01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Pacione, M. (2009). Urban Geography: A Global Perspective (3rd ed.). Routledge.
章の要約
第3版は約740ページ、30章が6つの部にまとめられている。出版社によれば、第1版・第2版の構成は維持され、各章は改訂され、学習用の補助(文献案内、主要概念、学習課題、用語集、ウェブサイト一覧)は引き継がれるか拡充されている。写真、図、表、多数のボックス形式の事例研究が添えられている。
第1部:都市地理学の研究(第1–2章)
第1章「都市地理学:グローバルからローカルへ」は分野の概観を示し、本書がなぜ世界的視点をとるのかを説明する。第2章「都市地理学の概念と理論」は、以降の章で用いる考え方と理論を紹介する。
第2部:都市化する世界(第3–6章)
最古の時代から現在までの都市の成長と、世界の主要地域の都市地理を扱う。「都市の起源と成長」「都市化と都市変化の世界的文脈」「都市化と都市変化の地域的視点」「国の都市システム」。
第3部:西欧都市の都市構造と土地利用(第7–13章)
西欧都市の構造と土地利用を扱う7章。「都市の土地利用」「都市計画と政策」「ニュータウン」「居住移動と近隣の変化」「住宅問題と住宅政策」「都市の小売業」「都市交通」。
第4部:都市に暮らす:西欧都市の経済・社会・政治(第14–20章)
西欧都市の経済、社会、政治を扱う7章。「都市の経済」「西欧都市の貧困と剥奪」「都市経済変化への国と地方の対応」「集合的消費と都市の社会的公正」「都市における居住分化とコミュニティ」「都市の住みやすさ」「権力、政治、都市ガバナンス」。
第5部:第三世界の都市地理学(第21–29章)
出版社は、この部が都市成長率の最も高い国々、しかも経済的・社会的・政治的・環境的課題に対応する力が最も乏しいことの多い国々に目を向けると説明している。章は「世界的都市システムの中の第三世界の都市化」「第三世界都市の内部構造」「第三世界の農村から都市への移動」「第三世界の都市経済と雇用」「第三世界の都市貧困層の住宅」「第三世界都市の環境問題」「第三世界都市の健康」「第三世界都市の交通」「第三世界都市の貧困・権力・政治」。
第6部:展望――都市の未来:未来の都市(第30章)
終章が1つ。「都市の未来――未来の都市」。
主要概念
第1–2部:分野、理論、都市化
- 世界的視点:グローバルからローカルまでの尺度で都市地理学を扱うという、本書が掲げる立場。
- 都市化と国の都市システム:都市の成長と、国内および国をまたいだ都市の編成(第3–6章)。
第3–4部:西欧都市
- 土地利用と都市構造:都市内の活動の配置。住宅、小売、交通はそれぞれ独立した章になっている。
- 居住分化と近隣の変化:第10章と第18章。
- 都市ガバナンスと社会的公正:集合的消費、住みやすさ、権力と政治(第17、19、20章)。
第5–6部:第三世界の都市と未来
- 第三世界の都市化:世界的都市システムの中での都市成長。農村から都市への移動、雇用、都市貧困層の住宅がそれぞれ章になっている。
- 環境問題と健康問題:第26章と第27章。
批判的分析
長所
- 意図的に世界を視野に入れた範囲。 書名と部の構成により、第三世界の都市には9章からなる1つの部が充てられ、西欧都市を扱う2つの部のどちらよりも大きい。最後に1章だけ置かれるのではない。
- 明快で規則的な構成。 30章6部は、分野と理論から出発し、都市化、都市構造、経済・社会生活、第三世界の都市、未来へと進む。出版社は、第1版・第2版の構成が維持され、学習補助には文献案内、主要概念、学習課題、用語集が含まれると述べている。
- 2009年時点で新しい内容。 出版社は、この版の新しい内容として、メタシティ、ブームバーブ(boomburbs)、公共空間、都市スプロール、バランスのとれたコミュニティ、都市経済の再編、金融排除、都市への権利、都市政策、逆向きの移動、交通を挙げている。
短所
- 分量。 約740ページ、30章というのは、授業の教科書であると同時に参考書でもある規模であり、1学期の授業では取捨選択が必要になる。
- 時代性。 2009年の版で、章題には「第三世界」という当時の用語が使われている。データや政策の議論は、新しい資料で補う必要がある。
- 深さより広さ。 出版社は本書を拡大を続ける分野への包括的な入門と説明しており、個々の論点は概説の深さで扱われる。特定の主題を掘り下げるには専門書が必要になる。
コースにおける位置づけ
Pacione の本は、都市地理学の読書リストの中で大部の体系的な教科書である。最初の一冊としては、ケヴィン・アーチャーの『The City: The Basics』と、ラザム他の『Key Concepts in Urban Geography』が簡潔な入門で、後者は主要概念についての短い論考で構成されている。ティム・ホールとヘザー・バレットの『Urban Geography』は都市研究を始める学生に向いた入門書で、Pacione はその後に、あるいは並行して使うより包括的な参考書にあたる。
デヴィッド・ハーヴェイの『Social Justice and the City』は性格の違う本で、都市が資本蓄積によってどのように形づくられるかをマルクス主義の立場から論じる。Pacione の理論の章や、社会的公正と都市政治の章と並べて読むとよい。ジョン・リーヴィの『Contemporary Urban Planning』は主に米国の計画実務を扱う教科書で、Pacione の都市計画と政策の章を補う。
本書の使い方
本書は、人文地理学の入門科目を履修済みで、先進国と途上国にまたがる都市地理学を体系的に学びたい学生に向いている。都市地理学の授業の主テキストとしても、レポートのための参考書としても使える。
実用的な読み方は次のとおり。
- 核心: 第1部で枠組みをつかみ、授業の主題に応じて読み進める。都市の成長は第2部、西欧都市は第3・4部、第三世界の都市は第5部。
- 選択的な読み方: 住宅(第11・25章)、交通(第13・28章)、貧困(第15・29章)、環境と健康(第26・27章)など、主題ごとに章を選ぶ。対になる章により、同じ主題で西欧都市と第三世界の都市を比較できる。
- 締めくくり: 都市の未来を扱う第30章。
学習補助、用語集、文献案内で理解を確かめ、ボックス形式の事例研究(出版社によれば200を超える)から例を得る。データや用語は、より新しい資料で確認すること。
