01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Watt, G. (2025). Equity & Trusts Law Directions (8th ed.). Oxford University Press.
章の要約
第8版は約570ページ、20章からなり、部の区分はない。構成は、エクイティと信託の性質から始まり、有効な信託を設定するための要件、目的信託と公益信託という特別な類型、受託者の職務と義務、信託違反、明示の宣言なしに生じる信託、財産と第三者に対する救済を経て、最後に信託以外のエクイティの法理と救済へと進む。以下のまとまりは見通しをよくするためのものにすぎず、本書自体は章を通し番号で並べている。出版社は Directions シリーズの方法を、場面を設定する導入、強調表示された判例の抜粋、主要な論点の紹介、自己テスト機能、さらに先へ進むための手引きとして説明している。著者の Gary Watt はウォリック大学の教授で、National Teaching Fellow であり、OUP からより詳しい Trusts & Equity も出している。
第1~2章:エクイティと信託への導入/信託を理解する
冒頭の二章は、形式的な要件を論じる前に、法の一分野としてのエクイティと、その最も重要な産物である信託を紹介する。
第3~6章:能力と方式の要件/確定性の要件/信託の設定(constitution)/信託の設定に対する公序による制限
明示信託の設定の中核部分である。誰がどのような形式で信託を設定できるか、有効な信託に必要な確定性、財産がどのようにして信託財産となるか、そして公序が信託にできることに課す限界を扱う。出版社による本版の紹介は、税務当局から富を隠すための「極めて裁量的な信託(massively discretionary trusts)」や仮装信託の利用、および自らの違法性に汚染された訴訟で請求者が回復できるかに関する最高裁判所の判断に触れている。
第7~9章:目的信託/公益信託/信託の変更
特定された人のための信託という通常のモデルから外れる信託を扱う三章である。第7章は目的信託、第8章は公益信託を扱い、出版社によれば本版は政治的論争が公益信託の資金調達に及ぼす影響を取り上げている。第9章は既存の信託の条項をどのように変更できるかを扱う。
第10~14章:受託者の選任/受託者の地位の性質/受託者の義務/扶養と前払い/投資
受託者に関する五章で、受託者の選任方法、受託者という職務の性質、それに伴う義務、受益者の扶養や前払いのために信託財産を用いる権限、そして投資を扱う。新版は信託による倫理的投資と、信認義務と注意義務の関係に関する控訴院の判断を取り上げている。
第15章:信託違反:抗弁と救済
信託違反の効果と、受託者が利用できる抗弁および責任の免除を扱う。出版社は、同一の取引から信認関係上の利得と過失による損失が生じた場合の救済に関する新しい記述に言及している。
第16~17章:復帰信託と擬制信託/土地の非方式信託
明示の宣言なしに生じる信託である。第16章は復帰信託と擬制信託を一般的に扱い、第17章は土地の非方式信託にあてられる。これは共有の住居をめぐる多くの紛争を規律する法分野である。
第18~19章:追及(tracing)/信託に対する第三者のエクイティ上の責任
事態がうまくいかなかったとき、信託財産と部外者に何が起こるかを扱う二章である。代替資産への追及と、受託者でない者のエクイティ上の責任を扱う。本版は資金の追及における暗号資産の問題と、検察庁(CPS)が没収しようとした不当な信認上の利得を善意の請求者が回復できるかに関する最高裁判所の判断を加えている。
第20章:エクイティ:法理と救済
本書は信託の外にあるエクイティ、すなわちその法理と救済で締めくくられる。出版社は、暗号資産と合意の特定履行に関する新しい記述に言及している。
主要概念
第1~9章:エクイティ、信託とその設定
- エクイティ:コモン・ローとは区別される規則と救済の体系で、信託はそこから発展した。
- 方式と能力:誰が信託を設定できるか、また一部の信託に必要な形式的手続。
- 確定性の要件:明示信託が満たさなければならない確定性の条件で、第4章の主題である。
- 設定(constitution):財産が実際に信託として保有されるに至る段階。
- 目的信託と公益信託:人ではなく目的のための信託と、公益団体のための特別な制度。
- 信託の変更:既存の信託の条項を変更する方法。
第10~15章:受託者の地位と違反
- 受託者の地位:選任と義務について独自の規則を持つ職務。
- 扶養と前払い:受益者が完全な権利を取得する前に信託財産を用いる権限。
- 投資:受託者の投資方法を規律する義務で、倫理的投資の問題を含む。
- 信託違反:違反に対する責任と、利用可能な抗弁および救済。
第16~20章:黙示の信託、救済、信託を超えるエクイティ
- 復帰信託と擬制信託:宣言されるのではなく、法によって課され、または推定される信託。
- 土地の非方式信託:正式な書面なしに生じる、典型的には住居である土地の信託。
- 追及:代替物の中に信託財産を特定すること。
- 第三者の責任:信託財産や違反に関与した第三者のエクイティ上の責任。
- エクイティの法理と救済:信託の外での特定履行などのエクイティ上の救済。
批判的分析
長所
- 細かく分かれた章立て。 一つの科目に20章を割いているため、確定性や設定から追及や第三者の責任まで、授業で扱われそうな論点のそれぞれに独自の章がある。学生は目次からゼミの論点を直接見つけることができる。
- 最新の内容。 第8版は最近の動向に取り組んでいる。追及と特定履行における暗号資産、税から富を守るために使われる裁量信託や仮装信託、倫理的投資、そして信認義務、違法性、没収に関する控訴院と最高裁判所の最近の判断である。
- 教育で知られる著者。 Watt は2009年に Law Teacher of the Year に選ばれ、2010年に National Teaching Fellow となった。Directions シリーズの特徴(場面を設定する導入、強調表示された判例の抜粋、自己テスト)は、この科目に初めて触れる学生向けに設計されている。
- 土地の信託に独立した注意。 復帰信託や擬制信託一般とは別に、土地の非方式信託に丸ごと一章をあてることで、共有住居をめぐる事件に独自の場が与えられている。
短所
- 信託以外のエクイティが圧縮されている。 エクイティの法理と救済は最終章の一章にまとめられているため、差止命令、特定履行、取消、エクイティ上の禁反言に多くの時間を割く授業では、より詳しい記述が必要になる。
- 信認関係に関する独立した章がない。 信認義務はどの章題にも現れず、出版社の紹介でも受託者の義務と違反との関連でしか登場しない。信認法を独立した論点として扱う授業では補足が必要かもしれない。
- 短くはない。 約570ページという分量は最初の授業には相当な読み物であり、同じシリーズの Contract Law の巻(約460ページ)よりも長い。
コースにおける位置づけ
本書と Penner の The Law of Trusts は、このコースのリストにおける二つの入口である。Watt の本は信託がどのように設定され管理されるかを軸に構成され、この科目に初めて触れる学生向けに作られている。Penner の Core Text はより短く概念的な本で、信託法の論争に取り組んでいる。この科目を難しいと感じる学生は Watt から始め、その後で議論を求めて Penner を読むことができる。
Graham Virgo の The Principles of Equity and Trusts と Alastair Hudson の Equity and Trusts は、より深さを求める学生のためのより詳しい教科書である。Virgo は法を述べた上でその政策と理論を検討し、Hudson は信託を家族の住居から金融市場に至る社会的・商業的な場面の中に位置づける。Hanbury & Martin: Modern Equity は学術的な議論に深く関わる詳細な体系書であり、Snell's Equity は裁判所にも引用される実務家向けの体系書である。いずれも参照、卒業論文、特定の論点のためのもので、最初の授業で通読するものではない。
本書の使い方
本書は、エクイティと信託を初めて学ぶ学部生と、法学転換課程の学生のために書かれている。エクイティを事前に学んでいることは前提とされていないが、1年次の法学で学ぶ財産法と契約法の基本概念があると役に立つ。
実際的な計画:
- 授業が始まる前に第1章と第2章を読む。 これらの章は、後のすべての章が依拠するエクイティと信託の語彙を整える。
- 第3~6章を第1学期の中核とする。 方式、確定性、設定、公序による制限は明示信託の基本要素であり、ほとんどの事例問題に登場する。
- 残りは授業の順序に従う。 受託者の地位(第10~15章)を復帰信託・擬制信託(第16~17章)の前に教えるか後に教えるかは授業によって異なるが、各章は十分に独立しており、どちらの順序でも読める。
- 第17章は土地法の授業と組み合わせる。 住居の非方式信託は二つの科目の間にまたがっているからである。
- 各章の後で自己テスト機能を使い、 試験に出る論点については主要判決そのものにあたる。本書が示すのは判決全文ではなく強調表示された抜粋だからである。
- 授業でエクイティ上の救済に数週間を割く場合は、 第20章をより詳しい教科書で補う。
