01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Keylor, W. R. (2011). The Twentieth-Century World and Beyond: An International History since 1900 (6th ed.). Oxford University Press.
章の要約
第6版は約640ページで、プロローグ、3部22章、二つの用語集(国際経済用語と核兵器用語)、文献一覧、索引から成る。本書は1984年に500ページに満たない The Twentieth Century World: An International History として始まり、版を重ねるごとに拡大・延長されてきた。この版は2010年ごろまでを扱う。出版社は本書の枠組みを、個々の国の歴史ではなく国家間の関係の歴史であり、合衆国、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、中東を対象とするものと説明し、20世紀世界史、国際関係論、国際研究の学部・大学院の授業向けとしている。
プロローグ:20世紀初頭の国際関係のグローバルな文脈
1900年の世界を描く。世界のヨーロッパ化、東アジアにおける日本の台頭、西半球と太平洋におけるアメリカの台頭、「縮む地球」という地政学的世界観、そして最初のグローバル化の時代である。
第1〜2章:ドイツによるヨーロッパ支配の企て(1914〜1918)/パリ講和と新しい国際秩序
第1部「三十年戦争(1914〜1945)」は第一次世界大戦から始まる。開戦への道、膠着と殺戮、ロシアの離脱、アメリカの参戦である。続いて講和を、「ビッグ・フォー」、フランスとイギリスの講和目的、アメリカの撤退、ロシアへの連合国の干渉、近代中東の形成という観点から検討し、ヴェルサイユ体制を評価する。
第3〜4章:20年代の西洋世界――幻想の時代/30年代の西洋世界――幻想の崩壊
戦間期を対にして描く。1920年代における経済復興と大陸の安全保障という幻想、そして1930年代における世界経済秩序とヨーロッパの安全保障体制の崩壊である。
第5章:ドイツによるヨーロッパ支配の二度目の企て(1939〜1945)
ヨーロッパと世界の第二次世界大戦を、ポーランドの滅亡と「奇妙な戦争」から解放後のヨーロッパについての連合国の計画まで扱い、ヨーロッパのユダヤ人の殲滅についての節を含む。
第6〜7章:ラテンアメリカにおける合衆国の優位の確立/東アジアにおける日本の優位の興亡
同じ時期のヨーロッパ以外を扱う二つの地域の章である。ラテンアメリカにおけるアメリカの直接支配から間接的な覇権への移行(1914〜1945)と、平和的浸透から軍事的拡張、アジアでの戦争へと進んだ日本を描く。
第8〜10章:トルーマン=スターリン時代における二極世界の形成(1945〜1953)/共存と対決(1953〜1962)/デタントと多極化(1962〜1975)
第2部「超大国間の冷戦(1945〜1985)」は冷戦を年代順に追う。ヨーロッパの政治的分断、周辺部での紛争、二つのブロックの固定化と西側の再軍備、平和共存、「第三世界」の非同盟、アメリカの不可侵性の終わり、ベルリン、米州の安全保障体制、そして核の優位をめぐる競争、アメリカの主導権へのフランスの挑戦、ヨーロッパの政治的決着、中東である。
第11〜12章:中国の台頭とアジアにおける冷戦/東西緊張の再燃(1975〜1985)
中国内戦での共産党の勝利、アメリカの極東への再関与、中ソの協力から対立への転換、インドシナの「三十年戦争」、米中接近、そして1975年以降の緊張の再燃、核軍拡競争、南アジア、中東を扱う。
第13〜15章:発展と自立を求めるラテンアメリカ/アフリカ――独立から従属へ/極東――新たな共栄圏への道
冷戦期についての三つの地域の章である。ラテンアメリカにおける封じ込め、経済成長、債務危機、アフリカにおける脱植民地化、新帝国主義、経済停滞、冷戦の波及と白人入植者政権、そして日本の奇跡、東アジアの虎、鄧小平の改革を扱う。
第16〜17章:モスクワ、ワシントン、ソ連帝国の終焉/ヨーロッパ――統合と分裂
第3部「冷戦から新たな世界的無秩序へ(1985〜2010)」は、ゴルバチョフの改革、東側ブロックの解体とドイツ再統一、ソ連の崩壊、ロシアの混乱した移行から始まり、続いてヨーロッパ統合とバルカンの戦争を並べて扱う。
第18〜21章:岐路に立つアジア/自力のアフリカ――民族紛争、独裁、低開発/中東――平和・繁栄・安定のとらえがたい探求/ラテンアメリカ――民主主義、自由市場、地域の安全保障
冷戦後の地域の章である。東アジアの成長と安全保障上のジレンマ、南アジアの緊張、アフリカの民族紛争、ジェノサイド、アパルトヘイトの終焉、中国の役割、エイズ、湾岸戦争、イランの核開発の野心、イスラエル・パレスチナ和平プロセス、そしてラテンアメリカの民主化、「ワシントン・コンセンサス」とポピュリズムの中でのその崩壊を扱う。
第22章:旧世紀から新世紀へ
主題別の結論である。冷戦後の国際協力、世界経済の運営、軍備管理のまだら模様の成果、国際NGO、グローバル化とその不満、そしてアフガニスタンとイラクにおけるアメリカの戦争を扱う。
主要概念
プロローグと第1部
- 世界のヨーロッパ化:物語の出発点となる、1900年のヨーロッパ中心の国際秩序。
- 「三十年戦争」:1914〜1945年を、ドイツによる二度のヨーロッパ支配の企てから成る一つの時代として扱う本書の見方。
- 大陸の安全保障:戦間期におけるヨーロッパの安全保障体制の模索と、1930年代におけるその崩壊。
- 西半球における覇権:ラテンアメリカに対するアメリカの直接支配から間接支配への移行。
第2部
- 二極構造:超大国が率いる二つのブロックへの世界の分断。
- 平和共存とデタント:超大国間の緊張が緩和した局面。
- 非同盟:「第三世界」の国々がブロックの外にとどまろうとした試み。
- 新帝国主義と債務:アフリカとラテンアメリカにおける脱植民地化後も続く経済的従属。
第3部
- ソ連帝国の終焉:ゴルバチョフの改革後の東側ブロックとソ連の崩壊。
- 統合と分裂:ヨーロッパの統合とバルカンの分裂の並行。
- ワシントン・コンセンサス:自由市場の政策パッケージと、ラテンアメリカにおけるその後退。
- グローバル化とその不満:世界経済の統合と、それへの反発。
批判的分析
長所
- 真に国際的。 出版社は本書が個別の国の歴史ではなく国家間の関係をたどることを強調しており、目次もそれを裏づけている。ヨーロッパと超大国だけでなく、ラテンアメリカ、東アジア、アフリカ、中東がどの部でも独自の章を与えられている。
- 明快な時代区分。 三つの部(一つの「三十年戦争」としての1914〜1945年、1985年までの冷戦、その後の数十年)は、二つの世界大戦と冷戦を別々の主題として扱うのではなく結びつける枠組みを学生に与える。
- 外交と並ぶ経済。 世界経済秩序の崩壊、債務危機、アフリカの経済停滞、東アジア経済、世界経済の運営についての章に、国際経済用語の用語集が加わり、本書は外交史だけでなく国際政治経済学にも役立つ。
- 学習の支え。 軍拡競争の章のための核兵器用語集を含む二つの用語集と文献一覧が、専門的な内容に取り組む学生を助ける。
短所
- 2010年ごろで終わる。 第6版は2011年に刊行されており、アラブの春以降の出来事は範囲外である。最終章のグローバル化やアフガニスタン・イラク戦争の記述は、その時点からの見方を反映している。
- 国家中心。 国際史として、本書は政府、外交、戦争、経済に集中している。社会史や文化史は国家間関係に関わる限りでしか現れないので、より包括的な世界史を求める学生には併読用の概説書が必要である。
- 長くて密度が高い。 約640ページの叙述は、多くの1学期の授業で課せる分量を超えている。また各部の中に地域の章があるため、同じ年代が複数の方向から繰り返し扱われる。
コースにおける位置づけ
20世紀史のリストの中で、Keylor は国際関係の包括的な教科書である。Duiker の Contemporary World History は政治、経済、社会、文化の歴史を統合した入門的な概説書で、より穏やかな最初の一冊であり、Keylor がほとんど扱わない国内史や社会史を補う。McMahon の The Cold War: A Very Short Introduction は簡潔な概観で、第2部の予習に使える。
解釈の面では、Hobsbawm の The Age of Extremes が1914年から1991年までの「短い20世紀」を破局の時代、黄金時代、地滑りとして読み解いており、Keylor の外交史的な時代区分と刺激的な対照をなす。Mazower の Dark Continent はヨーロッパを民主主義、ファシズム、共産主義の争いとして描く解釈的な歴史で、ヨーロッパについて第1部と第2部を深める。Westad の The Global Cold War は冷戦の重心をアジア、アフリカ、ラテンアメリカへの介入に置き直す議論で、Keylor の第8〜15章のあとに読むのが最もよい。
本書の使い方
本書は20世紀世界史や国際関係論を学ぶ学部生と、参照用の通史を必要とする大学院生に向いている。近現代史の一般的な授業を受けていると役立つが、専門的な予備知識は前提としていない。
1学期の読み方の例:
- 中核: プロローグ、第1部(第1〜5章)、第2部の冷戦の叙述(第8〜12章)。これらの章が1900年から1985年までの大国間関係の骨格を与える。
- 地域の章: 第6〜7章、第13〜15章、第18〜21章から、授業の地域的な重点に応じて選ぶ。それぞれ、属する部の年代順の章と組にして読める。
- 最近の歴史: ソ連崩壊とヨーロッパを扱う第16〜17章と、主題別の結論としての第22章。
経済と核の章では二つの用語集を手元に置き、地域の章が同じ年代に立ち返るので、読みながら年表を作るとよい。2010年以降の出来事については、最新の概説書や国際関係論の教科書の新しい版で補うこと。
