01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
McMahon, R. J. (2021). The Cold War: A Very Short Introduction (2nd ed.). Oxford University Press. Very Short Introductions.
章の要約
第2版は本文約160ページの8章からなり、図版、地図、主要人物や文書を扱うコラム、章ごとに整理された文献案内、索引が付く。7つの章が第二次世界大戦から1990年までを年代順にたどり、1つの主題別の章が社会の内部への冷戦の影響を扱う。アメリカ外交史の歴史家であるマクマーンは、米ソの決定を形づくったのは経済的・領土的な野心よりもはるかに、認識された安全保障上の必要と恐れであったと論じる。出版社によれば、新版は最近の研究と新たに公開された文書を用いて、ベトナム戦争、1970年代のグローバルな政治、冷戦の終結をより詳しく分析している。
第1章:第二次世界大戦と旧秩序の崩壊
冒頭の章は、1945年の荒廃と戦前の国際体制の崩壊を描き、将来の超大国それぞれが戦争から引き出した教訓を説明する。マクマーンによれば、アメリカの政策決定者にとって戦争の教訓とは、国家の安全保障は広くグローバルに定義されねばならず、枢軸国がしたように敵対的な国家が自国を脅かすことを二度と許してはならないということであった。ソ連の見方は、戦争による荒廃、スターリンの支配、マルクス=レーニン主義のイデオロギーによって形づくられた。
第2章:ヨーロッパにおける冷戦の起源、1945〜50年
この章は戦時同盟の崩壊をたどる。東ヨーロッパとドイツをめぐる対立、1947年の封じ込め戦略、マーシャル・プランと、世界は今や二つの陣営に分かれたというソ連の応答、西ベルリンをめぐる対決、ブリュッセル条約、北大西洋条約である。マクマーンは、東ヨーロッパの大部分に押しつけられたソ連の帝国と、共通の安全保障上の懸念から生まれたパートナーシップに基づくアメリカの「招かれた帝国」とを区別する。
第3章:アジアにおける「熱戦」へ、1945〜50年
冷戦のアジアへの拡大が、アメリカによる日本の占領と復興、1949年の中国共産党の勝利、毛沢東の中国の支援を受けたフランス支配に対するベトナムの闘争の始まり、そしてアメリカ軍と共産主義勢力との最初の直接の軍事衝突となった1950年6月の朝鮮戦争の勃発を通じてたどられる。コラムではホー・チ・ミンが紹介される。
第4章:グローバルな冷戦、1950〜58年
朝鮮戦争は対立を激化させ、地理的に拡大させた。この章は、封じ込めの軍事化と西ドイツの再軍備、新たに独立した第三世界の国々への影響力をめぐる超大国の競争、中東(バグダッド条約とスエズ危機を含む)、フランス敗北後のインドシナ、そしてフルシチョフの秘密演説からワルシャワ条約機構とハンガリー動乱にいたるスターリン後のソ連圏を検討する。
第5章:対決からデタントへ、1958〜68年
マクマーンは1958〜62年を冷戦で最も危険な局面と呼ぶ。台湾海峡危機、U-2撃墜事件、ベルリン危機とウィーン首脳会談、そしてキューバ・ミサイル危機であり、その解決と、ソ連の核戦力増強や西側同盟に対するその帰結が詳しく検討される。章はその後、深まっていくアメリカのベトナム戦争と軍備管理への最初の動きをたどり、1968年のテト攻勢で終わる。
第6章:国内の冷戦
唯一の主題別の章で、二つの部分からなる。第一部は、第三世界における脱植民地化、国家形成、冷戦の地政学を扱い、超大国の対立を自らの目的のために利用しようとした第三世界の主体の能動性と、冷戦が重なり合うことでより多くの死者を出すことになった戦争の人的犠牲を強調する。第二部は冷戦の国内的影響を検討し、アメリカにおける反共主義の政治、国防支出、消費主義、そしてアメリカの覇権のコストをあらわにしたベトナム戦争の役割を扱う。
第7章:超大国デタントの盛衰、1968〜79年
この章は、ニクソンとキッシンジャーのもとのアメリカとソ連指導部がなぜデタントを求めたのかを説明し、SALT交渉、ベルリンに関する合意、1975年のヘルシンキ最終議定書(その三つの「バスケット」をまとめたコラムがある)などの成果をたどる。続いて、アンゴラから1973年の中東危機にいたる第三世界での競争によってデタントが包囲され、ソ連のアフガニスタン侵攻によって終わったことを示す。
第8章:最終局面、1980〜90年
最終章は、レーガンの軍備増強、戦略防衛構想、1983年の大韓航空機撃墜、アフガニスタンからニカラグアにいたる反共ゲリラへの支援、ポーランドと制裁をめぐる西側同盟内の緊張を扱う。マクマーンは1985年のゴルバチョフの就任を最終局面の最も重要な転換点と位置づけ、深く抱いてきた信念を捨てたレーガンの柔軟さを評価し、ベルリンの壁の崩壊と1990年のNATO内でのドイツ統一で締めくくる。
主要概念
第1〜3章:起源
- 安全保障と恐れ:経済的・領土的な野心よりも、認識された安全保障上の必要と恐れを超大国の政策の原動力とみなすマクマーンの強調点。
- 封じ込め:1947年以降、援助、同盟、軍事力によってソ連の力を制限しようとしたアメリカの戦略。
- 招かれた帝国:西ヨーロッパにおけるアメリカの覇権はパートナーシップに基づいていたという考え方で、東側で押しつけられたソ連の勢力圏と対比される。
第4〜6章:対立のグローバル化
- 第三世界:超大国が競い合った新興独立国家で、その指導者たちはこの競争を自らに有利に使おうとした。
- 平和共存:資本主義諸国との関係についての、フルシチョフの1956年の定式。
- 国内の冷戦:対立が国内の政治、経済、文化に及ぼした影響。
第7〜8章:デタントと終結
- デタント:1960年代後半から1970年代にかけての、交渉と軍備管理による超大国間の緊張緩和。
- ヘルシンキ最終議定書:ヨーロッパの国境、協力、人権に関する1975年の合意。
- 戦略防衛構想:核ミサイルに対する防衛手段を開発しようとしたレーガンの1983年の計画。
批判的分析
長所
- 明快な解釈上のテーゼ。 異なる文化、イデオロギー、歴史的経験によって条件づけられた安全保障上の恐れが両超大国を動かしたという議論は、学生が章ごとに検証できる統一的な説明を叙述に与えている。
- 二国間ではなく国際的。 出版社は本書を真に国際的な歴史と表現しており、構成もそれを裏づける。アジアには独立した章があり、第三世界はグローバルな諸章と第6章の両方で扱われ、西ヨーロッパの同盟国は傍観者ではなく行為主体として登場する。
- 短い紙幅に最新の研究。 第2版は最近の研究と新しい文書に依拠しており、章ごとの文献案内には、ヨーロッパにおけるスターリンの戦略、毛沢東の中国、冷戦の終結などをテーマとする2000年代と2010年代の研究が含まれている。
- 役立つ補助資料。 朝鮮半島や中東などの地図、写真、ホー・チ・ミンのような人物やヘルシンキ最終議定書のような文書についてのコラムが、この時代に初めて触れる読者を助ける。
短所
- 主として外交史・政治史。 ほとんどの章はワシントンとモスクワの指導者の決定を追っており、社会史・文化史は一つの主題別の章に集中している。
- 1990年で終わる。 出版社は本書が1945〜1990年を扱うと明記しており、ソ連の解体と冷戦後の世界は叙述の範囲外である。
コースにおける位置づけ
マクマーンの本は、20世紀史のコースで冷戦に入るための最短の道であり、より長い本の前に読むのがよい。オッド・アルネ・ウェスタッドの『The Global Cold War』は、第三世界への介入を中心に据えたはるかに詳しい研究であり、マクマーンの第6章とアジアの扱いがその下地をつくる。ウィリアム・キーラーの『The Twentieth-Century World and Beyond』は1900年以降の国際史で、マクマーンの対象時期を越えた1945年以前と1990年以降の、より広い外交的文脈を与えてくれる。
エリック・ホブズボームの『The Age of Extremes(20世紀の歴史――極端な時代)』は、1914年からソ連崩壊までの短い20世紀全体を解釈しており、冷戦をより長い物語の中に位置づける。マクマーン自身も第三世界の議論でホブズボームを引いている。マーク・マゾワーの『Dark Continent(暗黒の大陸)』は、ヨーロッパの20世紀を自由民主主義、ファシズム、共産主義の争いとして読み、マクマーンの第2章で描かれる大陸の分断をより長いヨーロッパの視野の中に置く。ウィリアム・ドゥイカーの『Contemporary World History』は、冷戦を多くの流れの一つとして扱う幅広い教科書的概説である。
本書の使い方
第二次世界大戦についての一般的な知識があれば、それ以上の専門知識は必要ない。歴史学や国際関係論の1年生や、戦後世界についての科目に備える人に向いている。
- 順に読む。 年代順の章は互いの上に積み重なっている。第6章は第4章以降であればいつ読んでもよい。
- 中核となる章: 起源とマクマーンのテーゼについては第1〜2章、1958〜62年の危機については第5章、冷戦の終結については第8章。
- 読みながら年表をつくり、 それぞれの危機と合意を書き込み、マクマーンがそれを主に安全保障上の恐れで説明しているかどうかを記録しよう。
- テーゼを検証する。 キューバ・ミサイル危機やソ連のアフガニスタン侵攻などの出来事を一つ選び、安全保障、イデオロギー、経済的利益のどれが最もよく説明するかを、その章の文献案内を使って問うてみよう。
- より深く進む。 第三世界についてはウェスタッド、ヨーロッパについてはマゾワー、より広い国際体系についてはキーラーを読むとよい。
