01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Christian, D. (2004). Maps of Time: An Introduction to Big History. University of California Press. California World History Library. Foreword by William H. McNeill.
章の要約
本書は序論と15の章からなり、出版社は「ビッグ・ヒストリー」入門と位置づけている。ビッグバンから始まり、現在、さらにはありうる未来まで途切れなく語る叙述であり、宇宙論、地質学、考古学、人口・環境研究を取り込んで、自然科学の歴史と人類の過去を一つの物語にまとめている。
序論:現代の創世神話か?
題名は、これから語られる内容を、多くの伝統に見られる起源の物語の現代版、すなわち科学的知識から組み立てた物語として位置づけている。出版社は本書を、時の始まりから今日までを見渡す歴史の新しい見方として紹介している。
第1–3章:最初の30万年/銀河と恒星の起源/地球の起源と歴史
冒頭の章は生命以前の宇宙を扱う。第1章は「最初の30万年:宇宙・時間・空間の起源」、第2章は「銀河と恒星の起源:複雑性の始まり」で、章題の中に複雑性という主題がすでに示されている。第3章「地球の起源と歴史」で叙述は惑星に達する。出版社によれば、本書は恒星と銀河、太陽と太陽系、人類が住む以前の惑星の進化をたどっていく。
第4–5章:生命の起源と進化論/生命の進化と生物圏
生命を扱う2章である。まず生命の起源が進化論とともに論じられ、続いて生物と生物圏の長い歴史が扱われる。出版社は、自然界が、人類を含む比較的新しく現れた動植物とどのように関わるかを本書が見ていくと述べている。
第6–7章:人類の進化/人類史のはじまり
尺度が人類という種に移る。第6章は人類の進化を、第7章は人類史のはじまりを扱う。出版社は、人間社会についての概観が旧石器時代から始まると説明している。
第8–9章:集約化と農耕の起源/自然への支配から人間への支配へ:都市・国家・文明
第8章は農耕への移行を扱い、章題はそれを集約化の過程として捉えている。第9章は都市、国家、文明の出現を追う。副題からは、自然界を支配する力から他の人間を支配する力への移行が主題であることがうかがえる。
第10–11章:農耕文明の時代の長期的趨勢/近代への接近
第10章は農耕文明に共通する長期的なパターンを、第11章は近代世界への接近を扱う。
第12–13章:グローバル化・商業化・革新/近代世界の誕生
これらの章は、グローバル化、商業化、革新という過程を扱い、続いて近代世界そのものの誕生を扱う。出版社の紹介文は、この部分に「近代的・産業的な時代の誕生」を含めている。
第14–15章:20世紀の大加速/未来
最後の2章は、20世紀を加速の時代として扱い、そのあとで将来に目を向ける。出版社は「ありうる未来の兆し」に言及し、論じられる見通しの中に地球温暖化を挙げている。
主要概念
序論と第1–5章:起源と複雑性
- ビッグ・ヒストリー:出版社が、宇宙・地球・生命・人類の歴史を一つの物語として語る新興分野に与えている名称。
- 複雑性の始まり:第2章の題に掲げられた主題で、銀河と恒星の形成を本書の以後の部分と結びつける。
- 進化と生物圏:第4章と第5章の主題で、人類を生物の歴史の中に位置づける。
第6–11章:人類と農耕文明
- 人類の進化:種としての人類がどのように現れたかを扱う第6章の内容。
- 農耕の集約化:第8章の題。農耕の起源を集約化の過程として捉える。
- 都市・国家・文明:自然への支配から人間への支配への移行を扱う第9章の内容。
- 農耕文明:第10章が長期的趨勢を論じる対象となる時代。
第12–15章:近代世界と未来
- グローバル化・商業化・革新:第12章の題に並べられた三つの過程。
- 大加速:第14章が20世紀を指して用いる題中の語。
- 未来:最終章の題。出版社が地球温暖化と結びつけている見通しを扱う。
批判的分析
長所
- 分野を横断する一つの叙述。 出版社は、本書が宇宙論、地質学、考古学、人口・環境研究を取り込んでいると説明している。出版社が引用する書評もこの総合を強調しており、Books & Culture は「息をのむような総合の仕事」と評し、The Age は「自然科学と社会科学を大胆かつ巧みに結びつける」と述べた。
- 読みやすい文章。 出版社が引用する書評は文章の質を繰り返し挙げている。New Scientist は読者の関心をまず刺激し、さらに保ち続けると判断し、Journal of Interdisciplinary History は文体の明晰さと謙虚さを称え、Future Survey は野心的で明快な叙述だと評した。
- 歴史の枠組みそのものへの意図的な問いかけ。 出版社が引用する書評で、The Times は本書を「見事に実行された挑発」と呼び、Journal of World History は、短い書評ではこの著作の価値を到底言い尽くせないと述べた。文字記録から始めるという通常の出発点を宇宙の起源に置き換えると何が変わるかを考えるのに役立つ。
- 明快な章立て。 15の章は、宇宙、地球、生命、人類、農耕、都市と国家、近代世界、未来へと連続した順序で並んでおり、授業で必要な部分を見つけやすい。
短所
- 分量と範囲。 本書は版により約640〜670ページあり、人類の過去に充てられるのはその一部にすぎない。第1–5章は宇宙、地球、生命を扱い、人類の話は第6章から始まる。近代への接近と近代世界は4つの章(第11–14章)が扱う。地域別に整理された従来型の世界史教科書を求める授業では、別の本を併用する必要がある。
- 概観というより枠組み。 章題は地域や社会ではなく、過程と時代(農耕、農耕文明、グローバル化、加速)に沿っている。世界の特定の地域を継続的に扱ってほしい読者は、別の読書でそれを補う必要がある。
- 歴史に加えて科学の内容がある。 出版社は物語の冒頭の科学を強調しているため、歴史学の訓練しか受けていない読者は宇宙論、地質学、進化論に出会うことになる。本書はこれらの分野に対する一人の著者による総合であり、個別の問題は専門文献に当たることになる。
- 版と刊行年。 本書の初版は2004年である。出版社は現在、2011年10月刊のペーパーバックを第2版として掲載しており、Google Books は2011年版を改訂再版と記している。2004年に書かれた本は最近数十年を反映していない可能性があり、20世紀と未来を扱う最終章は最新の資料で補うのがよい。
コースにおける位置づけ
世界史・グローバル・ヒストリーのコースの中で、Maps of Time は特異な一冊である。文字記録ではなく宇宙の起源から出発し、標準的な概説書というより枠組みを与える本として読むのが適している。このリストにある従来型の世界史教科書、たとえば Strayer と Nelson の Ways of the World、Bentley、Ziegler、Streets Salter の Traditions & Encounters、Tignor らの Worlds Together, Worlds Apart、Bulliet らの The Earth and Its Peoples は、地域をまたぐ人間社会の概説であり、地域や年代の詳細についてはこちらの方が適している。Christian の本は、それらの前に、あるいは並行して読むことで、長い時間の枠と環境という文脈を補える。
Sebastian Conrad の What Is Global History? は、アプローチとしてのグローバル・ヒストリーへの短い入門であり、Christian を読み終えて、歴史家がそのアプローチをどう説明するかを知りたい読者が次に手に取れる。Jürgen Osterhammel の The Transformation of the World は、一つの世紀の内部でグローバル・ヒストリーを主題別に組み立てる方法を示しており、Christian よりはるかに狭い尺度の本である。
本書の使い方
本書は学部生と一般読者を対象としており、出版社は前提とする知識を示していない。幅広い枠組みを求める世界史の入門コース、ビッグ・ヒストリーや環境史の授業、人類の歴史を地球の歴史の中に位置づけたい読者に向いている。
学習の進め方の例:
- まず序論と第1章で、著者がこの企てを現代の創世物語としてどう位置づけているかを確認する。
- 歴史の授業の中心: 第6〜15章。人類の進化から、農耕、都市と国家、農耕文明、近代世界、未来へと進む。
- 歴史の授業では任意: 第1–5章。科学の素養がある学生は速く読み進めてよく、そうでない学生はゆっくり読む。
- 併用: 人名、年代、地域については標準的な世界史教科書を手元に置き、それぞれの本が何を転換点と見なしているかを比べる。
出版社が本書を一つの分野の出発点として紹介している以上、問いを持って読むのがよい。どこで尺度が変わるのか、各段階でどのような種類の証拠が使われているのか、これほど大きな尺度では人間のどのような経験が見えにくくなるのか、という点である。
