01 / 研究論文
研究論文
引用
Hunter, R. (2015). More than just a different face? Judicial diversity and decision-making. Current Legal Problems, 68(1), 119–141. https://doi.org/10.1093/clp/cuv001. オープンアクセス(CC BY 4.0)。
章の要約
これは書籍ではなく、Current Legal Problems の講演に基づく23ページの学術論文である。問いは一つである。より多様な司法が実質的な判断に違いをもたらすという証拠はあるのか。Hunter の答えは、非伝統的な背景をもつ裁判官は明らかに異なる判断をしうるが、そうする意欲と能力は制約されている、というものである。制約のなかには避けられないものもあるが、不必要でよりよい判断のために取り除くべきものもある。
序論
論文は、イングランドとウェールズで近年進められてきた司法の多様化の取り組みから始まる。2006年に設けられた司法任命委員会、Neuberger 男爵夫人が議長を務めた司法多様性諮問パネル(2010年)、司法多様性タスクフォース、2011年の貴族院憲法委員会の調査、2013年の犯罪・裁判所法による多様性促進の法定義務である。そのうえで、これらの動きが提起する問いを、二つの契機から述べる。一つは、女性は異なる判断をするのかという Neuberger 卿の疑問で、そこから、学生が判決文の書き手の性別を当てる放送上の実験が行われ、結果は偶然以上のものではなかった。もう一つは、憲法委員会での Hale 判事の答えで、彼女は「フェミニスト判決プロジェクト」を指し示した。
Why Should We Want a More Diverse Judiciary?(なぜより多様な司法を望むのか)
Hunter は、文献に偏りがあり、女性裁判官に集中しているが、その論拠は他の形態の多様性にも当てはまると指摘する。彼女は六つの論拠を挙げる。三つは象徴的なものである。民主的正統性の向上、機会均等のシグナル、裁判官を志す人への励ましと指導である。二つは実際的なもので、女性裁判官は女性の当事者や証人により共感を持ち、法廷でのセクシズムをより許さないかもしれず、陰で男性の同僚を教育するかもしれない。六つ目は実質的なもので、女性裁判官は生活経験や「ケアの倫理」によってジェンダー化された感受性をもたらし、結果を変えうるというものである。実質的な違いに関するこれら二つの理論は、女性に本質的な特徴を想定しているとして批判される。
The Impossibility of Substantive Diversity(実質的多様性の不可能性)
この節は反対論を提示する。量的研究(多くは米国の裁判所を対象とする)は一定せず、裁判官の政治的立場などの要因を統制すると、性別による違いが見られないことが多い。説明としては、コモン・ローの司法イデオロギー(敬譲、先例、漸進主義)、女性に同調を迫る「差異の忌避」(Rackley の言う「人魚姫症候群」)、法的方法はフェミニストの視点に対して閉じているという見方がある。イングランドとウェールズ、およびオーストラリアでの聞き取り資料は、自発的な同調と強制された同調の両方を示している。
The Contingency of Substantive Diversity(実質的多様性の偶然性)
中心となる節は、違いは「ときに」生じるとし、どのような場面で生じるかを問う。三つの条件を挙げる。
- **信念。**裁判官がフェミニストであるときに、違いは生じやすい。フェミニスト判決プロジェクトは判決を書き直し、フェミニストの判決が法的にもっともらしくありうることを示すが、想定された裁判官が法廷での規律の圧力を十分には受けないため、その証拠力には限界がある。Hunter はまた、オーストラリアの裁判官41人への聞き取りを用いており、そのうち約3分の2は、フェミニストとして異なる判断をしていると考えていた。
- **機会。**多くの法域や事件ではほとんど余地がなく、大半の事件はジェンダーの問題を含まない。Neave 判事の204件のうち66件、Hale 判事の最高裁の326件のうち85件にジェンダーの問題があった。Hunter は、機会が多様な経験を最も必要とする事件に集中しており、裁判官は反対意見、同調意見、説得力のある主導判決を用いることができると論じる。フェミニストの判決はかなり正統的でもありえ、進歩的な立法に十分な効果を与えることもある。
- **期待。**役割が新しい視点をもたらすことを期待されている場合(Ruth Cowan が南アフリカについて述べるように)、違いは表現されやすくなる。
Conclusion(結論)
より多様な司法は、異なる判断を生みうるが、必ずしも生むわけではなく、機会が個人的な信念または外部からの励ましと結びついたときにのみ生じる。これは多様性を軽視する理由にはならない。多様性には他の根拠もあるからである。より公正な判断を得るには、制度は司法の違いを抑制する、あるいは単に容認する状態から、それを支える状態へと移り、違いを生み出す勇気をもつ裁判官を任命しなければならない。
主要概念
多様性の根拠
- 象徴的・実際的・実質的な論拠:多様な法廷を支持する六つの理由で、判断そのものに関わるのは最後の一つだけ。
- ジェンダー化された感受性:生活経験またはケアの倫理が裁判を形づくるという主張。
制約
- コモン・ローの司法イデオロギー:すべての裁判官を拘束する、先例、抑制、漸進主義などの共有された規範。
- 差異の忌避:非伝統的な裁判官が真剣に受け止められるために同調しなければならないという圧力。
違いが生じる条件
- 信念、機会、期待:裁判官の視点が判断を変えるかどうかを決める三つの要因。
- フェミニスト的裁判:単一の綱領ではなく、周縁化された経験、文脈、実質的平等への注意。
- フェミニスト判決プロジェクト:法がフェミニスト的アプローチを受け入れうるかを検証する書き直し判決。
批判的分析
長所
- **明快な枠組み。**六つの論拠と三つの条件により、整理されていない文献がレポートやゼミで使いやすくなる。
- **多様な証拠。**Hunter は、米国の量的研究、オーストラリアの裁判官への聞き取り、書き直しプロジェクト、そして自らが数えたジェンダー問題を含む事件の件数を組み合わせている。
- **限界への率直さ。**フェミニスト判決プロジェクトは実際の裁判の圧力を再現できないこと、機会は一部の事件にしか生じないことを認めている。
- **実際的な含意。**結論は、任命の基準、上訴裁判所の構成、司法の役割への期待に関わる。
短所
- **女性とフェミニズムへの焦点。**Hunter は既存の文献に偏りがあるため女性裁判官に集中すると述べており、人種、民族、性的指向に関する証拠は簡単に触れられるにとどまる。
- **選択的な証拠。**聞き取りの対象は、フェミニストを自認するか、フェミニスト・プロジェクトに話すことを望んだ裁判官で、1人を除きすべて女性である。事件の集計は2人の裁判官のものにとどまる。
- **講演という形式。**23ページの論文であり、議論は総合であって、主張を体系的に検証するものではない。
- **時期。**2015年の発表で、その後の実証研究や任命制度の展開より前のものである。
コースにおける位置づけ
このコースの図書リストの中で、Hunter の論文は教科書ではなく短い研究論文であり、最も専門的な一点である。Allbon と Kaur-Dua、および Kelly のイングランド法制度の教科書は、裁判官、任命、裁判所を説明しており、Hunter が前提とする制度を学ぶ場である。Williams の Learning the Law と Finch と Fafinski の Legal Skills は、判例の読み方やエッセイの書き方を教え、このような論文を扱うのに役立つ。Twining と Miers の How to Do Things with Rules は解釈の理論的な扱いで、ここでの法的方法の議論と並べて読める。
法制度の入門を読んだあとに、法的方法と推論に関する本とあわせて読むとよい。
本書の使い方
この論文は、法制度、法理学、あるいはジェンダーと法を学ぶ学生で、イングランドの裁判所と任命手続の仕組みをすでに知っている人に向く。
実際的な読み方:
- まず序論と結論を流し読みし、問いと答えを把握する。
- 六つの論拠を丁寧に読み、残りの部分が検証する実質的な論拠がどれかを確認する。
- 三つの条件を検討し、信念、機会、期待のそれぞれについて証拠を整理した表を作る。
- 脚注をたどり、このテーマで書く場合は、フェミニスト判決プロジェクトや Rackley、Kenney の著作に進む。
版と出典
本ガイドは正式な公刊版、すなわちユニバーシティ・カレッジ・ロンドン法学部を代表してオックスフォード大学出版局が刊行した Current Legal Problems 第68巻第1号(2015年)119〜141ページに基づく。これはクリエイティブ・コモンズ表示4.0ライセンスのオープンアクセス論文である。ガイドは全文に基づいており、ケント学術リポジトリ(https://kar.kent.ac.uk/71539/)に収められた写しを読んだもので、https://doi.org/10.1093/clp/cuv001 でも入手できる。脚注を含め論文全体を読んだ。
