01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Schütze, R. (2025). European Union Law (4th ed.). Oxford University Press.
章の要約
目次には番号付きの項目が二十一ある。三つの部に分かれた十九の章、ブレグジットについてのエピローグ、そしてEU法の学び方についての付録である。本文は索引の前まででおよそ980ページである。出版社は、連合の憲法的基礎、法的な権限、実体法を検討する特徴的な三部構成を説明しており、親しみやすい文体で書かれ、概念や過程を明らかにする多数の図表を備えているという。参照できるのは章題と各部のページの開始位置だけなので、以下の要約は章題から範囲を述べるにとどめる。
第1部 憲法的基礎(第1~6章、1~238ページ)
約240ページの第1部は、憲法秩序としての連合を扱う。第1章「憲法史:パリからリスボンへ」は諸条約をたどる。第2章「憲法的性質:国家の連邦」は、連合がどのような存在かを取り上げる。第3章と第4章「統治構造:連合の機関 I」「同 II」は機関を扱う。第5章と第6章「欧州法 I:性質――直接効果」「欧州法 II:性質――優越性/先占」は、連合法が各国の法秩序の中でどのように機能するかを検討する。
第2部 統治の権限(第7~12章、239~522ページ)
約280ページの第2部は、連合の権限を機能ごとにたどる。第7章は「立法権:権限と手続」、第8章は「対外権限:権限と手続」、第9章は「執行権:権限と手続」である。第10章と第11章「司法権 I:(集権的)欧州の手続」「司法権 II:(分権的)国内の手続」は、EU司法裁判所と国内裁判所を扱う。第12章「権限の制約:EU基本権」は、連合の権限に対する制約を考察して、この部を締めくくる。
第3部 実体的政策(第13~19章、523~924ページ)
約400ページの第3部は最も大きい。まず二つの章で物の自由移動を扱い、「自由移動:物 I――消極的統合」と「物 II――積極的統合」(第13~14章)、続いて「自由移動:人――労働者とその先」(第15章)と「自由移動:サービスと資本」(第16章)がある。第17章「EU競争法:私企業」は競争規則を扱う。第18章と第19章「EUの内部政策:概観」「EUの対外政策:概観」は、連合の他の政策の概観を示す。
第20章と付録(925~980ページ)
第20章「エピローグ:ブレグジットと連合――過去・現在・未来」(約40ページ)は、英国の離脱と連合の将来を検討する。第21章「付録:EU法の学び方」(約15ページ)は、出版社によれば、学生が一次・二次の法的資料を見つけ、読むのを助ける実践的な付録である。
主要概念
第1部:憲法的基礎
- 連合の憲法的性質:国家の連邦としての連合(第2章)。
- 連合の機関:統治構造(第3章と第4章)。
- 直接効果:欧州法の性質の第一の側面(第5章)。
- 優越性と先占:その性質の第二の側面(第6章)。
第2部:統治の権限
- 権限と手続:立法権、対外権限、執行権がどのように配分され行使されるか(第7~9章)。
- 集権的および分権的な司法手続:欧州の裁判所での手続と国内裁判所での手続(第10章と第11章)。
- 権限の制約としてのEU基本権:第12章。
第3部:実体的政策
- 消極的統合と積極的統合:物の自由移動への二つのアプローチ(第13章と第14章)。
- 人、サービス、資本の自由移動:第15章と第16章。
- 競争法:私企業に対する規則(第17章)。
- ブレグジット:エピローグ(第20章)の主題。
批判的分析
長所
- 明快な構造。 三つの部は、連合がどのような秩序か、どのような権限を持ちどう使われるか、政策が何を求めるか、という三つの問いに順に答えている。
- 機能ごとに整理された権限。 立法、対外、執行、司法の権限を別々の章で扱うことは、連合の機関と手続を示す特徴的な方法である。
- 視覚的・実践的な支援。 出版社は多数の図表と、法的資料の探し方と読み方についての付録を挙げており、条約の条文や判例を読むことに不慣れな学生の助けになる。
- 単著としての一貫性。 著者はダラム大学とLUISSの欧州・比較法教授で、ブリュージュの欧州大学院の客員教授でもあり、一人の著者が書いているので、各部を通じて一つの論旨を保てる。
短所
- 分量。 本文は索引の前まででおよそ980ページあり、一つの科目には必要以上であろう。
- 政策の扱いは概観のみ。 物、人、サービスと資本、そして競争法のほかは、目次には他の政策分野の個別の章でなく、内部政策と対外政策についての二つの概観の章が挙げられている。特定の政策分野を深く学ぶ授業では、別の資料が必要になるかもしれない。
- 実体法が後に来る。 域内市場の章は、憲法秩序と権限についての二つの長い部の後、523ページで始まる。物の自由移動から始める授業では先に飛ぶ必要があり、順に読む学生は実体法に至る前に多くの機構法を抱えることになる。
コースにおける位置づけ
Schütze の本は、Barnard と Peers の編著 European Union Law に対する単著の対応物である。憲法的基礎、権限、政策という順に素材を整理するのに対し、Barnard と Peers は主題ごとに配置され、保健法、消費者法、刑事法などの専門的な政策分野に独立の章を設けている。Foster の EU Law Directions はこの科目を初めて学ぶ学生向けの入門的な選択肢であり、Horspool、Humphreys、Wells-Greco の European Union Law は簡潔な Core Text である。
Craig と de Búrca の EU Law: Text, Cases and Materials は判決と学術文献の抜粋を加える。Lenaerts と Van Nuffel の European Union Constitutional Law は連合の憲法・機構法についての体系的な概説書(treatise)で、Schütze の最初の二つの部と重なる範囲を扱う。
本書の使い方
出版社は、本書を包括的で批判的な教科書、また欧州法の学習への徹底した現代的な案内として紹介している。独自の構造をもつ、議論の長いテキストを読む意欲のある学生に向いている。
実践的な進め方は次のとおりである。
- 付録から始める。 第21章「EU法の学び方」は短く、条約の条文、立法、判例、解説の探し方と読み方を示す。
- 中核: 憲法的基礎の第1部、特に直接効果と優越性を扱う第5章と第6章、続いて立法権と基本権の第7章と第12章。域内市場から始める授業は、第13~17章を早めに読むこともできる。
- シラバスに応じて: 対外権限、執行権、二つの司法手続の第8~11章と、他の政策を扱う第18章と第19章は、授業の必要に応じて読めばよい。ブレグジットのエピローグは最後に回せる。
- 演習: 図表で機構と手続を復習し、条約と判例への参照を本文と照らして読む。
