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Making Modern Science(近代科学の形成) cover

歴史学

歴史学

Making Modern Science(近代科学の形成)

Peter J. Bowler; Iwan Rhys Morus

英語原題: Making Modern Science

Peter J. Bowler と Iwan Rhys Morus による、科学革命から20世紀までの科学史を概観する教科書である。科学の発展を科学的思想と社会とのあいだの相互に結びついた関係の網として描き、主要な出来事の叙述と、より広い世界における科学の位置に関するテーマ別の章とを組み合わせている。

前提知識: 科学や科学史の予備知識は不要である。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
history of sciencescientific revolutiondarwinismmodern physicsscience and society教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Bowler, P. J., & Morus, I. R. (2020). Making Modern Science (2nd ed.). University of Chicago Press.

章の要約

本書は Peter J. Bowler(ベルファスト・クイーンズ大学科学史名誉教授)と Iwan Rhys Morus(アベリストウィス大学歴史学教授)の共著で、二十四の章を二部に分け、序文(第二版への序文を含む)と導入の章を前に、エピローグを後に置いた、約600ページの構成である。第一部は科学の発展におけるいくつかの出来事をおおむね時代順にたどり、第二部は一歩引いて、それらの出来事を横断する主題を扱う。出版社は、人名と年代の羅列ではなく、科学と社会を結ぶ関係の網の目を描くことが本書の狙いだと強調している。

第1章:Introduction: Science, Society, and History(序論:科学・社会・歴史)

本書全体の立場を示す章である。科学は社会の一部であり、発見の記録としてではなく、解釈を要する歴史をもつものとして扱われる。続く二部構成もここで提示される。

第I部:科学の発展における諸事例

第2〜6章:科学革命、化学革命、エネルギー保存、地球の年齢、ダーウィン革命

最初の事例は17世紀から19世紀に及ぶ。科学革命、化学の再編成、エネルギー保存の定式化、地球の年齢をめぐる長い論争、ダーウィン革命の順に扱われる。

第7〜10章:新しい生物学、遺伝学、生態学と環境主義、大陸移動

19世紀後半から20世紀の生命科学・地球科学に進む。ダーウィン以後の生物学の展開、遺伝学、生態学とそれが環境への関心と結びつく過程、そして大陸移動をめぐる論争である。

第11〜14章:20世紀の物理学、計算革命、宇宙論の変革、人間科学の成立

最後の事例は、現代物理学、計算(第二版で加えられた二章の一つで、計算が科学の実践をどう変えたかを扱う)、宇宙論、そして新たな探究分野としての人間科学である。

第II部:科学史の主題

第15〜17章:科学の組織化、科学と宗教、大衆科学

主題の部は、科学の仕事が制度としてどう組織されるかから始まり、科学と宗教の関係、そして科学が専門家以外の公衆にどう伝えられてきたかへと進む。

第18〜20章:科学と技術、生物学とイデオロギー、科学と医学

科学と技術の結びつき、生物学の観念がイデオロギー的・社会的な議論で用いられる仕方、科学と医学の関係を検討する。

第21〜23章:科学と戦争、科学と帝国、科学とジェンダー

最後の主題の章は、科学と戦争、西洋の拡張の手段としての科学(第二版で加えられたもう一つの章で、科学と技術が地政学的拡張の道具とされたことを扱う)、そして科学におけるジェンダーを論じる。

第24章:エピローグ

本書の主題をまとめる結びの章である。

主要概念

第I部:事例

  • 科学革命:17世紀における自然認識の再編。本書では単純な突破口ではなく、解釈されるべき出来事として扱われる。
  • 化学革命とエネルギー保存:新しい組織原理によって一つの科学が組み替えられた二つの事例。
  • ダーウィン革命:進化論以後の生命とその歴史についての見方の変化。のちの「新しい生物学」や遺伝学も含む。
  • 大陸移動:理論がどのように受け入れられ、あるいは退けられるかを示す地球科学上の論争。
  • 計算革命:計算が科学のやり方を変えた役割。

第II部:主題

  • 科学の組織化:科学の仕事が行われる制度と共同体。
  • 大衆科学:専門家以外の聴衆に向けられた科学。
  • 科学と帝国:西洋の地政学的拡張における科学と技術の利用。
  • 科学とイデオロギー、科学とジェンダー:科学上の主張が社会的・政治的な立場とどう交差するか。

批判的分析

長所

  • 二種類の章の組み合わせ。 事例の章と主題の章を併用することで、読者は個々の科学の発展を追いながら、同じ素材が宗教、戦争、帝国、医学、ジェンダーといった切り口で再構成される様子も見ることができる。
  • 多様な科学にわたる範囲。 事例の章は物理、化学、地球、生命、人間の諸科学に及び、著者は生命科学・地球科学史の専門家と物理科学史の専門家である。書評もこの均衡に触れており、Times Higher Education は、二人の専門家と文脈重視の方法の組み合わせを初学者向けの画期的な成果と評した。
  • わかりやすい説明。 Science 誌は、難しい科学的・哲学的問題を簡潔かつ明快に説明している点を称賛し、Annals of Science は包括的で明快、読みやすく、科学史の考え方も教えてくれると評した。出版社によれば、ハーフトーン図版93点と線画14点が収められている。
  • 実質的に改訂された第二版。 2020年版は計算と、科学と帝国についての章を加え、西洋の実験室中心という従来の語りを超えて範囲を広げている。

短所

  • 分量。 約600ページ・24章で、一つの講義で通読するのは難しく、教員は事例と主題の中から選ぶ必要がある。
  • 選択的な扱い。 事例の章は選ばれた一群であり、科学革命以前の時代を扱う章はなく、技術史を独立した主題とする章もない(科学と技術を論じる章は一つある)。
  • 二部の相互参照。 第II部の主題の章は第I部の事例を前提とするため、「科学と戦争」のような主題に直接進んだ読者は、背景を確かめるために該当する事例の章に戻る必要が生じることがある。

コースにおける位置づけ

このコースの科学史関連書の中で、Bowler と Morus の本は科学革命以降の時代を扱う通史的な教科書である。Lindberg の The Beginnings of Western Science は先史時代から1450年までのより早い時期を扱うため、二冊を続けて読むことができる。Patricia Fara の Science: A Four Thousand Year History と McClellan・Dorn の Science and Technology in World History は、はるかに早い時代から始まり、より多くの文明にわたる一巻本の通史である。Bowler と Morus は近現代についてより深い説明を提供する。

Shapin の The Scientific Revolution は17世紀についての短い解釈的な論考で、第2章と組み合わせられる。Shapin と Schaffer の Leviathan and the Air-Pump は一つの論争の綿密な事例研究であり、本書のような通史で背景を把握したあとに読むのが適している。

本書の使い方

科学や科学史の予備知識は前提とされないため、低学年の学生、専門外の読者、一般読者に向く。講義の教科書としても、個別の主題を調べる参考書としても使える。

読み方の例:

  • 出発点:まず序文と第1章を読む。残りの章が用いる立場が説明されている。
  • 中核ルート:第2、6、11、15章で、科学革命、ダーウィン主義、現代物理学、科学の組織化を簡潔にたどれる。
  • 関心に応じた選択:学んでいる科学に合わせて事例の章を選び(化学と物理なら第3・4章、生物学なら第7〜9章など)、対応する主題の章に進む。ダーウィン関連の章のあとに「科学と宗教」を読む、といった具合である。
  • 新しい内容:第12章と第22章が新規追加で、計算や科学と帝国に関心のある読者に向く。
  • 仕上げ:エピローグのあと、コースの書目から、最も関心をひかれた事例や主題を扱う専門書に進む。