01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Bloch, M. (1964). The Historian's Craft (P. Putnam, Trans.; introduction by J. R. Strayer). Vintage. (Originally published in French as Apologie pour l'histoire ou Métier d'historien, 1949; first English edition, Knopf, 1953.)
章の要約
ヴィンテージ版のペーパーバック(出版社によれば224ページ)は、ジョーゼフ・ストレイヤーによる序論、目次で第I章の前に置かれた序論の節、そして5つの章からなる。ブロックは本書を1941年から1942年にかけて書き、完成させなかった。目次で最後にあたる第5章には、節が挙げられていない。以下の節の題は、出版社の目次に従っている。
序論
出版社は、本書を歴史的な観察、分析、批判の技法と、歴史的因果関係についての古典的な議論と紹介し、二つの問いで枠づけている。歴史の価値とは何か、歴史の用途とは何か、である。目次では序論に節は挙げられていない。
第I章:歴史、人間、時間(History, Men and Time)
本書で最も節の多い章で、全部で7節ある。歴史家の選択、歴史と人間、歴史的時間、起源の偶像、過去と現在の境界、過去による現在の理解、現在による過去の理解である。章は、歴史が何を研究するのか、歴史が働く時間、そして現在と過去の関係を扱う。出版社は、歴史は一つの全体であり、どの時代、どの主題も他の時代や主題との関連なしには理解できないというブロックの主張に触れている。
第II章:歴史的観察(Historical Observation)
3つの節がある。歴史的観察の一般的性格、証拠、証拠の伝達である。章は、歴史家が痕跡を通じてどのように過去を知るかを考える。出版社は、ブロックが文字記録だけでは足りないと考え、歴史家は地図、地名、古代の道具、航空測量、民俗、そのほか利用できるものすべてを活用すべきだとしていることを付け加えている。
第III章:歴史的批判(Historical Criticism)
3つの節がある。批判的方法の歴史の概観、偽造と誤りを追う、批判的方法の論理に向けて、である。章は史料の検証を扱い、偽造や誤りの発見を含む。Google Books が挙げる本書の頻出語に「forgeries」と「Donation of Constantine」が含まれていることは、この主題に合致する。
第IV章:歴史的分析(Historical Analysis)
3つの節がある。裁くか、理解するか、人間の諸機能の多様性から意識の統一へ、用語法、である。章は、証拠を確立することから証拠を説明することへ移り、最初の節の題は、歴史家の務めが裁くことなのか理解することなのかという問いを立てている。
第V章:歴史的因果関係(Historical Causation)
最後の章は歴史における因果関係を取り上げ、出版社はこれを出来事を評価する際の歴史的因果関係の「再確立」と説明している。目次には、この章に節は挙げられていない。
主要概念
- 一つの全体としての歴史:どの時代も主題も、他との関連なしには理解できない。
- 歴史的時間:第I章の一節で、歴史家が働く時間を扱う。
- 起源の偶像:第I章の一節の題。
- 過去による現在の理解、現在による過去の理解:第I章の最後の2節。
- 証拠とその伝達:第II章の主題。
- 批判的方法:史料の検証で、第III章では偽造と誤りが焦点となる。
- 裁くか、理解するか:第IV章を開く問い。
- 用語法:歴史的分析の語彙で、第IV章の最後の節。
- 因果関係:第V章の主題。
批判的分析
長所
- 史料への広い視野。 出版社は、ブロックが文字記録だけでは足りないと論じ、地図、地名、道具、航空測量、民俗に目を向けていることを強調している。
- 理論と実践の結合。 出版社によれば、ブロックは自らの理論を実践に移し、第一次世界大戦での従軍経験と長年の研究と省察を活用している。
- より広く、より人間的な歴史。 出版社は、本書が「より広く、より人間的な歴史」、つまり人々がどのように、なぜ共に生き、働くかについての歴史を一貫して主張していると述べる。
- 明快な5章構成。 章は、時間と主題の選択から、観察、批判、分析、因果関係へと進み、その順序は研究の過程に重なる。
- 専門家以外にも向けて書かれている。 本書についてのウィキペディアの記事は、マンチェスター大学出版局版を引いて、この取り組みが専門の歴史家だけでなく関心のある読者に向けられていると述べる。
短所
- 未完で、省察的。 本書はブロックが1944年に死去した時点で未完のままであり、最終章には節が挙げられていない。完全な英語題(Reflections on the Nature and Uses of History and the Techniques and Methods of Those Who Write It)が示すように、技法の手引きではなく、一連の省察である。
- 20世紀半ばの本。 1941~42年に書かれ、英語で最初に刊行されたのは1953年なので、それ以後の歴史叙述をめぐる議論は含まれない。Google Books が挙げる頻出語(feudal、charters、Pirenne、Fustel de Coulanges、François Simiand)は、ヨーロッパ、とくに中世とフランスの例や参照が中心であることを示している。
- 翻訳。 英語のテキストはピーター・パトナムの翻訳で、Google Books はこれを1953年のヴィンテージ版の再刊として挙げている。ブロック自身の言葉が必要な読者は、フランス語の原典に当たるべきである。
コースにおける位置づけ
ブロックは、この歴史学方法論のコースにおける古典的な省察のエッセイである。Arnold の History: A Very Short Introduction と Tosh の The Pursuit of History は現代の入門書で、Arnold は過去についての知識がどう作られるかを簡潔に問い、Tosh は証拠、解釈、アーカイブでの作業を新しい研究手法とともに扱う。どちらもブロックと並べて読むのによい。Carr の What Is History? はもう一つの古典的な講義で、事実の選択と解釈を論じ、ブロックと並べると、歴史家の営みについての二つの20世紀の説明がわかる。White の Metahistory と Iggers、Wang、Mukherjee の A Global History of Modern Historiography は、読書の後の段階にくる。前者は19世紀の歴史叙述の背後にある物語上の選択を、後者は西洋を越えた歴史叙述の比較史を扱う。
本書の使い方
正式な前提条件はないが、研究レポートを書いたことのある読者は、本書が論じる問題にすぐ気づくだろう。歴史学の学説史や方法論の授業の学部生と、どの分野であれ歴史学を始めたばかりの大学院生に向く。
進め方としては、ストレイヤーの序論とブロックの序論で背景と目的をつかむ。第I章は、時間と、現在と過去についての節が残りの枠組みを定めるので、ゆっくり読む。第II章と第III章は、観察と史料批判の対として読む。第IV章は、裁くことと理解することをめぐる議論に役立ち、第V章は、論の未完の締めくくりとして読むのがよい。各章を Arnold や Tosh のような現代の入門書と組み合わせると、ブロックの問題のどれが今も中心にあるかがわかる。
