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現代都市計画 cover

地理学

地理学

現代都市計画

John M. Levy et al.

英語原題: Contemporary Urban Planning

主にアメリカを対象とした都市計画実務の入門教科書で、都市計画の成り立ち、その法的・政治的な枠組み、計画プロセス、そして計画業務の主要分野を扱う。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
現代都市計画都市化都市計画土地利用計画都市デザイン大都市圏都市開発都市持続可能性

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Levy, J. M., Hirt, S. A., & Dawkins, C. J. (2024). Contemporary Urban Planning (12th ed.). Routledge.

章の要約

第12版は16章を4つの部に分け、冒頭に概説の章が置かれている。いくつかの章には執筆協力者の名が付されている。Sarah Schindler が計画の法的基盤、Charles Steger が都市デザイン、C. David Loeks が国・州・大都市圏レベルの計画、Johann Jessen、Clara Irazábal、Sanjeev Vidhyarthi が他の国々の計画を担当している。出版社の紹介文は計画を「高度に政治的な活動」と位置づけており、目次もそれに沿って組まれている。

第1章:概観(An Overview)

4つの部の前に置かれた約14ページの導入の章で、都市計画とは何か、本書が何を扱うかを示す。

第1部 第2–4章:アメリカの都市化/計画の歴史 その1/計画の歴史 その2

「現代都市計画の背景と発展」。最初の章はアメリカの都市化を扱い、アメリカの都市の状況を計画の背景に据える。続いて計画の歴史が2章を占め、前の章は約25ページ、後の章は約14ページである。

第2部 第5–9章:計画の法的基盤/計画と政治/社会問題/総合計画/土地利用計画の手段

「現代の計画の構造と実務」は本書の実務上の中核にあたる。法的枠組み、政治的状況、社会問題、総合計画、土地利用規制の手段を扱う。出版社は、この版で市民参加の扱いが拡充されたこと、社会的公正が計画の目標としてますます重要になっていることを強調している。土地利用の手段の章は約35ページで、この部でもっとも長い。

第3部 第10–14章:都市デザイン/住宅とコミュニティ開発/交通計画/経済開発計画/環境計画

「計画の分野」では、実務の主な分野を1つずつ取り上げる。出版社の説明は、アメリカの大都市圏における手頃な住宅の不足、マイクロモビリティへの対応を見据えた計画、気候変動・公衆衛生上の課題・大規模な環境災害に対する計画者の役割に言及している。環境計画の章は40ページ近くあり、本書でもっとも長い章の1つである。

第4部 第15–16章:国・州・大都市圏レベルの計画/いくつかの他国の計画

「より大きな問い」では、視野をより上位の政府レベルに、続いて他の国々へと広げる。紹介によれば、この版は、政治体制の違いによって土地利用規制その他の政策がどのように運用されるかについて、英国、フランス、東欧、中国、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの比較事例を取り入れている。

主要概念

第1–4章:概観と背景

  • 政治的活動としての都市計画:公的・私的な資金が絡む計画上の決定は、得をする人と損をする人を生み出す、という出版社の捉え方。
  • 再都市化:数十年にわたる分散化のあとで、都市居住や都市再生へと向かい直す可能性。

第5–9章:構造と実務

  • 計画の法的基盤:計画者に権限を与え、同時にそれを制約する法で、独立した1章で扱われる。
  • 総合計画:地域社会のために作られる長期的な計画で、その発展の指針となる。
  • 土地利用の手段と規制:土地の使い方を規制することなどにより、計画を実現するための手段。
  • 市民参加と社会的公正:この版で拡充された主題で、現代の社会運動の影響と結びつけられている。

第10–16章:分野とより大きな問い

  • 都市デザイン:都市の物理的な形態や空間の形成。
  • 住宅とコミュニティ開発:住宅の手頃さや地域の状況に対する計画上の対応。
  • マイクロモビリティ:小規模な個人向け交通手段で、都市がその受け入れを求められている。
  • 大都市圏・国レベルの計画:都市より上位のレベルの計画と、他国の実践との比較。

批判的分析

長所

  • 計画を技術だけでなく政治として扱っている。 出版社は計画を、誰が得をし誰が損をするかをめぐる駆け引きとして説明している。目次でも、技術的な分野の前に、法、政治、社会問題にそれぞれ独立した章が当てられている。
  • 背景から実務、分野へという明快な流れ。 4部構成は、歴史から法的・政治的な構造、各実務分野、そして上位の政府レベルへと進むので、順に読むことも、分野ごとに拾い読みすることもしやすい。
  • 専門的な章は専門の執筆者が担当している。 法、都市デザイン、広域、国際の各章には執筆者の名が付されており、計画と他の専門領域の境にある主題にふさわしい。
  • 長く使われてきた授業用テキスト。 第12版である。出版社のページに載る推薦文は、過去の版を計画とその職業への入口と呼び(Arthur C. Nelson、アリゾナ大学)、複数の版を四半世紀近く使ってきたと述べている(Huston Gibson、カンザス州立大学)。出版社が選んだコメントではあるが、本書がどう使われているかを示している。
  • 授業用の資料。 出版社は、討論問題と選択式問題、およびオンラインの補助的な読み物・ウェブサイト・メディアへのリンクを挙げている。

短所

  • 都市地理学ではなく、計画の教科書である。 目次には、都市システムや階層、都市構造のモデル、都市の社会地理を扱う章がなく、紹介文にもこれらへの言及はない。地理学の学生がこれらの主題を学ぶには、Hall と Barrett のような教科書を併用する必要がある。
  • アメリカ中心である。 第1部は「アメリカの都市化」で始まり、出版社による住宅部分の説明もアメリカの大都市圏の手頃な住宅の不足に触れている。国際的な内容を扱う章は最後にあって約40ページだが、出版社によれば、土地利用規制の議論の中にも他国の事例が含まれる。アメリカ国外の読者は、本書を主としてアメリカの計画実務の詳しい説明として、末尾の比較を補いとして読むのがよい。
  • 中盤の章は密度が高い。 土地利用の手段、都市デザイン、住宅、交通、環境計画の各章は、約24〜40ページに及ぶ。そのため本書は、気軽な入門書というより、実務者向けの参考書に近い。

コースにおける位置づけ

このコースの書目の中で、Levy、Hirt、Dawkins の本は、計画の実務を扱う教科書である。Hall と Barrett の Urban Geography は地理学の中心的な教科書で、その計画・再開発・都市政策の章が、Levy に移って計画がどのように機能するかを詳しく知るための自然な接点になる。Kevin Archer の The City: The Basics は都市と都市研究への簡潔な入門で、より取りつきやすい出発点であり、Key Concepts in Urban Geography は主要概念についての短い論考を集めたもので、用語を手早く身につけられる。

Michael Pacione の Urban Geography: A Global Perspective は、先進世界とグローバル・サウスの両方の都市を意図的に取り上げ、都市問題と計画上の対応にも継続的に目を向ける、体系的な大部の教科書であり、Levy のアメリカ重視を補う。David Harvey の Social Justice and the City は急進的な都市地理学の礎となる著作で、計画がどう作られ実施されるかを実務的に論じる Levy の叙述に対する、批判的な対照として役に立つ。

本書の使い方

出版社は本書を、学生、都市計画者、現代の都市開発に関心をもつすべての人のための本格的な入門書と紹介しており、前提知識は示していない。計画に携わる、あるいは計画を研究する読者にもっとも役立つ。計画学や公共政策の学生、そして都市を形づくる制度を理解したい地理学の学生である。

  • 最初に読む部分: 背景をつかむために第1章と歴史の章(第2–4章)を読み、そのあと第2部を順に読む。土地利用の各章を法的・政治的な状況の中で理解するためである。
  • 地理学の授業の核となる部分: 第1章、第6–9章、第11–12章。制度の全体像と、都市地理学の授業ともっとも結びつきやすい2つの政策分野である住宅と交通が得られる。
  • 選択的に読む部分: 設計、経済開発、環境計画の第10章、第13章、第14章。計画制度を国際比較する授業では、第15–16章も加える。
  • 章末の問いを活用して、学んだ内容をよく知っている都市に当てはめる練習をする。また、第4部は地元の計画文書と読み合わせて、原則が実際にどう現れるかを確かめる。