01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Virgo, G. (2026). The Principles of Equity and Trusts (6th ed.). Oxford University Press.
章の要約
本書は八部、二十章に加え、用語集、参考文献、索引からなり、約800ページである。出版社は、本書を、明快な法理の叙述と、主要な判決をより広い法的・実務的な文脈に位置づける解説とを組み合わせた、文脈を重視し批判的に取り組む記述として紹介している。第6版は大幅に書き直されたとされる。参照できるのは章題とページの開始位置だけなので、以下の要約は章題と出版社の説明から範囲を述べるにとどめる。
第1部 エクイティ(第1~3章)
第1章「エクイティへの序論」、第2章「エクイティの特徴」、第3章「信託への序論」で本書が始まる。出版社によれば、エクイティの中核的な属性の分析では、エクイティがコモン・ローをどう修正するか、裁量がどう働くか、非良心性がどう機能するかがより詳しく検討されており、説明にはエクイティの歴史と現代における商業的な意義への言及もある。第2章は30ページから46ページ、第3章は47ページから82ページである。
第2部 明示信託(第4~5章)
第4章「明示信託の要件」と第5章「方式」は、信託がどのように設定されるかを扱う。出版社によれば、主要な章では土地の信託とエクイティ上の権益の処分に関する方式の要件が更新され、信託の議論には信託の濫用についての新しい節が加わっている。
第3部 目的信託(第6~7章)
「チャリティ信託」(第6章)と「非チャリティの目的信託」(第7章)は、個々の受益者のためでなく目的のために存在する信託を扱い、合わせて約70ページである。
第4部 課される信託(第8~10章)
「復帰信託」(第8章)、「擬制信託」(第9章)、「財産に関する非公式な取り決め」(第10章)は、法の作用によって生じる信託と、それを生じさせうる財産に関する非公式な取り決めを扱う。三つの章のうち第8章が最も長く、約50ページである。
第5部 受益者(第11章)
「受益者」の一章のみで、約30ページ。信託が保有される相手方である人々の権利を扱う。
第6部 受託者とその責任(第12~15章)
四つの章がある。「受託者」(第12章)、「信託の運営」(第13章)、「処分の権限と義務」(第14章)、「信認責任」(第15章)である。出版社によれば、この版では信認義務と信認責任が大幅に作り直されている。第15章は約50ページである。
第7部 信託の変更(第16章)
「信託の変更」は、信託の条件を変えることを扱う約12ページの短い章である。
第8部 信託違反と信認義務違反(第17~20章)
「信託違反および信認義務違反についての責任」(第17章)に、「対人的な請求と救済」(第18章)、「対物的な請求と救済」(第19章)、「第三者の対人的責任」(第20章)が続く。出版社によれば、対人的救済と第三者の責任の扱いは書き直されており、知情受領(knowing receipt)に改めて注意が払われている。また、新しい権威として Byers v Saudi National Bank、D'Aloia v Persons Unknown、2025年の Property (Digital Assets etc.) Act を挙げている。
主要概念
第1部~第3部:エクイティ、明示信託、目的信託
- エクイティとコモン・ロー:エクイティがコモン・ローをどう修正するか(第2章)。
- 裁量と非良心性:新版がより詳しく検討するエクイティの二つの特徴。
- 方式:信託の設定とエクイティ上の権益の処分のための要件。
- チャリティ信託と非チャリティの目的信託:目的のための信託の二種類(第6章と第7章)。
第4部~第7部:課される信託、受益者、受託者、変更
- 復帰信託と擬制信託:法の作用によって生じる信託(第8章と第9章)。
- 財産に関する非公式な取り決め:第10章。
- 処分の権限と義務、信認責任:第14章と第15章の受託者の責任。
- 信託の変更:第16章。
第8部:信託違反と信認義務違反
- 対人的請求と対物的請求:第18章と第19章の二種類の救済。
- 知情受領と第三者の責任:第20章の主題であり、新版で改めて注意が払われている点。
批判的分析
長所
- 法理と解説の両立。 出版社は、本書を、明快な法理の叙述と、主要な判決をより広い文脈に置く解説とを組み合わせたものと紹介している。法を適用することと論じることの両方を求められる学生に向いている。
- 明快な八部構成。 各部は、エクイティと信託から、設定、目的、課される信託、受益者、受託者、変更を経て、違反に対する救済へと進み、それぞれの部が別々の問いに答えている。
- 徹底した改訂。 第6版は大幅に書き直されたとされ、信託の濫用の新しい節、作り直された信認義務と信認責任、書き直された対人的救済と第三者の責任の扱いがあり、2025年に至る権威を引用している。
- 商業的文脈への注意。 説明はエクイティの現代における商業的な意義に触れており、目次も信認責任と第三者の責任に独立の章を与えている。
短所
- 分量。 約800ページあり、一つの科目には大部のテキストである。ただし部構成が、何を読むかの選択を助ける。
- 学習支援の記載が少ない。 出版社の説明は、章末問題、自己点検教材、オンライン資料に触れていないため、練習問題を求める学生は別の場所で探す必要がある。
- 大幅な改訂。 多くの章が書き直されているため、以前の版を使ったことのある読者は、その章立てがこの版と一致すると考えてはならない。
コースにおける位置づけ
Virgo の本は、このエクイティと信託のリストの主たる教科書の一つであり、単著として最も長いものと比べるとコンパクトである。Watt の Equity and Trusts Law Directions はこの科目を初めて学ぶ学生のために書かれており、科目に不慣れな場合はこちらのほうがよい出発点になる。Hudson の Equity and Trusts は二十七章の、より長い単著のテキストで、六つのエッセイの章と、差止命令および国際信託についての節を含み、より広い範囲と議論を求める読者の選択肢である。Penner の The Law of Trusts は、概念的な論争に持続的な注意を払う簡潔な Core Text であり、議論のために Virgo の本と併せて使える。
Snell's Equity と Hanbury and Martin: Modern Equity は定評ある概説書(treatise)で、詳細な権威や学術的な議論を調べるために使う。小論文の調査や発展的な学習に向いており、最初の読書には向かない。
本書の使い方
出版社は、本書を、エクイティと信託について文脈を重視し批判的に取り組む記述を求める学生のためのものとして紹介している。出版社の説明は、前提とする知識を述べていない。法理とそれをめぐる議論の両方を求める学生が履修するエクイティと信託の授業に向いている。
実践的な進め方は次のとおりである。
- 中核: 信託の概念と設定を扱う第1部と第2部(第1~5章)、復帰信託と擬制信託を扱う第4部(第8~10章)、受託者を扱う第6部(第12~15章)。これらが後の部の土台となる。
- 救済: 第8部(第17~20章)は、受託者の義務を読んだ後で読むのがよい。救済は、違反された義務の上に成り立っているからである。
- 任意またはシラバスに応じて: 目的信託の第3部、受益者の第5部、変更の第7部は、授業がそこに達したときに読めばよい。巻末近くの用語集は用語の確認に役立つ。
- 演習: 出版社が挙げる新しい権威(Byers v Saudi National Bank、D'Aloia v Persons Unknown、2025年の Property (Digital Assets etc.) Act)を現在の読み物として使い、授業の事例問題を持ち込んで各部を試す。
