01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Thompson, E. P. (2013). The Making of the English Working Class. Penguin Books (Penguin Modern Classics).
章の要約
1963年に初版が出た本書は、1780年頃から1832年頃までのイングランドの働く人びとを描く。序文、3部、16章からなり、900ページを超え、文献案内がつく。序文で述べられる中心的な主張は、この時期にイングランドの労働者の大半が、自分たちの間で、そして利害の異なる人びとに対して、利害の一致を感じるようになった、というものである。トンプソンは、階級を単に人びとに対してなされるものではなく、人びとが時間をかけて作っていくものとして扱い、労働者階級が自らの形成に参加したと考える。2013年のペンギン・モダン・クラシックス版には、マイケル・ケニーによる新しい序文が加わっている。
第1部 The Liberty Tree(第1〜5章)
章題は Members Unlimited; Christian and Apollyon; "Satan's Strongholds"; The Free-born Englishman; Planting the Liberty Tree。この部は、働く人びとがこの時期に持ち込んだ宗教的・政治的な伝統と、1790年代の急進的な結社と思想を示す。トンプソンはロンドン通信協会のようなジャコバン協会など民衆運動を論じる。
第2部 The Curse of Adam(第6〜12章)
章題は Exploitation; The Field Labourers; Artisans and Others; The Weavers; Standards and Experiences; The Transforming Power of the Cross; Community。最も長い部で、初期工業化のもとでの労働生活の変化を、農業労働者、職人、織工にわたってたどる。食事、住居、子どもなどの物質的水準と経験を扱い、メソジズムの規律と希望を二つの節で論じ、余暇、相互扶助、アイルランド人を含む共同体生活の章で終わる。
第3部 The Working-Class Presence(第13〜16章)
章題は Radical Westminster; An Army of Redressers; Demagogues and Martyrs; Class Consciousness。ナポレオン戦争期と戦後の政治的・産業的活動をたどる。ウェストミンスターの民衆急進主義、ラッダイト運動と団結をめぐる闘争、剪毛工と靴下編工、ハムデン・クラブ、ピータールーとケイトー街陰謀事件、そして1820年代の急進的文化とコベット、カーライル、ウェイド、ガスト、オーウェン主義の人びとである。最終章でトンプソンは、1830年代初頭に労働者階級の意識が見えるようになる地点まで物語を進める。
主要概念
第1部:自由の木
- 継承された伝統:非国教徒の宗教、生まれながらの自由なイングランド人という観念、民衆的な立憲主義。後の急進主義の素材。
- 急進的結社:1790年代の通信協会やジャコバン風のクラブ。
第2部:アダムの呪い
- 搾取と経験:経済的変化と、それがどう生きられたかの対比。
- メソジズム:道徳的規律であり、絶望への応答でもあるものとして扱われる。
- 共同体:余暇、相互扶助、地域の連帯。
第3部:労働者階級の存在
- ラッダイト運動と団結:産業上の抗議とその弾圧。
- 民衆的急進主義:ハムデン・クラブからピータールー、急進的文化まで。
- 階級意識:トンプソンが1830年代初頭までに現れたと論じる、利害の共有の感覚。
批判的分析
長所
- 生きられた経験の再構成。 トンプソンは、靴下編工、ラッダイトの剪毛工、時代遅れとされた手織工、ユートピア的な職人を「後世の途方もない見下し」から救い出したいと述べており、水準、経験、共同体の章は日常生活に重みを与えている。
- 過程としての階級観。 本書は、階級が関係の中で時間をかけて形成されると論じ、意識の成長を強調するために単数形の「労働者階級」を意図的に用いる。この議論は非常に大きな影響を及ぼした。評者は、イギリス史学における画期的な業績、戦後の歴史学で最も影響力のある作品の一つと呼んでいる。
- 対象の広がり。 職人、織工、労働者、急進派を扱い、政治や労働だけでなく宗教と共同体にも章を割いている。
- 明確な三部構成。 継承された伝統から、生きられた経験、政治的・産業的行動へという流れが、長大な本に見通しを与えている。
短所
- 長さと密度。 900ページを超え、読み通すには大きな覚悟が要り、議論は詳細な叙述の中に散らばっている。
- 代表性への疑問。 『The Historical Journal』でジェフリー・ベストは、価値ある刺激的な本としつつ、証拠の基盤となる職人が労働者階級のどれほどを占めたのかを問い、民衆の意見の保守的・愛国的な側面が無視されていると指摘した。
- 評価の分かれ方。 ロバート・K・ウェブは「きわめて重要でありながら、非常にいらだたしい」と評した。中立的な概説ではなく、立場の明確な議論として、また本書が引き起こした批判的文献とあわせて読む必要がある。
- 時期と場所。 イングランドが対象で、主に1780〜1832年である。チャーティズムなど後の展開は範囲外である。
コースにおける位置づけ
経済・社会史のリストにおいて、本書は文化と政治を通じた社会階級の形成を扱った古典的研究である。ピーター・スターンズの『The Industrial Revolution in World History』とペルソン、シャープ、ランペの『An Economic History of Europe』は、工業化が何を伴ったかを含む経済的な枠組みを与える。ロバート・アレンの『Global Economic History: A Very Short Introduction』は一部の地域が豊かになった理由を問い、ケネス・ポメランツの『The Great Divergence』はヨーロッパと中国の比較の問いを追う。トンプソンは別種の問いを立てる。なぜ成長が起きたかではなく、人びとがそれをどう経験し、どう応じたかである。ピーター・バークの『A Social History of the Media』は、リスト中の社会史・文化史の別の例である。
したがって、経済の概説のどれかを読んだあとで、経済の物語を下から見る事例として読むのが最もよい。
本書の使い方
社会史、労働史、近代イギリス史を学ぶ学部生と、階級と文化の歴史を中心に歴史学の方法に関心のある読者に向く。フランス革命と産業革命についての知識があると役立つ。
実際の読み方の例を挙げる。
- 中核: 目的を述べる序文と、議論をまとめる第16章(階級意識)。
- 第1部は伝統と急進的結社のために、第3部はラッダイトからピータールーまでの政治と抗議のために。
- 第2部は最も長いので選んで読んでよい。労働については第6〜9章、生活水準、メソジズム、共同体については第10〜12章。
- 併読: 短い経済史の概説で生活水準の統計を確認し、トンプソンの章がそれに異を唱え、あるいは複雑にしている点を見る。本書への批判的な応答もあわせて読む。
