索引 / 001 JA
Urban Geography(都市地理学) cover

地理学

地理学

Urban Geography(都市地理学)

Tim Hall; Heather Barrett

英語原題: Urban Geography

都市の発展と、経済・社会・政治の力が都市生活を形づくる仕組みを学ぶ入門書です。さまざまな地域の事例を通じ、都市形態、ガバナンス、交通などのテーマを検討します。都市研究を始める地理学の学生に適しています。

前提知識: 人文地理学の入門科目があると役立ちますが、必須ではありません。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
urban geographycitiesurbanizationtransport教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Hall, T., & Barrett, H. (2018). Urban Geography (5th ed.). Routledge.

章の要約

第5版は13章を3つの部に分けており、出版社はそれらを「背景」(contexts)、「主題」(themes)、「論点」(issues)と呼んでいる。紹介文によれば、この順序は、学生を都市地理学の基礎から出発させ、主要な主題を経て、現代の切迫した論点へと導くものである。この版は、都市の内部と都市のあいだに新たに形成されつつある地理的パターンと、地理学者がそれを理解しようとしてきた過程の両方を検討している。本書は Routledge の「現代人文地理学」シリーズの1冊である。

背景 第1–3章:都市化した世界/変わりゆくアプローチ/都市の形態と構造

最初の部は全体の下地を整える。第1章(「An urban world」)は約14ページで本書の幕を開ける。第2章(「Changing approaches」)は約11ページともっとも短く、都市地理学の中のアプローチが時間とともにどう変わってきたかを扱う。第3章(「Urban form and structure」)は約24ページで、都市の物理的・空間的な配置を論じる。

主題 第4–7章:都市の経済/都市の政治/計画・再生・都市政策/都市と文化

主題の部は本書の中央にあたる。「City economies」は約40ページともっとも長い章で、続いて「Urban politics」(約25ページ)と「Planning, regeneration and urban policy」(約34ページ)が置かれる。「Cities and culture」(約24ページ)は、経済・政治の過程から都市の文化的な生活へと目を移す。

論点 第8–10章:建築/都市のイメージ/都市を経験する

論点の部の最初の3章は、都市を、建てられたもの、表象されたもの、生きられたものとして扱う。出版社が挙げる文献分野では、最初の章が「建築と都市景観」にあたり、残りの2章は人々が都市に抱くイメージと、都市の中にいる経験を扱う。いずれも20〜25ページである。

論点 第11–13章:住宅と居住分離/交通、モビリティと都市/都市の未来

最後の3章は、住宅と集団ごとの居住場所、都市を通る人やモノの移動、そして都市の未来を扱う。出版社によれば、交通とモビリティの章と都市の未来の章は、この版のために改訂された。紹介文が挙げる文献分野には「持続可能性と都市」も含まれるが、目次にはその題の独立した章はない。

主要概念

背景(第1–3章)

  • 都市化:都市に暮らす人口と活動の割合が増えること。冒頭の章の出発点である。
  • 都市地理学のアプローチ:地理学者が都市を研究してきたさまざまな方法。短い章でその変遷が扱われる。
  • 都市の形態と構造:都市の内部における土地利用と建物の空間的な配置。

主題(第4–7章)

  • 都市の経済:都市とその内部の地区を形づくる経済的基盤と活動。
  • 都市の政治:都市に関する意思決定がどのようになされ、どう争われるか。
  • 再生と都市政策:衰退した地区を刷新し、都市の変化を管理しようとする公的な取り組み。計画とあわせて論じられる。
  • 都市と文化:都市生活の文化的な側面。

論点(第8–13章)

  • 都市のイメージと都市の経験:都市がどう表象され、人々がそれをどう知覚し、そこでどう暮らすか。
  • 居住分離:都市の住宅地にわたる社会集団の分離。住宅とともに扱われる。
  • モビリティ:都市の内部や周辺での人の移動。交通とともに扱われる。
  • 都市の未来:都市がこれからどう発展しうるか。最終章の主題である。

批判的分析

長所

  • 意図的な3段階の構成。 「背景」「主題」「論点」の3部は、この分野の基本的な事実や議論から応用的な論点への明確な道筋を与えるので、本書は順に読むことも、部ごとに読むこともできる。
  • 経済・政治の話題と文化の話題のバランス。 経済、政治、計画の章に並んで、目次には建築、都市のイメージ、都市の経験が含まれており、都市を経済的・政治的な場であると同時に文化的な場として扱う授業に向いている。
  • 学生への支援が明示されている。 出版社は、この版で練習問題やさらなる学習の提案など、学生向けの工夫が拡充されたと述べ、先行研究を「生き生きと魅力的な」仕方で提示していると説明している。
  • 成熟した版。 第5版であり、出版社は、全面的に改訂された第4版の上に築かれ、交通と都市の未来の章が改訂されていると説明している。

短所

  • 部分的な改訂にとどまる。 出版社は改訂された章として2章を挙げ、それ以外の変更は読書リストの更新といくつかの事例の更新だとしている。最新のデータや事例が必要な読者は、この2章以外の章を確認したほうがよい。
  • 簡潔にしか扱われない主題がある。 住宅と居住分離は約21ページの1章、都市地理学のアプローチは約11ページである。どちらかに重点を置く授業では、追加の読み物が必要になる。
  • 目次がすべての主題に対応しているわけではない。 紹介文には持続可能性が挙げられているが、独立した章はなく、移民や不平等そのものを題とする章も目次にはない。扱われていると決めてかかる前に、索引か見本で確かめるとよい。

コースにおける位置づけ

このコースの書目の中で、Hall と Barrett は都市地理学の最初の授業のための中心教科書である。Kevin Archer の The City: The Basics は Routledge の「The Basics」シリーズの簡潔な入門書で、都市がどのように生まれたかをたどり、グローバル・ノースとサウスの都市の発展を比較する。より軽い最初の1冊に向く。Key Concepts in Urban Geography は、核心的な考え方についての短い論考からなり、各論考はさらなる読書の提案で終わっていて、教科書に添える手早い参照用になる。

Michael Pacione の Urban Geography: A Global Perspective は、より大部で体系的な教科書であり、先進世界とグローバル・サウスの両方の都市を意図的に取り上げているので、2冊目に向く。David Harvey の Social Justice and the City は急進的な都市地理学の礎となる著作で、この分野のアプローチの1つの一次文献であり、アプローチの変遷を扱う第2章と併せて読める。Levy、Hirt、Dawkins の Contemporary Urban Planning は、計画の実務と法を、本書の計画の章よりもはるかに詳しく扱っている。

本書の使い方

出版社の紹介文は「都市地理学の基礎」から始まる道筋を描いており、本書が入門書であることを示している。前提知識は示されていない。人文地理学の入門科目を履修していると用語の面で助けになるが、必須ではない。

  • 最初の授業の中心部分: 第1–7章。都市化した世界、アプローチ、都市の形態、経済、政治、計画、文化を扱う。
  • 関心に応じて選ぶ: 第8–13章のうち、都市の文化と表象を扱う授業では文化に関する各章(第8–10章)を、住宅、モビリティ、都市の未来を扱う授業では第11–13章を選ぶ。
  • 学習を広げる資料を使う: 各章末の練習問題と推薦文献に沿って、教科書による総括から原典の文献へと進む。
  • 事例と組み合わせる: 1つの都市を選び、各章の主題を順に使って、その都市について問いを立てながら短いプロフィールを作る。