01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Allbon, E., & Kaur-Dua, S. (2024). Elliott & Quinn's English Legal System (22nd ed.). Pearson.
章の要約
本書は序論と5つの部からなり、前付には序文、判例表、制定法表、制定法関連資料表、そして判例・判例集・判例引用の手引きが並ぶ。Pearson の目次は各部の下に章を番号なしで挙げているため、ここでは章題で示す。本書は約790ページである。Pearson は、イングランドの法制度とその手続が日常生活のなかでどう機能するかを理論から実務まで扱うもので、「Bigger Picture」欄、「Key Case」の分析、章末の設問といった特色があると説明している。
序論
序論は、5つの部と、法源の章に先立って置かれている。
第1部:法源
この部は9つの章からなる。判例法(Case Law)、制定法(Statute Law)、制定法の解釈(Statutory Interpretation)、委任立法(Delegated Legislation)、欧州法(European Law)、慣習(Custom)、エクイティ(Equity)、条約(Treaties)、法改革(Law Reform)である。イングランド法がどこから生まれるかを、判例法と立法から制定法解釈や委任立法まで扱い、欧州法、慣習、エクイティ、条約を加えて、法改革で終わる。
第2部:法制度で働く人々
5つの章は、裁判官と治安判事(The Judges and Magistrates)、法律専門職(The Legal Professions)、陪審(The Jury)、司法行政(Administration of Justice)、法律サービスの費用負担(Paying for Legal Services)を扱う。この部は、法を適用し運営する人々と、法律サービスの費用がどう賄われるかを取り上げる。
第3部:人権
人権入門(Introduction to Human Rights)と人権侵害の救済(Remedies for Infringement of Human Rights)の2章が、人権の保護と、権利が侵害されたときの救済を説明する。Pearson の説明は、法、倫理、人権に関する時事的な論争に言及している。
第4部:刑事司法制度
この部は5つの章からなる。警察(The Police)、刑事裁判の手続(The Criminal Trial Process)、量刑(Sentencing)、少年司法(Youth Justice)、刑事上訴(Criminal Appeals)である。警察活動から上訴まで刑事手続を順にたどり、少年司法は独立して扱われる。
第5部:民事司法制度
最後の部は4つの章からなる。民事裁判の手続(The Civil Trial Process)、審判所(Tribunals)、代替的紛争解決(Alternative Methods of Dispute Resolution)、民事上訴と司法審査(Civil Appeals and Judicial Review)である。民事裁判所、その代替手段、不服申立ての経路を扱う。
主要概念
第1部:法源
- 判例法と制定法:イングランド法の二大法源。制定法の解釈と委任立法がそれを補う。
- エクイティと慣習:さらなる法源で、それぞれ独立した章で扱われる。
- 法改革:法がどう変えられるか。この部の最後の章。
第2〜3部:人々と人権
- 裁判官、治安判事、陪審:事件を判断する人々。
- 法律専門職と法律サービス:誰が法的助言を提供し、その費用がどう賄われるか。
- 人権侵害の救済:第3部の2つ目の章の焦点。
第4〜5部:刑事司法と民事司法
- 刑事裁判の手続、量刑、少年司法:刑事司法の段階と特別な制度。
- 審判所と代替的紛争解決:民事裁判の手続の外にある紛争解決の形態。
- 民事上訴と司法審査:判断に異議を申し立てる経路。
批判的分析
長所
- 5つの部による包括的な範囲。 構成は、法源、人材、人権、刑事司法、民事司法に及び、イングランド法制度の主要部分を1冊でたどれる。
- 学習のための特色。 Pearson によれば、「Bigger Picture」欄は法が機能する文脈を説明し、「Key Case」の分析は法原則を際立たせ、章末の設問は理解と、根拠を挙げて論じる力を試す。
- 記述だけでなく論争も。 Pearson は、内容が日常生活における法と法的手続の機能を分析し、法、倫理、人権に関する時事的な論争を含んでいて、批判的思考と議論の力を養うとしている。
- 定評のある教科書。 第22版に至っており、Pearson は何世代もの学生が頼りにしてきたと述べている。
短所
- 分量。 5つの部で約790ページあり、最初の講義には大きな本で、章を選んで読む必要がある。
- イングランドとウェールズの法。 本書はイングランドの法制度を扱っており、他の法域は扱っていないと思われる。他の地域の学生は現地の教科書が必要になる。
コースにおける位置づけ
Elliott & Quinn は、イングランドの法制度の主教材である。この一覧で最も近い代替は David Kelly の Slapper & Kelly's The English Legal System(第20版)で、議会や裁判所から裁判官、法律専門職、民事・刑事の手続まで、法源と制度を説明する本格的な教科書であり、制度が一般の人々にどう影響するかにも注意を払っている。どちらかを主教材とし、もう一方を別の見方を得るために使うこともできる。
技能に関する2冊が補完する。Charlotte Harrison と Amanda Millmore の Glanville Williams: Learning the Law(判例や制定法の読み方など、法学の学習の初めに必要な技能の手引き)と、Emily Finch と Stefan Fafinski の Legal Skills(制定法や判例の探し方と読み方、小論文、事例問題)である。最初の講義を超えてさらに読むなら、William Twining と David Miers の How to Do Things with Rules が規則とその解釈を論じ、Rosemary Hunter の論文 More than Just a Different Face? が裁判官の多様性と判断を検討している。
本書の使い方
本書は、イングランドの法制度の科目を履修する学生、多くは法学の学習の初期にある学生を対象としており、事前の法学の学習は前提とされていないと思われる。前付にある判例・判例集・判例引用の手引きは、初学者が引用を理解するのに役立つ。
実践的な進め方の例:
- 中核: 第1部(法源)、第2部のうち裁判官と治安判事および陪審の章、第4部と第5部(刑事司法と民事司法)。
- 人権: 第3部。人権とその侵害の救済を扱う2章。
- 選択的: 法律専門職、法律サービスの費用負担、法改革の章は、シラバスに応じて読む。
Key Case の分析は判例を覚えるために、章末の設問は小論文の練習に使うとよい。読み書きの技能については、上記の技能の手引きのどれかと併せて使う。
