選択に先立つ。
  • 反致:外国法への指定がその法体系の抵触規則を含むかという問題。
  • 付随問題:事件の中の副次的な論点で、主たる論点とは別の法によって判断される場合がある。
  • 住所・国籍・常居所:諸規則が用いる連結点。

第III部:管轄、判決、仲裁判断

  • ブリュッセル/ルガノ体制と伝統的規則:イングランドの裁判所が管轄を決め、判決を承認する二つの経路。
  • 訴訟の停止と並行手続:複数の法廷地で手続が始まった場合の裁判所による調整。
  • 承認と執行:外国判決や仲裁判断がイングランドで効力を持つための条件。

第IV~VI部:債務、家族、財産

  • 契約上および契約外の債務:契約、不法行為などの請求に関する準拠法の選択。
  • 国境を越える家族法:婚姻、財産的救済、子、代理出産、養子縁組。
  • 動産と不動産:財産規則の構造を決める区別で、相続、倒産、信託には独立の章がある。

批判的分析

長所

  • 幅広さ:管轄、判決、債務、家族法、財産法を一冊で扱っている。六部構成により、他の部を読まずに必要な分野へ直接進める。
  • 専門分野ごとの執筆陣:出版社は、イングランド、スコットランド、ドイツ、スペインなどの大学に所属する9名の研究者が編者として加わっていると紹介している。複数の異なる分野にまたがる本書に適した体制である。
  • 学生向けと実務向けの両面:出版社は、厳密な学術的叙述であると同時に実務上の手引きでもあると説明し、管轄とその限界、訴訟の停止、訴訟差止め、判決の執行といった商事上の主題に特に力を入れているとする。

短所

  • 分量:約1,435ページの参照書であり、一つの講義の中で通読することを想定した本ではない。
  • 刊行時期:2017年版であり、英国のEU離脱前に出ている。ブリュッセル/ルガノ体制の章は当時有効だった制度を説明しているため、離脱後の管轄・判決に関する規則については別の資料が必要である。
  • 章番号:出版社の目次には財産法の部の末尾に不規則な点があり、最後の章への相互参照は本書自体で確認する必要がある。

コースにおける位置づけ

本書は、この科目の一覧にあるイングランド法の抵触法の書物の中で最も包括的である。ブリッグズの The Conflict of Laws と Private International Law in English Courts は同一の著者による単著で、後者は英国のEU離脱後の法を説明するために書き直されている。マクリーンが編集する Morris: The Conflict of Laws はJ・H・C・モリスの伝統に連なる学生向けの教科書であり、ハートリーの International Commercial Litigation は商事問題を扱う判例・資料集形式の書物で、イングランド法とEU法を米国や英連邦諸国の取扱いと比較している。

チェシャー、ノース&フォーセットは、より短い教科書で枠組みをつかんだ後に参照する書物であり、商事訴訟中心の書物が扱わない家族法や財産法の分野まで及んでいる点が特徴である。

本書の使い方

国際私法の入門的な講義を終え、レポート、論文、模擬裁判のために詳しい参照書を必要とする学生や、管轄と執行について詳細な説明を求める実務家に向いている。契約法、不法行為法、財産法、家族法の学習と、EU法の知識が前提とされている。

実践的な進め方は次のとおり。

  • 中核:第II部(予備的論点)、次いで第III部(管轄と判決)、第IV部(債務)。多くの講義で試験範囲となる分野である。
  • 必要に応じて:第V部(家族法)と第VI部(財産法)。講義や研究課題がそれらに及ぶときに読む。相続や信託の章は独立しているので単独で読める。
  • 参照用:第I部は理論を扱う。講義が理論を重視する場合は、第2章(歴史的発展と現在の諸理論)を短い教科書と併せて読む。
  • EU体制に関わる事項は、本書が英国のEU離脱前の版であるため、最新の資料で確認すること。